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【完結】宣誓のその先へ  作者: ねこかもめ
【八話】追憶と傷心。
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(69)二人の実力

馬車が停まった。目的地に着いたのだろう。


「ユウ、アイシャ、着いたぞ」


ブルーダーさんが座席車の扉を開く。


「……なんで四人乗りの座席車で隣に?」

「え、あ、まあ、ちょっと」

「うん、ちょっと」

「……そうか」

「若いのう」


ブルーダーさんはともかく

身内の祖父にそれを言われたのはなかなか効いた。



さて、霊園は馬車を降りてから三十分弱歩いたところにある。

なぜそんな面倒な場所に作るんだと文句を垂れたくなる。


「ところで、じいちゃん」

「どうした?」

「今日じゃなきゃ、ダメだったの? 今朝になって突然言い出したみたいな感じだったし」

「うーむ、ユウに話すのは早い気もするが……。そうだな、今日は節目の日でな」

「節目?」

「そう。何のかは今度話そう。とにかく、一家にとって大事な日なんだ」

「へえ。あれ、でも」


そう、一家にとって大事なら……。


「父さんは知らないの?」


今日の墓参りを止めていた父さん。

山が危険だと知っているからだろうか……。


「お父さんには、まだ伝えてないんだ。代々、いろいろと面倒があっての」

「そうなんだ」

「ユウにもいつか、きちんと話さないといかん」

「うん」


俺に話したということは、俺は代々の面倒というやつに

巻き込まれるってことか。何だか将来が不安になった。



歩き始めて十分弱。

やはり、着いてきてよかった。


「ユウ、アイシャ!」

「うん」

「わかってる」


——魔物だ。


腰に下げていて剣を抜き、周辺に気を配る。

小さな物音も聞き逃さないよう、全神経を尖らせた。


……静寂が続く。敵も警戒しているのだろう。


……風に舞う木の葉だけが騒がしい。


「そこ!」


アイシャが茂みに向かって石を投げると

驚いたサル型が飛び出してきた。


「はあっ!」


すかさず剣撃を浴びせ、そいつを葬った。


「ナイス!」


——瞬間。


何匹ものサル型が一斉に飛び出てきた。


「群れだ! 二人とも、訓練通りに落ち着いて対処しろ!」

「「了解!」」


——右から一匹っ!


鋭い爪を光らせながら助走をつけて攻撃してきた。

が、これを難なくかわして——


——くらえっ!


頭頂部から剣をお見舞い。

敵は断末魔を上げて地面に倒れ込む。


——向かってくる足音……。


後ろか!


振り向くと、タックルをしようと突っ込んでくる奴が二匹。

一匹は斬れば防げるが……。


——来たっ!


ジャンプタックルしてきたところを、剣で斬り落とす。

続いてもう一匹。今、剣を振った勢いが生きているため

これを斬るのは難しい。だが落ち着け、俺には能力がある。


「来い!」


俺の体とサル型が衝突する刹那、力を反射する能力を発動。

サル型は軽く飛び、しりもちをついた。

その隙に胸辺りに剣を刺してトドメ。


安心したのも束の間。


今度は——


「……っ! じいちゃん! 逃げ——」


魔物が一匹、祖父を狙って腕を振り上げていた。

ここでケガをされたら……っ!


——間に合ってくれ!


全速力で祖父の方へ向かうが——


——くそ、間に合わな……


——一瞬、目を瞑ってしまった。


——しかし、聞こえてきたのは祖父の声だった。


「死んでなるものか!」


祖父は立っていた。太い枝を拾い、サル型の攻撃を何とか防御していた。

そういえば父さんは「親父も多少は剣の心得がある」って言ってたっけ。

たまたま太めの枝が落ちていてよかった。


うってかわって、俺は冷静にその魔物を斬り裂いた。


「おお、ユウ。助かったよ」

「うん。良かった。ケガはない?」

「ああ、大丈夫だ。若いころに競技剣術をやっていてよかったよ」

「役立ったね」


祖父の無事を喜んでいると、

アイシャとブルーダーさんが合流。


二人とも無事そうだ。


「よくやったな、二人とも」

「ううん。サルくらいじゃ、ねえ」

「まあ、うん」


ちょっとピンチだったくせに、そんな調子のいい返事をしてしまう。


「いやあ、正直驚いた。お前たちがここまでやるなんてな。もう俺なんて要らないんじゃないか?」

「えへへ」

「そんな」

「事実、一人でサル型を何匹も相手したんだ。それも無傷でな。もうそこらの騎士なんかより強いと思うぞ。お前たちなら魔特班まで行けるかもしれないな」

「魔特班?」

「ああ。魔族討伐特別作戦班。騎士の中でも特別優秀な奴だけが入れる班だ」

「へえ。ユウ、一緒に目指そうよ」

「だな」


……魔特班、か。

それはいいことを聞いた。


アイシャと共に頑張ってみよう。


そう決めた。


その時の祖父の顔は笑顔。


頑張れよ。


そう、応援してくれている気がした。


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