表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】宣誓のその先へ  作者: ねこかもめ
【二十一話】伝承と吐露。
246/269

(246)追跡

 剣を抜く。敵から視線を逸らさぬよう、しっかり注目。

オオカミの大きさとトラの脚力、クモの攻撃力を兼ね備えたこいつは、かなり厄介な敵だろう。加えて、空間を経由した行動も可能ときた。気を抜けば、先代のように負けかねない。


——来た!


左右に惑わしながら、俺に向かって飛び込んできた。

その脚力によって生み出されたスピードは並大抵ではなく、

魔王とまではいかないものの、右腕には匹敵するのではないだろうかという水準だ。


「っ!」


身体の反射が始まったころ、敵は既に目の前に。

剣を上まで持ち上げる時間はない。


——弾き返す!


幸い、キメラの攻撃には飛び込みの勢いがついている。

能力を使ってしまえば、なんてことは無い。


「くらえ!」


反射により、一メートルほど後退した魔物に対し、

地面を蹴った勢いを反射して急接近。


大きな牙のある口に向かって剣を突き刺——


「なっ!」


そこにはもう、キメラの姿は無かった。

おそらく、裏空間へ退避したのだろう。


《ぐあっ⁈》


俺の背中が向いている方から、頭領の声が聞こえた。


「頭領さん!」


まずい、腕を嚙まれている。あの強靭な顎であれば、腕など簡単に落ちるだろう。

そして何より、お姉ちゃんの能力では、頭領を治療することは出来ないのが厄介だ。


《ええい、腕の一本や二本が何だ!》


頭領はひるまず、キメラへ攻撃を行った。


《くらえ!》


右手に剣を出現させ、キメラの首あたりへ突き刺した。


「そこだ!」


一瞬だけ悶えたキメラ。その隙を見逃さなかったリーフさんが瞬間移動で接近し、注意を引いた。彼に気を取られたキメラは頭領の腕を離した。ターゲットはリーフさんに切り替わった。


「厄介ですね。アタシの能力で囲っても、裏空間を経由されたら無意味ですもんね?」

「そうだな……。囲む作戦はダメそうか」


頭領は左腕を失ってしまっている。


長期戦に持ち込まれれば、集中力の欠損によって老婆と同じ、

もしくは、もっと悪い結末になるかもしれない。


「ノエル、魔法陣を一枚もらえるか?」

「はい」


出してもらったバリアに反射を付与し、盾のように構える。


「アイシャ」

「うん、死角攻撃ね」

「さすが!」


そう言い、俺はキメラの居る方向へ走った。

アイシャは、敵からは俺しか見えない位置を走ってともに接近。


「来やがれ!」


急接近してきた俺を迎撃するため、魔物は牙をむく。


「リーフさん、上へ!」

「おう!」


ノエルのバリアで攻撃を反射し、ヘイトは俺に集中。

そうなったのを確認して、今度は瞬間移動で上へ向かう。

敵の視線は俺に固定するから、重なって接近してきたアイシャに気付くことは出来ない。


「はあっ!」


彼女はスライディングで懐に潜り込み、腹に強烈な一撃を与えた。


「そこです!」


怯んだ隙を見て、今度はエリナさんが剣を輝かせながら走り込み、大きく強靭な牙を破壊した。俺とリーフさんは左右に分かれて着地。


「逃げたか」

「ええ」


あわよくば追撃をしたかったのだが、キメラは裏空間へと消えた。


「あとは——」


数秒経つと、いつの間にやら裏へ行っていた、お姉ちゃん、ノエル、頭領が戻ってきた。二人の騎士が剣についた血を払う。二人の間には、ほとんど淡く光る砂となって消えたキメラ。


……終わった。


奴が逃げることを予測して、あっちで待機していたようだ。


「終わったわね」

《ああ。急ぎ、慈悲を追うぞ》

「奴の目的地は分かってるのか?」

《分からんが、予想は出来る。奴は、教会に居た我々をここへ案内しハメた》

「つまり、私たちをあの場所から引きはがしたかった……ってこと?」

《おそらくな。そして奴は、教会の異様な雰囲気の正体について、ある結論を持っているのだろう》


近付くだけで圧倒されそうな建物。その中でも、特別異様な女神像。


《私としても同じ結論でな。あの圧は、遵守に違いない》





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ