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【完結】宣誓のその先へ  作者: ねこかもめ
【七話】怠惰と変動。
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(59)寝坊助の少年

……。


声が聞こえる。


なんだって?


「……ユウ! 起きなさい」


なんだ、母さんか……。


「ユウ。もう二人とも迎えに来たわよ」


……二人……?


ああ、アイシャとサラか。


「……⁈」


迎えに来たのが誰かわかってから数秒後、オレは布団から飛び出た。


「また夜遅くまで遊んでたんでしょ? ほら、さっさと顔洗いなさい」


図星をつかれたオレは何も言い返せず、「うん」とだけ言った。



 用意を済ませて外に出ると、二人が待ち構えていた。


「おはよ」

「おはよう、サラ」

「おっそいよ」

「すみませんでした」


優しいサラと、怒るアイシャという対比は

いつものことで、何なら昨日も見た気がする。


「とりあえず公園いこ」

「あいよ」

「うん」


マモノ、とかいう化け物が現れたらしい

というニュースが流れてからもう三か月。


俺たちの住むストロングホールドは王都を守る最後の砦だから

ここにマモノが攻めてくることは滅多にない。


それでも、この街には物資の運搬車や常駐の騎士たちが増えた。

あまりいい人とは言えない騎士も多い。


歴史では、騎士は格式高く、誇りを持つ人たちだと教えられた。

この街にいる彼らを見ても、その片鱗は全く感じられない。

今日も公園の隅で酒を飲んで居眠りしたり、大声で怒鳴ったりしている。


「……また居るね」

「ほんと、迷惑しちゃう」

「……」


この公園は、この前まで子供たちの憩いの場だった。

しかし今では、横暴な騎士たちがたまり、遊ぶ子供の姿はめっきり減ってしまった。

オレは、そんな騎士が嫌いだった。



 公園の遊具で遊びながら、今日は何をするかの会議をした。

商店を見て歩くとか、もう一度教会を見に行くとか、防壁を登るとか。

十人十色の意見を出し合い、結局は「図書館で面白そうな本を探す」という

頭のよさそうな案が採用された。こういう案を出してくれるのはサラ。

アイシャを上手くまるめこむ能力に長けている。



 普段はあまり本を読まないオレは

何が自分にとって「面白そう」なのかわからず

図書館の中を何周もうろうろしている。


古典は読めないし……絵本は何だか恥ずかしい。


文学作品……? 


歴史書は……難しそうだ。


なんて悩んでいると、時計はすでに二十分の経過を示していた。

もしかしてオレ待ちなんじゃないかという焦りから、

選ぶジャンルを小説に絞って集中することに。


本のタイトルだけをざっと見、気になったら背表紙のあらすじを読んでみる。

そんな感じで、全神経を尖らせて探す。

学業関連では発揮されることのない力だ……。




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