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【完結】宣誓のその先へ  作者: ねこかもめ
【九話】欲念と自戒。
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(86)束の間の観光

そんな地獄のようで至福のような時間は終わり、インゼル島へ到着した。

装備などの荷物は、一時保管所へ。


さて、ここ、インゼル島は、普段は観光地だが

今日は例の作戦のために閉鎖されている。

それは無論、帰りたいのに帰れない人たちを生み出しているわけだが。


「意外に早く着いたわね」


昼とも夕方とも言えない、そんな中間の時間帯。


「だな。これからどうすんだ?」

「そうね……。まずは宿が必要よね」

「今から五部屋も——」

「四部屋も空いてますかね?」

「えっ」

「ユウ? 何か言った?」

「いや、何でもない」


結局、一人で住むには部屋が広い、なんていうのは関係ないらしい。


「四部屋ね。ちょっとそこらの宿をあたってみましょうか」



——浜辺から最も近い宿、オーシャンビュー。

安直すぎるネーミングに心の中でツッコみを入れながら

お姉ちゃんやリーフさんに続いてフロントへ。


「すみません。今日、四部屋空いてませんか?」

「確認いたします」


受付の人が帳面をペラペラとめくる。

やがてお姉ちゃんの方に向き直って言った。


「申し訳ございません。本日は三部屋しかご用意できません」

「三部屋ですか……う~ん……。」

「私はお姉……先輩と相部屋でも大丈夫ですよ。先輩がよろしければ、ですけど」

「そう? 大歓迎よ。じゃあ、すみません。三部屋お願いできますか?」

「かしこまりました。ただ今ご用意致しますので、少々お待ちください」

「ありがとうございます。」



 しばらく待って案内されたのは、混んでいる割には上等な部屋だった。

窓からは海が一望できる。まさに「オーシャンビュー」だ。


「うわ、すげえ景色」

「すっごい綺麗!」


どうやらテンションが上がっている様子のアイシャ。

その無邪気な様子を見ると安心する。


荷物も搬入し、一息ついたころ。


「ん?」


扉をノックする音が聞こえた。


「エリナです。奥様はいらっしゃいますか?」

「はーい」


上がったテンションのまま応答するアイシャ。

扉から廊下に出て、二人は何かを話している。


……。


一分ほどだろうか。

アイシャは部屋に戻ってきて、何やら嬉しそうにしている。


「ユウ。ちょっと今から買い物行ってくるね?お姉ちゃんとエリナさんと私で」

「おう、行ってらっしゃい」

「寂しくない? 大丈夫? お留守番できる?」

「出来るわ! あれ、ご飯とかどうする?」

「うーん、時間が時間だし三人で食べてきちゃおうかな?」

「そっか。じゃあ、リーフさん誘ってなんか食べとくわ」

「あーん出来ないね」

「したことないじゃん……。」

「する?」

「……今度な」


——するんかい。



 リーフさんと近くの店に入って食事をした。

メーア海で採れた魚は絶品だった。

リーフさんは散歩に出るというので、店の前で別れ

俺は部屋に戻ってアイシャの帰りを待つ。


「刃こぼれ無し。錆も……大丈夫か」


剣の手入れをしていると、廊下から

複数人の女性の声が聞こえてきた。


どうやら帰ってきたみたいだ。


「たっだいまー‼」

「おかえりー。早かったね?」

「ユウ!」

「ん?」

「その服、汚れても平気なやつ?」

「これ?」


俺はアイシャほどしっかりとした服を着てきたわけじゃない。


「うん。平気だけど……なんで?」

「じゃあ行くよ。ほら、立って立って」

「ちょっ、行くって、どこに?」


アイシャに腕を引かれながらついて行く。


「決まってるでしょ、浜辺よ、浜辺」

「なるほど」


——遊びの誘いだったか。


アイシャは昔から変わったんだか、変わってないんだか、全然分からないな。



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