【番外2021.12.30】贈呈と聖夜。(5)
色々とあって、やっと北部の丘まで来れた。
いつ来ても綺麗な景色だが、今日は祭りの景色も加わって、いっそう美しくに見える。
「綺麗……」
「だな」
「やっと、二人になれたね」
祭り会場では、どこもかしこも人だらけだった。それに、あそこには友人や班員、変な酔っぱらいが居て、二人で居るのに二人でない感じがしていた。邪魔だとか言う訳ではないが、こうして静かな場所で二人きりだと、心が落ち着く。
「ユウ」
「ん?」
それまで俺の右腕にしがみついていたアイシャは、今度は、俺と景色の間にぴょこんと躍り出た。
そして——
「……」
「寒いから、仕方ないよね」
正面から抱き着かれた。冷えた体に、彼女の暖かさを感じる。
「ああ、しょうがないな」
「……ねえ」
「……言われなくても、分かってるよ」
アイシャの身体に腕を回し、しっかりと抱き寄せ、彼女にキ——
《おお、遂に接ぷ——》
「「……」」
《「もう、なんで肝心なところで邪魔しちゃうの⁈」》
——はい?
《すまぬすまぬ。あまりに焦らすものじゃから、つい声に出てしまったわ》
——な、何で
「何で、サラと「神」がここに……?」
《さあな。聖夜とやらだからではないか?》
「説明になってないよ……」
台無しだよ、全く。
《良いぞ。余らに構わず続けてくれ》
「「出来るか!」」
《「うう……ごめんね、二人とも」それよりもどうじゃ、余にもして見せよ!》
口をとがらせて、人差し指で自身の唇を指す「神」。
「するかアホ」
《なんじゃ、つれないのう「なんてこと言うの、バカバカ!」おい小娘、そんなに心拍数を上げては「わーっ! とにかく邪魔しないで!」》
「……うるさい」
《「ごめんね、アイシャ。もう消えるから‼ じゃあ——」待て、小娘》
その静止には、先ほどまでとは違う、いたってまじめな意思が含まれていた。
サラが止まったのも、俺たちが「神」に視線を向けたのも、遵守に従ったからではなかった。
《余にはもう、悉くを滅する力は無い。奪ったのは主らじゃ》
「「……」」
《どんなに醜い世界となろうとも、主らだけは逃げ出すことは許さぬぞ? せっかく機会を与えてやったのじゃ。その強靭な意思、その愛とやら、最期まで——》
「あんまり図に乗るなよ、神様」
《?》
「俺とアイシャがこうして一歩前に進めたのは、俺たち自身が勝ち取ったからだ。お前からのプレゼントなんかじゃない」
「止まってたのも、進んだのも、私たちが勝手に決めた事」
「そういう事。お前の意思なんか、俺たちにゃ関係ねえよ」
そう。
騎士の道を選んだのも自分。
呪いをかけたのも、祓ったのも。
この景色を見に来たのも。
全部、俺の意思だ。何一つ、他人から贈呈されてなどいない。
《そうか。ふふふ、神ともあろう余が、主らの未来が楽しみになって来よったわ》
「邪魔したのはお前だろ、黙って観てりゃよかったのに」
《そうじゃったな。では、余らはここで消えるとしよう。小娘、もう良いか?》
さっきから思ってたけど、けっこう仲良しじゃん二人……。
《「幸せに暮らしてね。それが、私の願いだから」》
「おう」
「任せて」
《最後に一つ訊きたいのじゃが》
「何だよ、次から次へと」
《帰還後はどうするのじゃ⁈ 邪魔の入らぬ部屋で先ほどのリベンジをするのじゃろう? その後じゃ! どこまで行くのじゃ⁈ もしや——》
「うるせえさっさと帰れ!」
「ふふ」
——え、何に笑ってるんですかアイシャさん?
《そう怒るな。ではな》
「帰れ帰れまったく。サラも、じゃあな」
「じゃあね」
《「うん。じゃあね」》
数秒手を振っていると、「神」とサラは虚空へと消えて行った。
「……ユウは、やだ?」
——貴女まで何を仰っているのですか。
「さっさと帰るぞ」
「もう、素直じゃないな~」
彼女の手を引き、足早に屋敷方面へと進んでいった。
【番外】贈呈と聖夜。——完——
やっと完です。イベント物は事前に仕上げとけ(憤怒)。
ところでもうとっくに終わりましたが、クリスマスね……。
私もパートナーの一人や二人、三人四人くらい欲しいものです(色欲)。
我こそはと言う方、待ってます(怠惰)。よし、募集したし来るでしょう(傲慢)。
……とまあ、今年もチキンやケーキを貪り(貪食)、テレビでイルミネーションの
ニュースなんかを見ながらやり場のない感情を抱いていたわけです(嫉妬)。
では、これにて。
ぜひ「宣誓のその先へ」本編も、すべてご覧ください(強欲)!!




