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【完結】宣誓のその先へ  作者: ねこかもめ
【六話】嫉妬と嚆矢。
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(48)醜い嫉妬の魔物

 俺とアイシャが、幾度となく吐かれたセリフがある。


「ガキが」だ。


通常、騎士校を卒業して普通の騎士として何年か戦い、試験を受けて入るのが魔特班だ。

自分でこういうことを言うのは好きじゃないのだが、俺たちはそうじゃなかった。

騎士校生の時にその試験に通り、卒業と共に今の班に入った。


そんな俺たちに向けられた言葉が「ガキが」だった。


親しい人たちは皆「気にすることは無い」と言ってくれた。

だが、俺とアイシャは、最初から気にしてなどいなかった。


その言葉を発しているのが誰で、何なのかを知っていたからだ。


ただただ醜いと思った。


そんな文句を垂れる暇があるなら、その時間を

上へ上るために活用すればいいのに、と。


そうとだけ思った。


 それを吐く人は、総じて試験を通れなかった人たちだ。

騎士として実践を積み、プライドがあった。

その自分は試験に通らなかったのに、騎士校生のガキ二人が合格した。


「ガキ」という、言われる側が悪者であるかのように聞こえる言葉を使い

上から罵詈雑言を浴びせるように言い放ったそれは、単なる「嫉妬」に過ぎない。




 王都の屋敷に来て、もう四日目。休暇は昨日で終わり、今日からはまた魔物と戦う日々が続く。

そんな、少しばかり憂鬱な日の朝のこと。

目覚まし時計に叩き起こされ、いつものように同居人を起こす——


「あれ?」


——居ない。


アイシャが早起き……槍でも降るのだろうか?

などと呑気なことを言っている暇はない。

さっさと着替えて任務の支度をしなければ。


「アイシャ~?」


部屋の中を捜索するも、やはり彼女の姿はない。

先に食堂に行ったのかもしれない。

そんなことがあるだろうか、と半信半疑のまま向かった。



 食堂に到着。どの椅子にもアイシャの姿はない。

お姉ちゃんとリーフさんはもう居るのだが……。

二人に挨拶をし、椅子に座った。なんだか不安になってきた……。


「ユウさん、おはようございます」

「おはようございます、エリナさん」

「……何かお悩みでも?」

「え、まあ……。どうしてわかったんです?」

「メイドの勘です」


そんな言葉は初めて聞いたが……。


「ユウの隣にアイシャが居ないと違和感がすごいわね……。どうしたの?」

「起きたらもう居なかったんですよ……。どうしたんだろう」


日常的に傍らにあったものが突然消えるとどうなるか。


俺はそれを知って——


「失礼いたします。旦那様、ご飯またはパンのご希望はございますか?」

「そうですね……じゃあ……っ⁈」


――そこに立って俺に質問をしていたのは

メイド服に身を包んだアイシャだった。


「びっくりした?」

「心臓とまった」

「アイシャ、メイド服似合うじゃない」


どう? と見せびらかすアイシャ。


「……似合ってるけど、突然どうした?」

「……だってユウ、メイドさん好きなんでしょ?」

「…………」

「ここにきてからメイドさんばっかり見てたし」

「……あの、暴露大会やめて」

「安心しろ、みんな知ってる」

「え」

「そうね。今更気にしなくても良いんじゃないかしら」

「え」


――これは悪夢か?


「だから、ユウをメイドさんから取り返す作戦よ」

「そんなに見てた?」

「うん。もうね、ガン見」


——ガン見、とまでは言わない(言いたくない)が

思い返してみれば確かに結構見ていた気がする。


「大変申し訳ございませんでした」

「いいよ」

「優しい」


そういえば昔、あいつと二人で話しているとよく引き剥がされたっけ。

意外なのかどうかは良いとして、アイシャにはそういう面がある。


……反省。


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