(47)未来予知
アイシャとエリナさんが部屋に荷物を運び込んだ。
「ユウは部屋の外で待機。待て。お座り」
と言われたので廊下で待機している。
まぁ、当然だ。
「お待たせ〜」
「お待たせ致しました」
しばらくして部屋から出てきたのはアイシャと
メイドの制服に着替えたエリナさんだ。
「メ、メイドさんだ……」
「なんで今更……?」
「はい、メイドでございます。何でもお申し付けを……ご主人様?」
「ごっ……⁈」
刺さった。
心に、数多の矢が。
「ほらほら、次。案内するんだから突っ立ってないで〜」
「あっ、ちょっ……‼」
気をつけてね、の意味が少し分かった気がした。
しかし、アイシャはそんな事お構い無し。
強引に腕を引かれ、主要設備を案内。
最後に派遣メイドさんの所へ行った。
エリナさんの自己紹介を済ませた。
そのまま仕事に参加するようだ。
リビングにてアイシャと喋っていると
リーフさんとお姉ちゃんが帰ってきた。
「由々しき事態よ」
「「……?」」
いつになく真剣な顔をしている二人の圧に押され、緊急ミーティングが開かれた。
「まずはリーフ。あなたの報告から」
「さっきまで王都内を散歩してたんだが、そうだな……簡単に言えば尾行された」
「相手はどんな奴ですか?」
「フードと仮面で顔は見えなかったが……服装は全身真っ黒だった」
やはりそうか……。
「実は俺達もそいつにつけられたんです」
確かにあいつも真っ黒だった。
「お前らもか」
「はい」
「追い詰めたら路地に入って消えちゃったんです」
「同じくだ」
俺たちに何か用事か……?
「で、そいつと関係があるかは分からないけど、この紙ね」
さっき届いていた謎の紙。
「そういえば、何を調べに行ったんです?」
「ヴァルム地方で戦った時、先代の報告書にコアがある魔物の記載があったって言ったでしょ?」
「そういえば」
「言ってましたね」
「その報告書を探しに行ったの。書庫に保管されてたわ。それでね、さっき見せたこの紙」
例の紙と地図をもう一度机に出して続ける。
「先代の報告書に書かれていた日付の三日前がそのリストの一番上。それと、その報告書に書いてあった強力な魔物の出現場所は、ブラウ海岸」
一番上の座標は……っ!
「ブラウ海岸、ですね……」
もし、ここに書いてある内容が本当ならば──
「そう。つまりこのリストには、この前みたいな強力な魔物が現れる場所と時期が書かれているのかもしれないわね」
──それすなわち、「未来予知」である、と。
未来予知。
将来起こる出来事を事前に知ること。
魔物がいつどこに現れるのか。
それを俺たちは今、知ってしまったのかもしれない。
無論、確証はない。
二つだけ既成事実を書き、残りは嘘かもしれない。
むしろ未来の事である以上、ほとんど嘘と言っても良い。
未来予知なんて出来っこないからだ。
そう思う反面、見事に重なった二つの奇妙な出来事。
その偶然が、俺に訴えかける。
──これは虚妄ではない、と。




