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【完結】宣誓のその先へ  作者: ねこかもめ
【四話】暗晦と憂虞。
34/269

(34)私はここにいる

ドアを開けてお姉ちゃんの部屋の方を見ると、もう灯りは消えていた。

寝てくれたらしい。お姉ちゃんだって今日はお疲れでしょう。


「リーフさんは?」

「リーフさんは別に怖がってないし、大丈夫でしょ」

「そっか」


それじゃあ出発! と張り切るアイシャ。その手には燭台が。


「ちょっと待って」

「なに?」

「まさか、蝋燭の灯りだけで行く気?」

「うん」

「なんで」

「なんでって、屋敷中明るくして気付かれたらどうするの?」


筋が物差しの如く真っすぐ通ってて腹立たしい。


「ちぇ」

「え、もしかして」

「さあ行こう出発だ今すぐナウ!」


半ば強引にアイシャの腕を引いて廊下へ。



……などと、いきがって部屋を出たわけだが。


「うわ、暗っ」

「夜だからね」

「めっちゃ静かだし」

「夜だからね」


そうですね。

アイシャから出る能力の光と蝋燭はあるが、暗いものは暗い。


「ほんで、幽霊さんはどこ?」

「さあ」


まあそうだろうと思った。

ヴァルムの平野ですぐにガイストさんを発見できたのは

文字通り平野だったからだ。視界を遮るものがほとんどなかった。


 だが、ここは違う。むしろ視界を遮るもので構成されている。

つまり、見つけるまで屋敷内部を練り歩かなければならないわけだ。


「ユウの部屋と私の部屋には居なかったから、そこ以外ね」

「よかった」


俺の部屋に居ようものなら……



お姉ちゃんの部屋とリーフさんの部屋に侵入するわけにはいかないので

まずは二つの空き部屋をチェック。


「うええ、気味悪い」

「居る? 居ない?」

「……居ないかな」

「はーい撤退直ちに即座に」


誰も使っていない部屋故、掃除もしていない。

そこそこたまった埃とクモの巣が非常にそれっぽい雰囲気を作っていやがる。


「うーん、こっちの部屋にも居ない」

「やっぱり下か」

「そりゃあそうよね~」


おい分かってるなら今の二部屋を覗いた意味は?



「下行こー」

「おー」


廊下を進み、階段へ。


「ユウ」

「ん?」

「なんでずっと私の裾掴んでるの?」

「え、いや、ほら。アイシャが迷子にならないようにさ」

「半年以上暮らした屋敷で迷子になる人居ないよ」

「ほら、何があるか分からないからさ」

「別にいいけど。このまま階段降りると丸出しになっちゃうよ? 穿いてないんだから」

「なんで穿かないんだよ!」


丸出しはよろしくない。

ここは大人しく放そう。


「うっそー。私だってパンツくらい穿きますよ~」

「あ、ちょ! 卑怯な!」


あれ、パンツならセーフみたいになってね?


……まあいっか。


取り敢えず階段を駆け下りるアイシャを追った。



 スライド式のドアを開けてリビングへ。

この場所は、実際にマグカップ事件が起こった場所だ。


一番怖い。


「ねえユウ」

「ん?」

「ん? って。しがみついてくれるのは私としても嬉しいけど。歩けないよ、これじゃあ」


すみませんね。


でもさ。


「これ行くの? マジ? 暗いよ?」

「明るくするにしても、まずリビングに入らないと出来ないよ」


たしかに。


ここは冷静に、裾で我慢。


「まあ蝋燭もったいないから点けないんですけど」


さっきから騙されすぎ問題。


と、次の瞬間のこと。


《オ……ココ……ルゾォ……》

「ひぃぃぃぃぃっ⁈」

「ユウの声にびっくりしたよ……。なに?」

「え、聞こえなかった?」

「何が?」

「うめき声!」


アイシャには聞こえていない……?

俺が単独で霊との意思疎通ができないから?

などと冷静な考察をしているほどの余裕は無い。


《オ……ココ……ルゾォ……》

「ほらまた!」

「まだ見えないけど……近くに居そうね」


冷静なアイシャを見ていると、何だか俺も落ち着いてきた。


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