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【完結】宣誓のその先へ  作者: ねこかもめ
【三話】貪食と喜悦。
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(25)ふと落ちた影

 俺はガイスト。騎士団に所属している。

今日の任務はヴァルム地方で発生している


「家畜の数が日に日に減る現象」


の原因調査だ。

原因と言っても、答えは分かっているようなものだ。

今までに何回か、別の地方でも同様の現象が起きている。


そのいずれも、正体は居住区に入り込んだ小型の魔物による襲撃だった。

どうせ今回もそんな感じだろう。


 ただ、この仕事が来るのはすごく助かる。

内容が簡単な割には報酬が大きいからだ。

こればっかりなら良いんだがな。


おっと、やっぱり小型魔物のご登場だ。



……やれやれ。

魔特班の奴らほどではないにしろ、相手がサルくらいじゃ気が抜けちまう。

さっさと討伐を済ませ、少し先の方にいる隊長に報告。


《先ほど、出現した魔物群の殲滅が完了しました。》

《ご苦労。引き続き調査を進めよう》

《了解。》

《……ガイスト》

《はい》

《我々の使命は何だ。言ってみろ》

《魔物を倒し、民の命と笑顔を守ることです》

《そうだ。分かっているなら気を引き締めろ。今の貴様では己の命も守れぬぞ》

《申し訳ございません、以後気を付けます》


ちぇっ、いちいち気難しい人だ。

まあ、この仕事では上官に文句をつけていたらきりがない。

さっさと終わらせて報酬を頂きたいね。


確か依頼主は食肉生産者だったか。期待しちゃうな。


元の位置に戻って歩いていると

俺の右側を歩いていた隊員が唐突に震えるような声で話しかけてきた。


《お、おい。見たか?》

《いや、見てない。何かあったのか?》


彼の手足は、ガタガタと震えている。

よほど恐ろしいものを見たのだろうか。


《や、やばい魔物が居たんだ。信じてくれ、ほ、本当なんだ、確かにこの眼で》

《疑っちゃいねえよ。とにかく、いったん落ち着けって》


顔には汗がにじんでいる。ただ事じゃないってことだけ理解した。


《あ、ああ。取り乱してすまない……》

《それで、何を見たんだ? 接触危惧種か?》


クモ型とか、トラ型とか。

魔特班の専売特許みたいな奴らがこんなところに?

まあ、あり得ない話じゃないが。なんだか雲行きが怪しいな。


《い、いや。そんなんじゃない。そんな、生易しいもんじゃ》

《な、生易しい……?》


何を言っているのか分からなかった。

接触危惧種は現在確認されている魔物の中で

最も危険なものとして分類されている。


一匹や二匹ならまだしも

それ以上居ようものなら間違いなく魔特班案件だ。


そんな接触危惧種を、彼は「生易しい」と表現した。


《いったい何を見たんだ?》

《それが分からないんだ。とにかくあんな奴は見たことがない》

《見たことがない?》

《ああ》


まさか、新種の魔物か?


《そうか。とにかく俺もそっちの方を探してみる。それと、隊長に報告だな》

《そ、そうだな》


今回派遣された調査班員は全部で十名。

ペアを組んで歩き、五つのペアが五角形の頂点になって同一方向に進んでいる

魔物に複数人で対応することと、強力な魔物を囲うことの両立を目的とした配列だ。


俺たちは中列右側にる。

隊長は前列にいるため、報告に行くのは容易だ。

さっきの俺のようにな。


《じゃあ、隊長の所に行ってくる》

《おう》


すっかり冷静さを取り戻した相方が前列へ向かった。

あ~あ、何だか簡単には終わりそうにないな……。


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