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【完結】宣誓のその先へ  作者: ねこかもめ
【九話】欲念と自戒。
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(79)食堂での事件

 やっと列の真ん中くらいまで来ただろうか。

話し相手はいるし、これといって退屈はしないのだが、空腹が俺たちを苦しめ始める。


そんな時。


「よう、君がアイシャ?」


なんともガラの悪い四人組の男たちが話しかけてきた。


「そうだけど?」

「いや~やっぱそうか!」

「かわいいって噂だったけんど、マジだな」

「……それは知ってるけど。何の用?」


……こんな時でもブレないな、この娘は。


「そう冷たくしないでくれよ~」

「俺たはただアイシャに相手してほしいだけなんだからよぉ」


へっへっへぇ、と気味の悪い笑い方をする男たち。


「一応訊くけど、何の?」


——恐ろしく冷ややかな眼差しで。


「何のってお前、分かるだろうよ。なあ?」

「そうだぜ」


そいつらはアイシャを上から下まで見つめている。


黙っておけばいい気に——


「そう。じゃあ、はっきり言ってあげる」


一拍置いて。


「い・や・だ」


一文字ずつ、はっきりと言うアイシャ。


「あ? 嫌だ~?」

「そんなこと言わないでさぁ、一回だけで——」

「嫌だって言ってんの。言葉分かる?」


四人の男たちは、軽く舌打ちをしたり顔を見合わせたりしている。


おいおい……どうすんだこの空気。


「おい、ちょっと顔が良いからってあんまり調子に——」


一人の男がアイシャの腕をつかんで引っ張り始めた。


これは流石に見てられな——


「きゃあ‼ 誰か助けて‼」

「「「「「⁈」」」」」


男の腕を払おうと一歩踏み出した瞬間の出来事だった。

アイシャが放ったのは助けを求める言葉と、悲鳴。

リアルだが、彼女の性格から考えるに演技だろう……。


それでもアイシャの傍にいた男「五人」が、突然の出来事に唖然としている。

一瞬静まり返ったが、この作戦は驚くほど巧くいった。


「君たち、何をしているんだ?」

「その手を放せ。怖がっているじゃないか」

「チッ」


何人かが駆けつけてくると、男たちは

アイシャの腕を乱暴に振り払って食堂から出て行った。


「君、大丈夫だったかい?」

「はい。助かりました。ありがとうございます」


丁寧に頭を下げて礼を言う。


「いいんだ。ここにはああ言う連中もいる。困ったものだよ」

「まったくですね」


はて、「アイシャ」はどこに行ったのだろう……? 

まあお陰で大事にならなくてよかった。

まあ中規模の事件にはなったが……。


ああ言う奴らが騎士になると、ストロングホールドの

公園のような事になるんだと分かり、少しムカッと来た。


「では私は行くよ。あの連中には気を付けてね」

「はい」


助けてくれた人たちが去っていき、食堂は元の雰囲気に戻った。

見ると、アイシャはつかまれていた腕を見ながらガタガタと震えていた。


「だ、大丈夫……?」

「大丈夫じゃ……ない……っ‼」

「そっか……。怖——」


いくらアイシャでも怖いものは怖いんだ。


そう思ったが——


「ユウ以外の男に触られた‼ 汚れた! 穢された!」


……などと言いながら抱き着いてくる。


「ちょ、おおお、落ち着け‼ 見てる! みんな見てるから!」


周りの人に「騒いで申し訳ない」と謝り、アイシャを落ち着かせた。



 やっとの思いで食券を購入し

昼食を手に入れてクリスたちのいる席に戻った。


「おいおいおしどり夫婦。白昼堂々とは、なかなかやるな」

「あんな所でぎゅーって。すごいわね、まったく」

「う、うるせえな。あれには訳が——」


どんな会話があったかまではクリスたちには届いていない。


「ナンパされて怖がってた私を、ユウが抱いて慰めてくれたの」

「アイシャさん⁈」


十割嘘ってわけでもなくて反論に困る。


「ま、今に始まった事じゃないじゃん?」

「そうだな」

「……」


笑えばいいのやら、泣けばいいのやら……。





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