三八三年 明の十六日
お昼もだいぶ過ぎてから。戻ってきたお兄ちゃんが女の人を連れてきた。
お兄ちゃんより背が高い、黒髪の女の人。見るからに美人。
っていうか! お兄ちゃん、誰その人?
微笑んでるその人の、きれいな翡翠の瞳。何だか見覚えがあるなぁと思ってたら、にっこり笑ったまま近付いてきた。
私より頭ひとつ分くらい背が高い。かわいいというより凛々しい顔だけど、うん、男の人には見えないね。スタイルよくて羨ましい…。
そんなことを思ってると、お兄ちゃんが私を呼んだ。
「妹のレム。レム、こっちはアリヴェーラ。ロイの双子の姉だって」
ロイの双子のお姉さん?
一瞬驚いたけど、言われて納得する。
ロイも男の人にしてはかわいい顔をしてるから。ふたりとも中性的で似てるんだ。
ロイのお姉さん、にっこりしたまま手を差し出してくれた。
「アリーって呼んでね」
「私はレムと」
手を握ったら、引っ張られてぎゅっと抱きしめられた。
「レムの話もいっぱい聞いてるわ。仲良くしてね」
くすくす笑うアリー。
見た目美人のお姉さんなのに。
何だかかわいい。
「こちらこそ」
「ダメ、普通に話して」
拗ねた感じで言われるけど。何だかもういちいちかわいいよ?
「わかった。よろしくね、アリー」
まだ会ったばっかりだけど。
多分すぐ仲良くなれる気がする。
アリーはお父さんにゼクスさんとジェットの手紙を渡して、店に戻っていった。
しばらく町にいるらしいけど。宿じゃなくてククルの家に泊まるんだって。
強いって言ってたから、ククルを守ってくれるつもりなのかな。
色々心配なこともあるから。いてくれたら心強いよね。
アリー登場です。
アリーはホントよく動くキャラで助かります。
ロイのことは愚弟呼びですが、ちゃんと大事に思ってます。
双子といえど男女なので、ホントはそんなにそっくりにはならないかもですが。まぁそこは…。





