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【完結】宣誓のその先へ  作者: ねこかもめ
【八話】追憶と傷心。
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(72)黒フードに仮面の男

魔物の討伐数はすでに十を超えた。

その中にはクモも含まれている。

今では、霊園で対峙したクモ型の魔物も一人で討伐できるようになった。

だが、この成長を恩師に見せることはもう叶わない。


「何体くらい倒した?」

「十五」

「なん……だと……」


今回は自信があったのに。


一緒に同行しているアイシャよりも、クモ型の分多いと思っていたのだが……。


「十二……です……」

「私の勝ち~」

「おのれ」


彼女の成長もまた、恩師に見せたいものの一つだ。



 お姉ちゃんやリーフさんと合流し、馬車に乗り込む。

こういう場面で周辺を警戒する癖が出来た。

あの時もそうだし、アーベルさんの記憶もそう。


どうも騎士は、この瞬間に気が抜けやすい。


…………。


……今回は大丈夫そうだ。


馬車がゆっくりと走り出す。


「いいわね~、アイシャは」

「何がですか?」

「……」

「そうやって合法的にユウとベタベタできるんだもの。お姉ちゃんがやったらセクハラよ、セクハラ」

「セクハラ、ねぇ……」


何かを言いたそうなアイシャ。


そうだ。


セクハラならとっくにされているし

もし俺が訴えるような後輩なら

お姉ちゃんはすでに裁かれている。


「昔からそんななの?」

「五年くらい前から、アイシャが」

「ユウが」

「え?」

「ん?」


何を言っているんだ、この娘は。


「うんうん」


うなずき、一人で納得するお姉ちゃん。

賢明な判断が下されたことを切に願う。


すっかりアイシャの止まり木と化した左腕に

体温を感じながら話は進み、また、馬車は王都へと入っていく。


それは毎回のことなのだが、今日は違った。


「あら? もう馬車が停まったけど……?」

「なんですかね?」


お姉ちゃんが窓を開けようと手をかけると同時に

馭者をしていたリーフさんがその窓を開けた。


「いったい何?」

「……お客だ」

「お客?」

「「?」」


リーフさんに促され、三人とも座席車から降りた。

彼も馬車を降り、「お客」と呼んだそれが居る方を向いた。


何も言わずとも、その場の全員が状況を理解できた。


——黒いフードとマント。白い仮面。


前に俺たちを尾行していた奴に間違いない。


「魔特班諸君。久しぶりだな」

「……!」


思わず剣の柄に手をかけた。


「おっと、そう警戒するな。うむ……、ここではやりにくいな。」


そいつがそう言いながら掌を上空に向けると、

一瞬だけ眩暈がし、次の瞬間には周辺の景色が一変していた。

まるで夜空に立っているかのような雰囲気だ。


「ここは……? あんた、いったい何をした?」

「大丈夫。我々五人を一時的に空間から切り離しただけだ」


何を言っているのかさっぱりわからないが、今はそれよりも……


「俺やユウたちを尾行していた奴だな? 目的はなんだ?」

「私の目的はまだ言えない。それはそうと、予言の紙はお役に立てているかな?」

「あの紙もあなたの仕業ね? いったい何が——」

「目的は言えぬといった」


男と先輩たちの問答を聞いていることしかできない。

なぜか、奴に話しかけることを極端に拒む自分が居ることに気づく。


「お前の言う、予言通りに現れる魔物はなんだ?」

「そうか、それすらも……。あれは、魔物の長の右腕たちだ」

「魔物の長の……?」

「話が見えないわね」


まず、魔物に長が居るという話だ。

これまで、魔物は烏合の衆で本能のままに攻撃を行っているものとされてきた。

奴の話が本当なら、それは誤りということになる。


そしてもう一つ。長が居るとして、どこでなにをしているのか、だ。

現状、人類軍の優勢とされている。

そんな戦況においてなお、そいつの存在は認知されていない。


——ああ、頭が混乱してきた。


「それは今後分かってこよう。とにかく、今後とも右腕の処理はお任せしたいが……」

「で、今日は何のために私たちの前に現れたのかしら?」

「今日は……」


——緊張が走る。


「……君たちの力を試させてもらいに来た」


——ああ、やっぱりそうなるか




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