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【完結】宣誓のその先へ  作者: ねこかもめ
【十話】憤怒と運命。
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(99)芳しくない戦況

 静寂に包まれるはずの夜の街。そこに響き渡る、異様な金属音。


「ぐあぁ‼」

「リーフさん‼」


右腕の肘付近を抑えている。出血も見られた。

その上、剣を落としてしまっている。


「く、くそっ、剣が、持てねえ……‼」

「リーフ、とりあえず下がって!」

「ああ、悪ぃ!」


これはまずい。


おそらくお姉ちゃんの能力も使えない。

そうなると、リーフさんのケガを治すことができない。

しかも患部は利き腕。


戦うのは厳しいか?


念のためお姉ちゃんがリーフさんのもとへ。

その間、俺、アイシャ、エリナさんで魔物を引きつける必要がある。


「アイシャ、エリナさん。俺が奴を止めておきます。その間に奴の脚を」

「かしこまりました」

「うん、任せて」

「ただ、脚を斬ったらすぐに退避で。リーフさんにケガを負わせるほどの反撃ですからね。じゃ、行きますよ!」


合図をし、俺は再び魔物の前へ。

正直、能力が使えない状態でこいつを止めておくのは厳しい。


「ほら、こっちだ‼」


斬りかかると、盾で防がれた。

怯んだ俺を刺そうと、剣で突いてきた。


これを何とか左に回避し、剣を振り上げて魔物の手首に攻撃。

だが効果は見られず、魔物が反撃に転じる。


——まずい!


今この状況で剣を振り回さられると、

せっかく背後に到着した二人が離れざるを得ない。


覚悟を決め、攻撃を剣で受けた。


「くっ、お、重い……っ!」

「ご主人様!」


そんな俺を見て、エリナさんが急接近し、左足を斬った。


さっきリーフさんの攻撃を受けた左脚は

今回で限界を迎えたようで、魔物は体勢を崩した。


腕の力も抜けている。


——今しかない……っ!


このチャンスを逃すわけにはいかない。

魔物の右肘に、全力の突きを食らわせる。


「そっちの脚も‼」


続いて接近したアイシャが、今度は右足を刺した。

これは深々と刺さり、かなりダメージを与えたようだ。


両ひざから崩れ落ちた魔物。


その隙を見逃さず、リーフさんの落とした剣を拾い——


「食らえぇ‼」


——兜の覗き穴から突き刺した。


《ニン……ゲン……‼》


崩れた姿勢のまま後ろに倒れる魔物。

その声には、人間に対するはっきりとした「怒り」が見られる。


 なぜそんなにも人間を憎んでいるのだろう。


「卑怯者」とは何なのだろう。


なぜ攻撃してくるのだろう。


疑問はきりがないほど湧いてくる。

だが、今はそんなことを気にしている場合ではない。


一度体勢を立て直すのが先決だ。

アイシャやエリナさんと、魔物を挟んで反対側。

お姉ちゃんとリーフさんが居る方へ下がった。


「そっちはみんな無事?」

「俺たちは今のところ大丈夫です。リーフさんは?」

「変な体勢で攻撃を受けちゃったみたい。多分折れたか、よくてヒビってところかしら。能力が使えないのが厳しいわね」

「そうですか……」

「悪いな」


ケガの具合は最悪、といったところだろうか。

お姉ちゃんの能力も封じられている以上、戦闘に復帰するのは無理だろう。




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