(43)新・魔特班屋敷
一班と別れて、俺たち魔特班は王都へ。
道中の馬車では居眠りをしてしまった。
「ユウ〜起きなさい」
朦朧とする意識の中に聞こえてきたのはお姉ちゃんの声。
……起きなければ。
それは分かっているのだが、体が中々言うことを聞かない。
「ほら、アイシャもよ」
ゆっくりと目を開く。
見えてくるのは馬車の座席車……ではなく、何故かお姉ちゃんの顔。
「うわ、近!」
「うわって何よ、うわって」
「あぁいや、悪気は……」
そう言う事をするのはやめて欲しい。
この人はどうも、自分の容姿を評価していないというか
分かっていないような感じがする。
貴女、見た目は美人なんですよ。
見た目は。
馬車から降りると、大きな屋敷があった。
その大きさや広さに、いちいち感嘆の声を上げながら玄関──否、エントランスへ。
先頭を歩いていたお姉ちゃんが玄関扉──否、フロントドアを開く。
瞬間、目に入り込んできた景色は……
広さもそうだが、絨毯や壁、天井に至るまで
騎士の住む屋敷とは思えないものだった。
そして、俺に追撃するかのように
一人の女性が早足でこちらへ向かってきた。
「おかえりなさいませ。お待ちしておりました、魔特班の皆様」
メ、メイドさんだ……‼
本物だ!
一人でソワソワしていると、アイシャが俺の手を握る。
……すみません。
「お出迎えありがとうございます。早速ですが、荷物を積み下ろしたいのですが……」
「はい、それでしたら他二名も呼びつけて参ります」
「助かります」
合計七人。
四人分の荷物を積み下ろすには十分過ぎる戦力により、作業はすぐに終わった。
「すみません、お夕食の用意がまだでして……。一時間ほどかかってしまうと思います」
「大丈夫です。その間に部屋を決めて荷物も運び入れちゃいます」
「恐れ入ります。階段がありますので、お怪我などなさいませんようお気をつけください」
「分かりました。ありがとうございます」
荷物を運ぶ前に、一通り屋敷を見て回った。風呂やトイレから食堂まで。
残すは個人部屋が連なる廊下と、その先のみ。
前を歩いていたお姉ちゃんが、ドアノブに手をかける。
ゆっくりと捻り、
押した。
しかし。
「あれ、開かないわね……鍵かしら?」
何度か挑戦するも、やはり開かない。
「なぁ、引き戸じゃねえの?」
お姉ちゃんは何も言わずに引く。
扉は、いとも容易くオープン。
「引き戸、だったんだね……」
「ももももちろん知ってたわよ? あなた達を試したのよ」
試す意味が一寸たりとも分からないが……。
お姉ちゃんも緊張していたのだろう。




