(40)変わらない四人
玄関へ行くと、クリスとミラが待っていた。
「よう、遅かったな」
「ああ、ちょっと、な」
「アイシャ~、ユウ~、おひさ~」
「ミラ久しぶり!」
「おう、久しぶり。相変わらずか?」
「ああ、こいつは相変わらずビッ……ゴフッ⁉」
クリスの腹にえぐいスピードのミラの拳。
「え? クリス。誰がビッチだって?」
「す、すみません……」
「私はまだ汚れてないんだから」
「「え⁈」」
ミラの衝撃発言に驚愕するクリスと俺。
「私だって」
「「え⁈」」
アイシャの衝撃発言に驚愕するクリスとミラ。
……と、騎士校時代から何一つ
変化も成長も無い会話をし、俺たち流再会の儀は終了。
「で、昼飯どうすんだ?」
「あっちの商店街に美味い店があるんだ」
アイシャお気に入りのラムステーキを出している店だ。
ツケを払わないとな……。
「へえ、行ってみたい」
「だな。ここに住めば俺たちも通えるわけだし」
「雑貨屋さんもあるよ」
「雑貨屋?」
突然何かを言い出すアイシャ。
クリスの方を見て、半笑いで言った。
「トイレットペーパー」
「俺はいつまでアイシャからそれで弄られるんだ……?」
例の商店街に到着。もう慣れ親しんだ二人と、初見のその場所に心躍らせる二人。
腹が減った俺たちは足早に店へ。
店内は薄暗く、キャンドルの優しい灯りが点されている。
内装は、古い木造を演出しており、とてもいい雰囲気だ。
席へ案内され、メニューを見る。
「結構豊富だな」
「ホントだ」
「アイシャはいつもの?」
「違うよ」
「……はい?」
何を言い出すんだ、この娘は?
「一昨日の競争」
……オオカミ型四匹のやつか。
「昨日の囮」
……俺が腕を怪我した時の。
「ワンランク、アップ」
……何も言い返せない。
「了解」
ああ、俺の財布が軽くなる。
なんて言っている間に、二人は注文が決まったらしい。
俺とクリスはハンバーグ。
ミラがビーフシチューでアイシャが恐ろしく高い羊肉。
店員に伝え、俺たちは再び雑談タイムに突入。
「ねえ、あのお屋敷ってどんな感じなの?」
「う~ん、兵舎よりは良いってだけだよ」
「標準レベルの台所も風呂もトイレもある」
「良いところじゃんか」
「「ただし、雨漏りする」」
「……前言撤回」
他にも何か特徴を教えようと思ったのだが……。
「……以上」
「「えっ」」
「うん、確かにそれくらいしかないよ」
「もっとこう……あるだろ?」
「「ないよ」」
「へ、部屋は?」
そういえば自室を真面目に評価しようと思ったことは無かった。
あの部屋は……。
「棚が備わってる。ベッドがある。一人で使うのにちょうどいい広さ。あれ?」
灯台下暗し、とはよく言ったもの。
「へぇ、部屋は良さそうね」
「二人でいても十分だよ。ね、ユウ」
「おい暴露するな」
「お前……」
「何もしてねえから!」
「まだね」
「まだ……」
「こら火に油を注ぐな」
「だからミラ」
「ん?」
「男連れ込んでも」
「だーっ‼ アイシャまで言うの⁈ 連れ込まないから! アタシそんなに汚くないから!」
「おい静かにしろって、店内だぞ」
冷静なクリスによって事態は収束。
屋敷の話してたのに、いつから殺し合いになったのだろう……。




