三八二年 祈の十九日
訓練初日。ちょっと気になることがある。
リックは別として。ほかの四人とディーが、全然話してない。
露骨にどうこうはないみたいなんだけど、何だか見てて辛い。
朝食のあと、リックを捕まえて聞いてみても、やっぱりそうだって。
「陰口とかはないんだけど、ディーが堂々としすぎて逆にどうしていいかわかんないみたいでさ」
「そうなんだ」
「俺も今回初めて会って。ジェットのパーティーだからって、最初にディーが謝ってくれて。それから話すようになったんだけど…」
そっか、リックも仲良くなったばっかりなんだね。
でも、リックがいるからなのかな、ディー自身はそんなに気にしてないみたいなんだけど。
ディー、いい人なんだから。早く打ち解けられるといいのに。
そんな心配をしてたんだけど。
段々疲れてきてるリックとほかの四人に比べて、ディーはいつも通りで。
夜にはすっかり一目置かれてた。
何があったんだろう??
夜、六人分のお茶がほしいってリックが来たから、淹れる間に聞いてみると。
「ディー、俺たちへばってるのに全然平気で。追加でロイに訓練つけてもらってんだよ」
ちょっと興奮気味のリック。
何だか自分がほめられたみたいに嬉しそうにしてる。
「前の訓練、もっとすごかったって言ってたし。実際俺たちと全然違うし。それで皆見る目変わってさ。今、ディーから自主訓練の話聞いてる」
「そうなんだ」
何か仲良くなれそう! ホントよかった。
「俺はゴードンで聞いたから。その間にお茶もらいにきた」
へへっと笑うリック。
ディーから話聞いて。皆でお茶して。
もっと仲良くなれたらいいな。
淹れたお茶と、私からの差し入れのお菓子。それをリックと一緒に大部屋に持っていくと。
皆に囲まれてたディーが私を見て、ちょっと嬉しそうに瞳を細めた。
今回はリック。
人懐こさを発揮で、すっかりディーとも仲良しのリック。でもほかとの間に立つには経験値が足りない…というところでしょうか。
本編ではウィルとロイ。バトる程ではないですが、お互い初対面の印象が悪かったようですね。





