(30)解放
「ああ確かにこりゃあ洒落にならねえな! 掴まれ!」
瞬間移動で岩の陰に避難した途端、直前まで居た方向から爆風が来た。
「間一髪、だな」
「さすがに死ぬかと思ったわね」
「良かった……。未経験で死ぬところでした」
「え?」
「は?」
「え、何ですか?」
「ああ、いや。何でもないわ。忘れてちょうだい」
とりとめのない会話を中断し、爆心地へ。
そこにあったのは、無惨にも爆散した肉塊。
さっきまで俺たちを苦しめていた者の姿は、惨い物体に変貌していた。
怒りに任せて食いまくった結果、エネルギー過剰になって爆発
と言ったところか?
「ユウ、これ何だろう?」
「どれ?」
「ほら、死骸に埋まってる赤黒いやつ」
言われた部分を見ると、確かに何かある。
「ちょっとお姉ちゃんにも見せて」
霊はダメでも、こういうのは平気なんだ。
などと失礼なことを思っていると、お姉ちゃんが何かを思い出したようだ。
「これ、この魔物のコアかもしれないわ」
「「コア?」」
魔物に核があるなんて話は聞いたことが無い。
「おい、じゃあもしかして……」
リーフさんも心当たりがある様子。
「ええ、間違いないわ。先代魔特班の報告書に書かれてた超強力な魔物……。こいつはその類かもしれないわ。」
先代は、お姉ちゃんやリーフさんが配属される前の年まで前線で活躍していた。
しかし、ある時突然、壊滅してしまったらしい。その真相は定かではないという。
そんな先代が遺した報告書にコアという記載があったのだとか。
その報告書は、俺とアイシャが来る前に回収されたらしいのだが……。
「確か、コアは破壊しないといけなかったはずよ」
「やってみます」
俺はそのコアに、剣を力いっぱい突き刺した。
ガラスのような音をたてて割れ、同時に魔物の体が淡い光と共に蒸発するように消えた。
——終わった。
最後に周辺を捜索し、人間の遺体を発見した。
「かなり腐敗が進んでるけど、外傷は無いわね」
「顔は明らかにガイストさんですね」
「だな。一体どうなってんだ?」
「あれ、そういえばユウ。魔物が出てくる直前に何か言いかけなかった?」
「あぁ、あれは」
ガイストさんが霊魂として存在している理由の考察を言いかけたんだった。
彼は最後に足を怪我して、とてもじゃないが泡を避けられるような状態じゃなかった。
その事実と、遺体を見て今、推測は確信に変わった。
「ガイストさんの所に行って話しましょう」




