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【完結】宣誓のその先へ  作者: ねこかもめ
【六話】嫉妬と嚆矢。
55/269

(55)決死の一撃

 それから何分経過したか分からない。

火への対処法は思いつかず、防戦一方。


「はぁ、はぁ……」


さすがに息が切れてきた。

それは俺だけじゃなさそうだ。


「……くそっ‼」


火だるまが猛スピードで迫り来て、その熱を間近に感じつつ回避。


これをもう何回繰り返したことか。


すれ違いざまに斬ろうにも、剣がやられないか心配で手が出せない。


だがこのままでは埒が明かない……。

次の機会には攻撃を試みようと決めた。



——来たっ‼


突進を右にずれて避け、開いた口に、剣を横に持って合わせる。


「くらえ‼」


全力で押し込みながら能力を併用。


だが——


「なっ⁈ 剣が……腐ってるのか?」


——奴の口にヒットした俺の剣は、そのまま噛みつかた。

牙にはヒビが入るも、吐かれた、膨らみから出たのと

似たような霧を浴びて、砂のようにだんだんと崩れていく。


やはりあたったらヤバいという予感は正しかった。


——腐りきる前に刺す!


浸食されていく剣を無理やり引っ張り、生き残った刃を奴の首へ。

血と例の霧が吹きだす。


だが、俺が即座に退避した理由はそれだけじゃなかった。


やはりこの火は厄介だ。


「おいユウ、大丈夫か?」

「ええ、なんとか」


魔物が呻いている隙に、リーフさんが瞬間移動で救出してくれた。


「よくいったな」

「あのままじゃ、埒が明かなかったんで」

「まあそうだな。お前のおかげで、流れは変わったぞ」


見ると、エリナさんが奴を食い止めている。


「動きが鈍ってきてますね」

「ああ。お前の攻撃が効いたみたいだな」


俺の放った苦し紛れの攻撃は、その割には絶大な効果を発揮した。

首へのダメージ蓄積は、人間だろうが魔物だろうがきつい。

もっとも、そこまで考えたわけではなく、反射的な判断だったが……。



 剣を失った俺は、隙を作ることに専念。

動きの鈍った敵が相手なら、爪攻撃を手で受けて反射することはたやすい。


「お怪我はありませんでしたか?」

「俺は大丈夫です。それよりエリナさんは?」

「私も大丈夫です」

「よかった」

「来るぞ‼」


——右爪。


これは向かって右に流す。


最初とは違って、今は二本足で立っている。

それ故にバランスを崩すのも簡単だ。

出来た隙に二人が攻撃を仕掛ける。


しかし、やはり火のせいで、前回の魔物のように

腕を斬り落とすほどまでは追い込めない。



 何度かそれを繰り返していると、ダメージを蓄積させた恩恵か

体を覆っていた火が弱まり、次第に——


「消えた!」

「やったな」

「畳みかけましょう!」


——左爪。


——右腕。


——そして脚、身体。


時間と共に傷と欠損が増えてゆく。


このまま勝てるか……?


そう思ったのも束の間、二人の猛攻撃に怯んだ魔物は

俺たちの頭を超えて山の方へ向かった。



 リーフさんの瞬間移動で追いかけると、

それから逃げるように、器用に地面を掘って潜り込んだ。

地面が揺れる。地震と錯覚するような規模だ。


何秒かして再び姿を見せたそいつは

身体を氷の鎧で守り、欠損部位も氷を使って補っていた。


リーフさんが距離を詰めて斬り込むが——


「くっ、かてぇ‼」


——やはり通らない。


これまた厄介なことに……


「ここは私にお任せください」


そう言って俺とリーフさんの前にエリナさんが歩み出た。


「おい、今のそいつは硬いんだ。お前には——」


そう。こいつが着ているのは、力の強いリーフさんの攻撃をも弾いた鎧だ。

エリナさんに斬ることが出来るとは思えない。


だがそれでも、エリナさんは落ち着いていた。

それどころか、勝機を見出したような表情をしている。


「大丈夫です。必ず勝ってご覧に入れます」



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