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チュートリアルと思ったらチートリアルだった件  作者: へたまろ
最終章:チートリアル

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第18話:お茶会後編

「まあ良いや、取りあえず今後の話し合いだな」

「殺されて、こんなところに連れ込まれて強制労働させれて、まあ良いや程度で済ませてよいのか?」


 なんだ……と?

 俺の言葉に対して、チジョーンが常識的な事を言っている。

 

「ちょっと待て! そんな不憫な環境におかれた俺を殺しに来たのはどこのどいつだ?」

「その時はまだ状況を知らなんだでのう。まさか、ダンジョーンのアホ……いや、ど阿呆がこのような強引な手段に出るとは思うておらんかったのじゃ」

「なんだ、そちらさんもご存じなかったのか、じゃあ仕方が無い……ってなるかボケ! そもそも、戦争仕掛けるなら先に使者なりなんなり送って来いよ! 問答無用で掛かってきやがって」

「ん? 当代の勇者を送り込んだはずじゃが?」


 ミカエルの事か?

 

「その勇者が問答無用で俺を殺しに来たんだから、一緒じゃねーか」

「まあ、勇者程度に殺されるならよし、駄目なら宣戦布告くらいにはなるじゃろうと思っての」

「それは、使者と呼ばない」


 チジョーンが一瞬常識的な事を言ったから信用してみれば、この様だ。

 こいつを信用することは、もう2度と無いだろう。


「ところでだが、クラタよ。お主の改造はまだ終わって無いからな。これから、初めても良いか?」

「何故、このタイミングでそれを許可すると思った?」

「ダンジョーン! おぬし、こやつをこれ以上強くしてどうするのじゃ! 妾達よりも強うなってしまうぞ?」

「マスターがまだまだ、伸びしろあっただなんて!」

「おいっ! クロノも煽るでない!」


 突然、ダンジョーンが俺の改造の続きをやるとかって言い出した。

 そして、何故かテンションが上がるクロノ。

 いきなり目の前に、ごつい手が伸びてくる。


「ちょっ、なに?」


 その手を払いのけながら、ダンジョーンに聞く。

 ダンジョーンは特に気にした様子もなく、頷くだけだ。

 もしかして……


「ようやく完成したぞ! これで、魔力貯蔵器官であるマナプールを開くも閉じるもお主の意志で出来るはずじゃ」

「馬鹿たれ―――!」

「痛いでは無いか!」


 今度はチジョーンに殴り飛ばされるダンジョーン。

 ご丁寧に足元を、大地で固定されたうえに、拳に大地を纏ったチジョーンに吹っ飛ばされてた。

 ザマー見ろ!


「まあ、これで魔法も使い放題。魔力吸収し放題の、放出し放題だな!」


 色黒のおっさんが、サムズアップしてんじゃねーよ。

 どう見ても、南の方の観光地の陽気なおっさんにしか見えない。

 こんなのが、ダンジョンを司る神とか……


「取りあえず、魔力を吸収する方を閉じている弁と、放出する方を閉じている弁があるのは分かるな?」

「まあ、なんとなく。どっちがどっちか分からないけどな」

「右が魔力を放出する通路を塞いでいる弁じゃ、ちょっと開いてみ」

「ああ……」


 俺が、身体の中心にある不思議な感じのする、塊っぽいものから右側にある蓋のようなものを開くイメージをする。

 そして、見事成功した感触まで分かる。

 

 凄い勢いで、魔力が集まって来る。


 えっ?

 集まって来る?


「馬鹿たれ! 右側だと言っただろうが!」

「ちょっ、神力が……凄い勢いで魔力に逆変換されて流出していくのじゃが?」

「私の魔力まで!」


 右だよね?


「右を開いてるが?」

「あほ! それはわしから見て右だろ! お主から見たら左だ!」

「なんだよ、それならそうやって言えよ!」


 俺は開いていた弁を閉じて、反対側の弁を開ける。

 うん、身体を魔力が包み込むのがわか……多すぎじゃね?

 取りあえず、魔力を身体に固定して……どうやって?


 あっ、魔力操作持ってたからなんとなく……

 多すぎて纏まらねーよ!


「ちょっとと言っただろうが! 開け過ぎだ!」

「えっ? ちょっとって、そっちの意味? てっきり、ちょっとやってみてって意味かと思った」

「なんじゃ、おぬしさっきからわざとやっておらんか?」

「チジョーンさんは、何をおっしゃってるんだか……単純に気を遣った2択をことごとく間違えただけだ」


 あるよね?

 絶対に間違える2択って。


 特に対人とのやりとり、しかも相手が立場が上の場合とかに。


 差し出がましいから言わない方が良いかな?

 

 何故言わない!

 お前は、自分の意見が無いのか?

 とか?


 何故教えてくれなかった。

 お陰でなんちゃらかんちゃらみたいな?


 逆に言ったら言ったで、


 知ってるから!

 お前、俺のこと馬鹿にしてんのか?

 お前が学生の頃から働いてんだからな?


 当たり前だ。

 大学まで一応行ってるから、4つ下の高卒の社員からと、1つ上以上のの大卒の社員は全員漏れなく俺が学生の頃から働いてるだろ。

 と言ったら、怒られる気がしたから何も言わないけど。


 たまに、ボケたんだから突っ込めとかって理不尽な……


 脱線した。


 ようは、そういう事だ。


「というか、勝手に改造すんな!」

「そうじゃ! ダンジョーン、おぬし全然懲りておらぬな!」

「この前向きさが、ダンジョーン様の良い所です!」

「なんか、俺に対するより甘くないか?」

「気のせいです!」

「なんだ、クロノは俺に気があるのか?」


 ……

 なんで、そういう事言っちゃうかな?

 この人は。


「ふいまへんへひは……」

 

 時間固定されて、100発くらい殴られてた。

 ご愁傷様。


「まあ、次は魔法の知識だな。これも全属性扱えるみたいだから、全部詰め込んで……」

「勝手な事すんなって言ってんだろ!」

「いはい……」


 魔法の知識を貰ったから、クロノの戦法を使ってみた。

 ダンジョーンの時間を固定。


 100発殴る。

 EX級の攻撃力全開で。


 解除した瞬間に、全身に拳の形にへこんだかと思うと、吹っ飛んでいった。


「いきなり、何をするんだ?」


 っていうか、タフだよねこの人。

 あんだけ、ボコボコにへこんでた身体が次の瞬間には、跡形もなく治ってるし。


「すぐに回復するのが不思議か? それはこやつのスキルのせいじゃ」

「はい、ダンジョーン様の固有スキル【否憎馬鹿(ラバブル・フール)】の効果です」

「酷い、スキル名があったもんだ」

「ハッハッハ! 凄いだろ! どんな傷も一瞬で無かったことになるスキルだぞ!」


 クロノの説明だと、よく漫画やアニメでボコボコにされて顔が腫れ上がって頭にコブが出来てたり、全身流血状態とかになっても次のシーンで完全回復してる、憎めないキャラが持ってるスキルらしい。


 うん、お似合いのスキルだった。


 


終盤なので、ネタ少なめで淡々と終わりに向かってます。


次回予告!


まさか、あの男が!……出てこない!

そして繰り広げられる死闘……起こらない!

さらに、愛を誓い合った女性との悲しき別れが!……そんな女性は居ない。


さらばクラタ! やすらかに眠れ!


お楽しみに?

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