(199)矢継ぎ早に散る
ガフォーク戦での反省を活かし、
彼女はすぐに距離をとった。
《お、同じ手を食うとは……。テンマの技術が……こうも!》
頭をやられた魔王は、
千鳥足になりながら天魔の技術に苦情を入れる。
《力で勝てないテンマが、知恵を振り絞った結果だ。憎しみの化身でしかない貴様には、分かるまい!》
そう口にした頭領の表情もまた、
魔王への憎しみを帯びているように見えた。
《憎しみの化身、か……クックク——ぐっ⁈》
頭部の再生に時間がかかっている魔王は、
足元がおぼつかない様子で、しまいに片膝をついた。
《と、とら……えた……ぞっ!》
膝をついた側の脚、左足に剣が刺された。
《き、貴様! しぶとい奴だ!》
刺したのは外交だった。
爆発で瀕死状態の彼が
最後の力を振り絞り、生者にタスキをつないだ。
《おのれ!》
《——っ!》
かろうじて動かせる右手。
その手刀によって、外交はとどめを刺された。
《この機は逃さん‼》
外交の行為を無駄にはしないと、参謀が背後にまわり——
《うおおおお!》
左胸の真ん中寄り、人間でいう心臓のある位置に剣を突き刺した。
《ぐぅ⁈》
コアの割れる音がした。
《まだだ! これで終わりにしてやる!》
更に怯んだ魔王を見た監理が、とどめを刺すため走る。
だが、しかし——
《バカめ!》
《!》
《し、しまっ——》
そんな二名の老爺は、次の瞬間には大棘に貫かれた。
アロガンツとかいう右腕の力だ。
「ユウ! 今ので能力が戻ったみたい!」
「そうらしいな。アイシャ、畳みかけよう!」
「うん!」
《来い!》
頭の再生が終わったらしい魔王だが、
もう最初のような動きは出来ないであろう。
そう踏んだ俺は、あえて最もシンプルな戦法を採用。
ただ弾き、ただ怯ませ、ただ追撃する。
しかもその追撃には、アイシャも加わっている。
《ならば、こうだ!》
後ろに怯んだ魔王は、勢いそのまま飛び上がり、背中から翼を生やして滞空。
——ま、まずい、この流れは!
魔王の右手に、光を放つ槍が生成。
やはり、あの攻撃だ。
もう時間が無い。
あの空間に入るには奴と合流する必要があるが、
なかなか遠くに離れているため、全員合流はまず間違いなく間に合わない。
「お前らは退避しろ!」
《わ、分かったよリーフ!》
《食らうがいい!》
——槍が放たれた
「間に合えっ!」
リーフさんと共に瞬間移動し、
ギリギリでノエルが張ったバリアの内側へ。
《無駄だ。その程度の防御力で防げるものか!》
フリューゲルの攻撃でさえ、ひびが入るほどの威力だった爆発。
「ど、どうしましょう! ひびが広がって——」
やはり、簡単に砕けそうになる。
バリアを出せるのは六枚が限界。
たった今割れたのが、その六枚目だ。
——死ぬかもしれない
威力の極大点は過ぎていたようだが、
十分な力を残した余波が六人を襲う。
退避した二名も、この爆風では助けに来れまい。
——ああ、終わった
苦痛を感じながら、俺は意識を——




