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【完結】宣誓のその先へ  作者: ねこかもめ
【十話】憤怒と運命。
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(98)封じられた戦術

「……えっ?」

「どうしたの?」

「……どうしてか、剣に熱を与えられないんです……。もう一度やってみます」


そういって、さっきと同じ行動を繰り返す。

しかし、ついに彼女の剣が光を帯びることは無かった。


「すみません、出来そうにないです……」

「体の不調とかありませんか?」

「ええ。それは大丈夫なのですが……。溜めておいた熱が足りなかったのでしょうか……?お役に立てず申し訳ございません」


——こうしている間にも、魔物はじりじりと近付いてきている。


「このままじゃ防戦一方になっちまうぞ」

「それは避けたいところね」

「一つ、可能性が——っ!」


アイシャが言いかけたところで、魔物の攻撃が横槍を入れる。

アイシャが言おうとしたのは、おそらく鎧の弱点だ。

どんなに堅く、どんなに重厚な鎧でも、防御力の低い場所が必ず存在する。


「関節を狙いましょう!」


この魔物を倒す近道となりうる、関節への攻撃。


膝や肘を曲げられないと困る故、

関節部分は柔らかい材質でできているはず。


そこを狙えば攻撃は通る。


「任せろ!」


後ろに回り込んで膝裏を狙う。

それはリーフさんに任せよう。


「足止めは任せてください!」


コイツが相手でも、反射を使えば剣を止めるくらいはできるだろう。


「でやあっ‼」


魔物の注意を引くため、わざと正面から攻撃を仕掛けた。


案の定、俺にヘイトが向く。


魔物は剣を振り上げ、そして、振り下ろす。


それを剣で受けて能力を——


「な、なにっ⁈」


いつも通りに能力を使ったはずだが、なぜか全ての力を受けてしまった。

必死に抑えながら能力の発動を何度も試みたが、効果がない。


インゼル島の魔物のように押しきられているわけではない。


発動しないんだ。


「このままじゃ……」


剣がしなっているのが分かる。


「今行く‼」


リーフさんが瞬間移動で魔物の背後に——


「くっ、何でだ⁈ 瞬間移動できない!」


仕方ないと、リーフさんは走って魔物の背後へ。


「もらった‼」


——左膝をやられ、一瞬怯んだ。


その隙を見て魔物の攻撃を流し、退避。


腕がしびれている。


自由になった魔物の剣は、今度はリーフさんに向く。

瞬間移動を封じられ、戦いにくそうだ。

俺も反射が使えず困っているし、エリナさんの能力も発動しなかった。


これはもしや——


「はあ……こいつはキツいな……」

「ユウ、腕大丈夫? 反射しなかったの?」

「アイシャ、ちょっと霊視を使ってみてくれないか?」

「え? うん、分かった」


俺に剣を預け、胸の前で合掌。

いつもならば、間もなく青白い光が彼女を包む。


だが——


「あれ? 出来ない」

「やっぱりそうか」

「もしかして、あの魔法陣って」

「ああ。確証はないけど。多分そうだな」


最初に俺たち全員を包んだ魔法陣。

あれが、能力を使えなくなる現象と関係しそうだ。


魔物にも能力があるのだろうか。




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