(182)最強のカード
「で、その魔物を撃退した僕とリーズは、どんどん進撃して行ったんだ」
ユーリが話したエピソードは、
リーズさんは能力を二つ持っていたという、衝撃的な内容だった。
「本当か? 勝負に勝ちたいからって嘘ついてるんじゃないだろうな……」
「嘘じゃないよ。第一、嘘で勝つなんて、負けるよりも酷いリーズへの冒涜だよ」
まあ、それには同感だが、信じられない話で驚いていた。
「うん。ユーリさんの記憶見たけど、確かに真実みたい」
「君も疑ってたんだね……」
ユーリの話が嘘でない以上、人間は何かしらの要因によって、
能力を二つ持つことが可能という訳だ。
それに一つ、気になったことがある。
これはユーリに訊いても分からないだろうから、あとで頭領にでも聞いてみるとしよう。
「ところで、ユウ」
「ん?」
「自慢バトルだけど、僕の勝ちって事でいいのかな?」
「っ!」
「ふふっ、もう厳しそうだったもんね?」
「……」
「ユウ?」
「いやあ、次返されたら、僕の負けだったよ。危ない危ない」
「ふっ」
今度はユーリが勝ちを確信している。
そんな男を、俺はあざ笑った。
「ユーリさんよ」
「な、何だい?」
「次返されたら負け。その言葉に、二言はないな?」
「……うん。正直、言い尽くしたよ」
——この勝負
「俺の勝ちだな」
「なんだって?」
——俺は一つ、最強のカードを残している
「あんたが開始早々に使ったカード。俺はまだ、使ってないんだなあ」
「っ‼」
「見ろ‼」
俺はアイシャを前に出し、
ユーリに見せつけるように言い放った。
「アイシャは、かわいい‼」
「なん……だって……」
意表を突かれたユーリをよそに、当の本人は首をかしげている。
「私がかわいいなんて、当然すぎて自慢にならないかと思ってた」
なんてことを言いながら、顔を少し赤らめるという説得力の無さよ。
「ま、まさかリーズの自慢で負けるなんて……あ、あり得ない……」
そしてこちらは、なぜか半泣きのユーリ。
泣くほど本気だったとは……。
「お、おいおい、泣くことは無いだろ……。ほら、リーズさんも十分、素敵な人だってわかったから」
「……本当かい?」
「おう」
「アイシャとリーズ、どっちが魅力的だと思う?」
「それはアイシャだけど」
「うわああああ」
——なんだこいつ、めんどくせぇ!




