表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】宣誓のその先へ  作者: ねこかもめ
【十七話】束縛と呪詛。
192/269

(192)仇討ち

 やがて煙が晴れた頃、リーフさんと天魔達が戻ってきた。

バリアの向こう側に転がるモノに、十三名の視線が集まる。


真っ白な姿をしていた元帥は、今はもう黒く焦げている。

その横に、体の大半が融けた状態のフリューゲル。


「元帥さん……」

「……」


隣にいたアイシャは、目をそらしながらギュッと俺の手を握る。


《元帥……よく戦ってくれた》


頭領の拳が強く握られている。

ニンゲンの豊かな感情が羨ましいと言っていた彼女。

天魔も、仲間の死を悲しむだけの感情は持っているようだ。


《さあ、魔王の討伐に——》


——その瞬間。


「あいつ、まだ生きてやがるぞ!」

《バ、バカな……!》


——フリューゲルだけが立ち上がった。


魔物は生命力が高い。

分っていたことだが、まさかここまでとは。


《き、貴様……ら……っ‼》


首を拾い上げ、再生。

腕も同様にして回復していく。


「ユウ、行こう。今なら!」

「ああ!」


なにも、再生を待ってやる必要はない。

今のうちに攻撃を繰り返せば、コアも探しやすいだろう。


お姉ちゃんの治療を受け、リーフさんに瞬間移動を使ってもらった。

そのころには、剣を持てるくらいには再生してしまっていた。


《邪魔を……するな!》

「「!」」


やけくその薙ぎ払い攻撃。それを何度も繰り返す。


「うおおお!」


俺はそれに、無理やり突っ込んだ。


無論、能力を発動して弾く。


《ぐ!》


回復しきらない腕ではその力に耐えられず、簡単にふきとんだ。


「遅いよ!」


さきほどフリューゲルに言われたセリフを返しながら、アイシャも攻撃を仕掛ける。


——そして


「ユウ、腰にコアがあるよ!」

「オッケー、確認した!」


これさえ壊してしまえば!


《うおおおおおおおおおおおおっ‼》


突然、フリューゲルが雄叫びを上げた。


《もういい、全員死ね‼》


——っ⁈


そう叫ぶと、瞬間的に翼を再生させて飛び上がった。


「おい、いったん退くぞ!」

「「はい!」」


リーフさんに連れられ、退避。


《さあ、耐えられるか?》


魔物の手には、明るく輝く槍が握られている。


《当たったらまずそうだね》

「分かってますよっ!」


ノエルが新しくバリアを展開。


《くらえ!》


——槍が放たれる。


まっすぐこちらへ向かってくる。

やがて、バリアと接触し、大爆発を起こした。


《この威力は⁈》


「っ! アタシのバリアに、ヒビが⁈」


余りの威力に悲鳴を上げたようだ。

衝撃が治まり、脆くなったバリアは解体。


《もう一発だ!》


——これはまずい!


「ノエル、もう一回バリアを!」

「はい!」


新たに張られたバリアに触れて能力を発動。


《くらえ!》


再び放たれた槍が、バリアと接触。


《ちっ、面倒な能力だ!》


今度は爆発することなく、軌道を変えて

フリューゲル自身の方へ向かっていく槍。


——だめか


だいたい予想はしていたが、奴の空中での機動力はすさまじい。

まっすぐ飛んでいくだけの槍は、まず当たらないだろう。


——ならば!


「ノエル」

「はい?」

「バリアを出せるだけ出してくれ」

「そ、それじゃ、爆発を凌げないですよ」

「次の爆発が起きる前に決着をつける」

「わ、わかりました!」


中サイズのバリアが次々と生み出されていく。

それら一つ一つに触れ、反射を付与していく。


「先輩、これが限度です」

「うん、六枚もあれば十分だよ。ありがとな」

《どうする気だい?》

「言ったらフリューゲルに聞かれちまうだろ。お前は、みんなをあの空間に避難させる準備だけしといてくれ」


アイシャの方を見る。

彼女だけは、きっと作戦を理解してくれている。


「アイシャ。もし失敗したら、その時はリカバリーを頼むよ」

「うん。任せて」

「おし」


バリア一つを手に取り、敵の前に堂々と出た。


《なんだ、貴様は? 死にたいのか?》

「俺がお前をぶっ倒してやる!」

《安心しろ。仲間と共に死なせてやる》


そう言うと、また光る槍を生成する。


《愚かな。死ね‼》


——来た!


猛スピードで迫りくる槍。

反射魔法陣五枚をフリューゲルの方に、蹴って散りばめる。


《こんなものが何だというのだ!》


——今‼


残った一枚で、槍を少し斜めに弾く。

無論、フリューゲルには当たらない。


《ふん、同じ手を使うと思ったか‼》


——槍は囮。


本命は、弾かれた直後に行う滑空攻撃。


「せ、先輩!」


フリューゲルの「直線的な」攻撃がブレないよう、俺はその場にとどまる。


あえて、やけくそ状態かのような演技をして。


あえて、攻撃の矛先に立って。


「お前の負けだ」

《⁈》


俺が弾いた槍は、散りばめられた反射魔法陣にヒット。

進路を変え、また別の魔法陣へ。


それを繰り返し、計算通り

俺に向かって滑空するフリューゲルを、猛スピードで追う。


「みんなを避難させてくれ!」

《了解!》


俺の近くにいるノエルとアイシャは……間に合わなそうだ。


「二人とも、こっちに!」

「うん!」

「は、はい!」


——次の瞬間


《ぐおああああああ‼》


爆音と共に、魔物の断末魔が聞こえた。

大きなバリアではないため、二人を出来るだけ抱き寄せて護った。


……。


…………。


………………。


衝撃が消た。

バリアの向こう側の様子を確認する。


「……倒せたんですかね?」

「……いや、動けないみたいだけど、まだコアが残ってる」


恐ろしい力の爆発をもろに受けた

フリューゲルの身体は、わずかに形を残すのみ。


そのうち再生するのだろうが

今はまだ骨格標本のような状態だ。


「急ごう」

「ああ」


砂煙を払って進み、腰と左右の翼の付け根にあったコアを三人で手分けして破壊。


敵は、仄かに輝く砂塵となり、風と共に舞って行った。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ