(92)予言の終幕
すべての事象は、事前に決められているのだろうか。
そんな疑問を、幾度となく呈したことがある。
明日の天気なんて言う日常的なものから、人の死などの非日常まで。
毎日毎日、無限大と言って良い程の何かが起きている。
それらは全て、予め決まっていることなのだろうか。
「運命」ってやつは実在するのか。ずっと考えていた。
彼女は……サラは、死ななければならなかったのか。
決まっていたことなのか。あの時、疲労だなんて決めつけなければ。
寂しげな彼女に、もっときちんと寄り添っていれば。
救うことは出来たのだろうか。
この思考に陥ると、俺は決まって、オレに対する怒りが湧く。
誰にあたったところで解決する問題ではないから、すぐに冷静になるが。
——とにかく、俺たちには何か出来たのだろうか。
あの出来事が「運命」なら、その結果を覆すことは可能だったのだろうか。
今となっては、もう分からない。昔から、それが悔しくて堪らなかった。
新生・リビング。「予言」についての会議をしている。
「紙は重なってないし、裏面もないわね」
「つまり、次がラストなんだな」
次の予言は、リストの一番下。
リーフさんが言った通り、最後だ。
「これで、何かが変わるんですかね」
「どうなんでしょう……。少なくとも、何か有益な情報は得たいところですね」
魔物については、未だに分からないことだらけだ。
五百年前の人魔大戦は、一応人類の勝利とされている。
しかし、文献によれば、戦いは魔物の消失によって突然終わったらしい。
それから現代に至るまでの間、どこで何をしていたのか。
それに、「魔物の長」って奴も気になる。
エリナさんの言うように、情報の一つや二つは欲しいところだ。
「そうよね。それで、場所は——」
地図とリストに書かれた座標を見比べる。
何だか見覚えのある座標で、俺とアイシャは前のめりになって確認する。
「これ、ストロングホールドですね」
「それも、私たちの実家からそう遠くないところです……。」
「えーっと、この辺りね」
お姉ちゃんが指で丸く囲った部分を見る。
「ストロングホールド北東居住区……!」
「俺たちの実家は北西部なので、隣町って感じですね」
「おいおい、そんなところに魔物が出るっていうのか?」
「しかも深夜じゃない……」
次の日の昼過ぎからアルプトラオムへの遠征がある。
今回は色々と面倒だな……。
「ねえ、ここら辺ってホテルとかある?」
「ホテル……」
「……」
北東居住区の街並みを必死に思い返し——
「「ありません」」
「そう……どうしましょう」
インゼル島の時のように泊りがけ任務の計画を考えていたのだろう。
「それなら任せてください。実家が本当に近くなので」
「言えば泊めてくれると思います」
「いいの? 大勢で迷惑じゃないかしら?」
「大丈夫ですよ、きっと」
「俺たちもしばらく帰ってませんし。喜んでくれる……と思います」
「そう? 近いならお世話になりたいところだけれど……」
「まあ最悪、空き家がありますよ」
「それは……本当に最悪の場合ね」
——冗談はさておき、まあ父さんや母さんなら歓迎してくれるだろうな。




