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【完結】宣誓のその先へ  作者: ねこかもめ
【九話】欲念と自戒。
90/269

(90)目には目を、連携には連携を

 ——また再生、合流を繰り返した。


「クソっ……面倒な奴らだ……」

「倒しても倒しても再生……。確かに面倒ね」


何度も言うが、この魔物が一匹であれば、何の問題もない。

最初に、俺とリーフさんだけでも黒い方を倒したわけだし。

エリナさんのように、防御を貫通できれば一人でも勝てる。


だが問題は、合流した二匹の連携攻撃と、相方を蘇生させる能力だ。

かれこれ各四、五回はコアを破壊している。それでも、討伐には至っていない。


「やっぱり、同時に倒すしかなさそうですね」

「ええ。ですが、そのようなチャンスは滅多に……」


とにかく蘇生が厄介で、交戦中だろうとお構いなしに離脱される。

しかも蘇生は瞬時に行われ、追いついた頃には全快している。


「チャンスが無いなら——」


エリナさんの嘆きを聞き、口を開いたのはアイシャだった。


「——作ればいいんですよ」

「確かにその通りですけど……」

「ね、ユウ」


ね、と言いながら俺の方を見るアイシャ。


自信満々。


そんな表情をしている。


「アイシャ」


数秒その顔を見て、言いたいことを理解した。

そうだったな。相手の連携が厄介ならば、俺たちも「厄介」な連携をすればいい。

同じように攻撃し、同じように怯ませ、同時に動けなくし、同時にコアを破壊する。


そんな夢のような事ができるだろうか。


「けどアイシャ、それには敵の動きが同時に止まる必要が……」


俺たちがいくら同じ行動をしても、相手の動きが

違っていると初動からバラバラになってしまう。


「それでしたら、私にお任せください。私の能力を用いれば、遠距離からでも一瞬動きを止めることは可能です」


溜めた熱量を操るエリナさんの能力。

両手から熱戦のように一瞬だけ放ち、

魔物の頭を撃ち抜けば同時に動きを止められるかもしれない。


「でもエリナさん、それって……」

「貴女の消耗が激しいんじゃないですか?」

「ふふん、そこは私の出番よね」

「そっか、お姉ちゃんが回復してあげれば、エリナさんの体力は大丈夫なんだ」

「お姉ちゃん先輩にはすみませんが……それでお願いします」

「もちろん、お姉ちゃんにお任せあれ」

「じゃあ俺はお前たちを魔物の所まで送る」

「それなら一瞬で詰められますね」


動きの停止。


消耗者の回復。


移動時間の大幅削減。


そして——


「あとは、私とユウの連携だね」

「……ああ、任せろ」

「ちゃんとついて来てよね~」

「アイシャこそ。遅れるなよ?」

「へぇ、言ってくれるじゃん」


連携は、連携をもって制す。まさにそんな作戦だ。

魔特班五人による総攻撃。それをあの二匹に叩き込み、勝利する。


活路は見えた。


あとは信じるだけだ。


「では、行きますよ!」


エリナさんは残った熱量を限界まで絞り出し、

二匹の魔物に向かって両手から放った。


見事な狙撃能力で、イチャつく黒色と桃色の顔面を捉えた。

一気に消耗したエリナさんが膝をつく。お姉ちゃんが彼女を介抱。


——やはり、二匹とも剣に変異していない左手で撃たれた顔をおさえた。


「よし、こっちも行くぞ!」

「はい!」

「お願いします!」


瞬間移動で急接近。


——アイシャと俺の連携。


それを意図して練習したことは一度もない。発想が無かったのではない。

「必要ない」と判断したのだ。「連携」が、ではなく「練習」が、だ。


俺はアイシャの動きをよく見ているし、アイシャは俺の動きをよく見ている。

故に、わざわざ練習するまでもなく、互いがどう動くのかが分かる。


アイシャならこうする。


ユウならこうする。


そう言った、もはや「決めつけ」レベルでの判断。

ただし、そこには絶対的な信頼があった。


——だからこそ。


——俺とアイシャは今。


——こうして、二つのコアを同時に、一刹那の差もなく破壊したのだ。


「終わったな」

「うん。信じてたよ」

「俺もさ」


魔物の身体は、無論二体とも、淡い光と共に消えていった。




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