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【完結】宣誓のその先へ  作者: ねこかもめ
【八話】追憶と傷心。
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(76)メイドの務め

拍動が激しくなるのが分かった。


「——俺の、祖父なんです」

「おじい様、ですか……」


……ブルーダーさんが亡くなった後、

俺の訓練に付き合ってくれたのは祖父だった。


競技剣術の経験があった祖父は、

ブルーダーさんほどではないにしろ

激しい剣の修行をしてくれた。


墓参りに付き合わせてしまった、という自責の念があったのかもしれないと思っていた。


「……おじい様は、ご実家にいらっしゃるのですか?」

「……去年、実家から騎士校の寮に連絡がありました。……亡くなった、と。それも、信じられない理由の一つです。でも——」


……もう、これしか考えられないんだ。


——俺とアイシャに放たれた「強くなったな」という言葉。


——つまり、過去の俺とアイシャを知っている人物。


——それでいて、アイシャは知らず、俺だけが知っている太刀筋の持ち主。


——結論付けるに足る、数々の根拠。


「でも、これだけ辻褄が……っ⁈ エ、エリナさん……?」


怒りか、悲しみか。


感情が高ぶり始めていた俺を、エリナさんはそっと抱擁した。

さっきとは別の理由で心臓が激しく動く。

そんな俺をよそに、エリナさんはそのまま続けた。


「申し訳ございません」

「……」


——迷っていた。


——認めたくない心と、認めざるを得ない状態。


——導かれた結論。間違っていてほしいと思う心。


——そんな自己矛盾を……


「ご主人様」

「……」

「ご主人様が抱えていらっしゃる現実と心の矛盾は、私も痛いほど理解できます」

「エリナさん……」

「私も、そうでしたから。ですが、ご主人様」


——両手を俺の両肩に乗せて続けた。


「ご自身の心は?そう私に聞いてくださったのは、ご主人様ではないですか」


……っ‼


「俺の、心……」


——結論


——現実


——願望


——ためらい


——それらを超えた先にある、俺の本心。


「俺は……向き合いたい……です」


昼間は、逃げてしまった。


「あのフード男と、もう一度話したい」


奴と話すことを、拒んでしまった。


「あいつが……じいちゃんだろうと、そうでなかろうと……っ‼」


直接確かめてやりたい。

もし結論が正しいなら、目的を聞きたい。


そして何より——


「何より、俺はじいちゃんが死んだとき、傍にいなかったんです。だから……話をしたいです……。騎士ではなく、ただの孫として……」

「それが、ご主人様の本心ですか」

「はい」

「……そのようですね。ずいぶんスッキリした表情をされています」

「かなり気が晴れましたよ。その……ありがとうございます」

「いいえ。ご主人様の心のケアも、メイドの務めですから」


——改めて、すごい人だと感じた。


お姉ちゃんの「気を付けてね」という言葉の意味を

完全に理解したのも同時だったが……。


とにかく、ただの「ヤバい」人ではないのだ、と。




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