表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】宣誓のその先へ  作者: ねこかもめ
【三話】貪食と喜悦。
27/269

(27)魔特班本格始動

《俺は結局、隊長の最期の命令すら……っ‼》


 幽霊さん、もといガイストさんは悔しそうな様子だ。

何も出来ずに仲間を失った彼の気持ちを、俺は理解できた。

きっとアイシャもそうだろう。


だが、泣いている暇はない。

調査団の隊長やガイストさん、その仲間たち、そしてヴァルム地方の危機を脱するためにも。

その魔物を討たなければならない。必ずだ。相手が未知だろうと関係ない。


「魔特班ちょっと集合」


お姉ちゃんが集合の指示を出す。


「例の魔物が家畜の事件と関わっているかはまだ分からないわ。でも調査団の壊滅とは大いに関係があるようね」

「そうですね」

「ならやることは一つよ。我々魔特班はこれより、当該魔物の討伐作戦を開始するわ。異論は?」

「ない」

「ありません」


ああ、やってやるさ。戦う。

俺はあの時、そう誓ったのだから。


「ありません」

「それじゃあ、作戦開始‼」

「「「おう‼」」」

《ありがとう、君たち。俺に手伝えることがあれば、遠慮なくいってくれ》



 戦うにはまず、情報が大切だ。サル型もオオカミ型も、クモ型も。

どの魔物も行動パターンを知り、攻撃法を把握するだけで難易度が格段に下がる。


まあ、昨日のクモ型のようなイレギュラーもあるわけだが。


とにかく、アイシャがガイストさんから知る限りの情報を聞き出した。


まとめるとこうだ。


骨格はヒト型で、背中や腰回りから触手が生えている。

人間と同じような武器、剣と盾を持っている。

音もなく移動し、その移動が目視できないこともある。

そして特筆すべきなのは、その魔物が殺した生き物はきれいさっぱり消え去るといった特徴だ。


「きれいさっぱり消え去る、ね。」

「お姉ちゃん、それって」

「ええ。モルケライさんの言っていた内容に近いわね」

「すると、その魔物が日に日に家畜を減らしてるってことか」

「可能性は高いと思うわ」


だけどここで、俺には一つ疑問があった。


「アイシャ、ガイストさん以外に霊はいない?」

「うん。少なくとも見える範囲には居ないかな」


その魔物に殺されると、その者は消え去る。

他に霊が見当たらない以上、霊魂すらその例外ではないはずだ。


じゃあ、どうして


《どうして俺は、霊として存在出来ているんだ?》

「もしかしたら、ガイストさんの遺体は残っているのかもしれません」

「辛いとは思うけど、あなたが亡くなった場所、分かる?」

《ああ、岩場の近くだな。確か地面が抉れている部分があって……そうだ、旗を立てた所のすぐ近くだ》

「岩場……、あれか?」


リーフさんが指さす方向に、確かに岩が沢山転がった場所がある。


「とりあえず行ってみるか?」

「ええ、そうね」



 リーフさんの瞬間移動で例の岩場へ。


「ここだな。間違いない」


岩場に着いた途端、目に入ったのは地面に転がっている剣。スタークさんの物だろう。

少し高いところから見渡すと、旗も確認できる。


「うーん、確かに血痕一つないわね」

「隊長さんの霊も居ません」


あの仮説は正しそうだ。

となると、俺たちが依頼された事案の犯人も奴という事になる。


「じゃあ、残った疑問は後一つね」


なぜ、ガイストさんは霊魂として存在出来ているのかだ。


「ガイストさんが走っていったのは向こうの方だったな」


ここから王都の方向だ。

そうか、助けを呼びに……。



 しばらく必死に考えていると、彼に関するある説が浮かんだ。


「そうだ」


何かそれらしい事を思いついたのかと、三人が俺を見た。


「もしかするとガイストさんは——」


そこまで言った瞬間のこと。


小さい林の木々から、大量の鳥が一斉に飛び立った。


思わずそっちに視線を向ける。


鳥たちに少し遅れて、その近くにいた牛や羊たちが逃げるように走りだした。


何事かは、何も言わずともその場の誰もが理解した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ