(205)暗躍
外とは空間的に切り離された場所。
まるで夜空のような空間に、真っ白な青年が一名。
あぐらをかき、あごに手を当てて考え事をしている。
《う~ん、なかなか上手くいかないものだなぁ……》
紙に書かれた何かの記録を見ながら、彼は嘆く。
《おじいさんは孫を守って死んじゃうし……それなりに自信があったテンマの戦士も、あの二人に……。どうするかな……》
う~んと呻きながら、更に思考を巡らせる。
《ユウとアイシャ、か……。あの二人は本当に厄介だな……》
彼の脳裏に、魔王討伐戦での光景がフラッシュバックする。
《あの光——ふふっ、心の光、か。それなりに高い受容力を持っている二人が、全く同じ感情を元に心を一つに……。いや、三人だったのかな……? でも三人目はいないはずだし……はあ》
ため息を一つつき、視線を上方へともっていく。
《感情か……。ユウ、アイシャ。二人の感情が、互いに引き寄せ合う愛だとすれば……その力に対抗できるのは……憎悪、とか? マオウは憎しみを——だから負けた……》
青年は、はっと何かに気付いた様子で、目を輝かせながら立ち上がった。
《やっぱり、憎悪だ! よし、行けるぞ、今度こそ!》
いたって純粋な好奇心でもって、彼は続ける。
《そうと決まれば、実験だ! 必要材料は……ユウかアイシャに激しい憎しみがある人物と、無い人物……かつ、ある程度——おじいさんくらいには戦える人材、だな》
今しがた思いついた名案を忘れぬよう、紙に記録を残す。
《よし、よし! ごめんね、二人とも。もう、用は済んだんだ》
——ふふっ
小さく笑い、いたずらを企む子供のような笑顔で言った。
《——さようなら》




