(24)唯一の打開策
そんなことを考えながらふとアイシャを見る。
「……」
何かを考えている様子だ。
さっきまで眠そうだったのに。
「アイシャ?」
「ん?」
「どうした?珍しく考え込んで」
「珍しくはないでしょ……?」
すみません。
「何かあんのか?」
俺たちの会話が聞こえていたリーフさんがアイシャに問うた。
「はい。もし、リーフさんの言う通り調査班が亡くなっているなら」
ああ、そうか。
「私の能力が使えるかと」
「ひっ」
アイシャの口から能力という言葉が出ると、お姉ちゃんが一瞬震えた。
弱点見つけちゃったな……。
そういえばマグカップの話してる時もビビってたっけ。
「そうか、霊か」
「はい」
アイシャの能力は霊魂に干渉すること。
霊の言葉を聞く、言葉を伝えるなどの意思疎通をはじめ
記憶を見る、使役化する、可視化するなど、多岐に渡る。
要するに今、調査班員の霊を探して話を聞くことが出来るんじゃないかという話だ。
死んでいるなら、だが。
「やってみますね」
アイシャは胸の前で合掌し、目を閉じた。
すると、青白いオーラが彼女を包んだ。
目を開け、そのまま周囲を見渡す。
「どうだ?」
やがて、ある方向を指さした。
やはり、死んでいるようだ。
「あっちの方向にそれらしき霊がいます。見えるようにしますね」
じわじわと、アイシャの指さす方に人影が見えてくる。
今までに何度か見たことがある光景だが
相変わらずその……不気味だと思う。
「やっぱり亡くなってるみたいですね、少なくとも一人は。リーフさん、行けますか?」
「ああ。任せろ」
「じゃ、じゃあその、彼に話を聞いてきてよ」
「お姉ちゃんは行かないんですか?」
「わ、私は、ほら、アレよ」
「行くぞ~」
リーフさんの無慈悲な言葉を聞き、俺はアイシャと手をつないで、
もう一方の手をリーフさんの肩へ。
リーフさんはお姉ちゃんの腕を掴んで能力を発動させた。
彼の能力は瞬間移動。十メートル以内の任意点または
視界内の目印がある点に一瞬にして移動できる。
彼に触れていれば他人も移動可能だ。
今回は、アイシャが可視化した霊を目印にして移動した。
ビビるお姉ちゃんを無理やり連れて。
「ちょ、ちょっと!」
「ん?」
「ん? じゃないわよ、ん? じゃ!」
「班長が来ないでどうすんだよ」
「いいの、私はお姉ちゃんだから。ねえ、二人とも?」
ねえ、と言われましても……
アイシャはお姉ちゃんの謎理論を適当にあしらって
可視化した霊との意思疎通を開始した。
「ねえ幽霊さん。」
《え、幽霊って俺?》
幽霊さんは、明らかに自分を指している
「幽霊」という言葉に困惑している様子だ。
「うん」
《俺は死んだのか……?》
「残念だけど、そうみたい」
《うーん、そうだと言われても、信じられねえな……。現に、意識もはっきりしてるし、なんなら嬢ちゃんと会話までしてる》
まあ、幽霊さんからしてみれば信じられなくても無理はないだろうな。
「やっぱり、信じられないよね」
《ああ》
「じゃあ」
一瞬何かを考えた様子のアイシャ。
次の瞬間、持っていた剣で幽霊さんの首を叩き斬った⁈
《どわぁ⁈ い、いきなり何すんだ‼》
幽霊さん、俺もそう思いました。
《急に剣なんか振り回しやがって、斬れたらどうする……あれ?》
「当てたのに斬れなかったし、痛くもなかったでしょ? つまり、そういうこと」
ああ、彼に死を自覚させるために……。
もうちょっとこう、無かったのか?
《なんて荒々しい嬢ちゃんだ……。まあ、お陰で確かに死んでるって自覚できたよ》
「それなら良かった」
果たして、良かったのか。
《そっか、死んだか》
「いきなりだけど」
そう、ここからが本題だ。
「記憶、見させてもらえない?」
《記憶って、俺のか?》
「うん」
先述の通り、アイシャはその能力により
霊魂となった人物の記憶を見ることが出来る。
それを幽霊さんに伝える。
《ああ、俺にできることがあるなら協力させてくれ》
快く引き受けてくれた。
「そう、ありがとう。じゃあ失礼しまーす」




