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【完結】宣誓のその先へ  作者: ねこかもめ
【九話】欲念と自戒。
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(85)せんじょう

「おまたせ~」


着替えを済ませた俺は甲板で待機し、アイシャと合流。


「おや、珍しくちゃんとした服」

「一応、外だからね」

「そのスカート、気に入ってるな」


クリスたちと会った日も穿いていた、あのスカート。


「うん」

「よかった」


気に入ってくれるのは嬉しいけど……


「あれ、何で視線泳いでるの?」

「いや、そんなことはございませんよ」

「もしかして」

「ん?」

「自分でプレゼントしておいて照れちゃってるの?」

「そそそっそんなまさか‼ はははははっ‼」

「ふーん」


そう言うとアイシャは、小悪魔のような笑みを浮かべながら

柵に背中を預ける俺に正面からしがみついてきた。


「ア、アイシャさん⁈」


悪魔は、気が気でない俺にさらなる追い打ちをかける。


「ねえ、ユウ……」

「はい!」


さらに密着して——


「今なら誰も見てない、よね?」

「ちょっ‼」


こら、脚をもぞもぞ動かさないでくれ……っ‼


……。


…………。


………………。


「な~んてね」

「……」

「期待した?」

「さ、さあな……」

「今はまだ……お預けっ」


——なんて事をウィンクしながら言う少女。


堪えるこっちの身にもなってくれ……。



 船の旅は、そろそろ一時間を迎える。

さっきまで甲板で駄弁っていた俺とアイシャは、客席に座っている。


それは主に俺のせいなのだが……。


「ちょっと、大丈夫?」

「あ~分からん……」


必死に遠くを眺める。


「船、苦手だったんだね」

「そうみたい。俺も初めて知った」


俺は、船酔いでダウンしていた。

吐きそうとかではないが、目が回って立っているのがつらかった。


「……横になる?」

「そうだな、そうしよう……」


椅子の肘掛けを枕にしようと、右に倒れる。


「ぐえっ。何を——」

「枕なら、ここにあるよ」


左に引かれ、俺の頭はアイシャの方へ。

襟を掴んでまで止めなくても良かったんじゃないですか?


「何気に初めてだよね、膝枕」

「そうだっけ」

「うん。どう?」


——どう? って何……?


「えっと、寝心地がいい。程よい高さ」

「高さなの……?」


ちょうどその時、お姉ちゃんが近くを通った。


「あら~お盛んだこと」

「違っ、これはアイシャが——」

「ユウが船酔いしちゃって。枕が欲しいって言うので」

「そう」

「ちょっ——」

「あっと、お楽しみのところ邪魔してごめんね。もうすぐ着くけど、それまでは何してても構わないから。じゃあね~」

「待ってください‼」


間違いなく聞こえているだろうが

お姉ちゃんはわざとらしい早足で去っていった。


「意外だね」

「……確かに」


お姉ちゃんのことだから、てっきり


「お姉ちゃんも膝枕してあげようか?」


なんて言ってくると思って……いやいや、何を考えているんだ俺は。

いくらお姉ちゃんでも、あの人は上官だ。


そんなことを言ってくるような人……だったわ……。


あの人のこれまでの言動がフラッシュバックした。





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