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【完結】宣誓のその先へ  作者: ねこかもめ
【二話】少年と少女。
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(17)アイシャが戦えない強敵

「ユ、ユウ……アイツは無理……こ、怖い……」


俺の背中に隠れ、ガタガタ震えるアイシャ。


前言撤回。


アイシャが勝てない魔物は一種存在した。

そう、彼女の世界一嫌いなものがクモ型の魔物なのだ。

まあ、今のアイシャこそが正しい十八歳女子の反応な気もするが。

確かに見た目はおぞましい。


「落ち着けって。俺がぶっ倒してくるから」

「うん、頑張ってね……?」

「おうよ」


震えるアイシャを落ち着かせ、さてどうしたものかと考えていると

馬に乗った司令官が俺の元へやってきた。


「司令官」

「ユウよ。あのクモ、君だけで相手出来るか?」

「はい、可能です」

「そうか。では君は奴にだけ集中してくれ」

「了解しました」


すると司令官は振り向き、周囲の騎士に命令を下した。


「クモはこの者が相手をする。各位、周囲のサルを撃破し彼を援護せよ‼」


接触危惧の魔物を前にすくんでいた騎士たちは

まるで別人のように雄叫びを上げ、例の策をもって次々とサルを討伐していく。


「さあ、頼んだぞ」

「はい」

「ユウ」


アイシャが俺を呼んだ。


「ゴメン、私もサル撃破にまわるね」

「良いさ。それより、今朝のお姉ちゃんの指示、頼んだよ」

「うん、任せて」


アイシャの返事を聞き、俺はクモ討伐に向かった。



 子分を戦わせて高みの見物をきめていたクモは

向かってくる俺に気付き、牙をむいて臨戦態勢になった。


コイツは確かに厄介な魔物だ。

本物のクモのように糸を出す。

それを器用に団子状に丸めて飛ばすという遠距離攻撃に加え

中距離では持ち前の素早い動きで瞬間的に距離を詰めてくる。

かといって至近距離では鋭い大きな牙のある口で

ガブリ……と真っ二つにされるのがオチだ。


俺はこのクモと戦うとき、距離を置くようにしている。

真っ二つはゴメンだし、何より俺にはあの能力があるからだ。


「さあクモ野郎、糸でもなんでも飛ばして来い」


クモは糸を飛ばさず、威嚇行動を始める。


「相手がアイシャだったら今死んだぞ、お前」


威嚇が終わったかと思うと、次は一歩、また一歩と、ゆっくり距離を詰めてきた。


「ん? なんだ、コイツ」


今まで戦った固体とは違った。糸の玉を飛ばしてこないのだ。

急襲に備えて、しっかりと剣を構える。

群れを成していることと言い、何か特別な感じがする。


一歩、一歩。


さらに距離を詰めてくる。俺は少し困惑した。

こんな行動をするクモは初めてだからだ。

今まで戦ったクモは全て糸の玉を飛ばした。

だからそれを能力ではじき返してやる。


そうやって倒してきた。

だが今回はそう巧くいかなそうだ。


そんなことを考えている間も、敵は距離を縮めてきている。

すでに奴との距離は十メートルもないだろう。


「お前、なかなか面倒な奴だな……」


その刹那、猛烈なスピードで突進をしてきた。


「な⁈」


さっきのアイシャのように腹下をくぐり、間一髪回避。


流石にヒヤッとした。


そのまま振り向きざまに足を斬ってやろうと剣を振る。

しかし、知っていたかのように高くジャンプして避けられた。


「くそ、何だこの個体!」


俺の左側に着地したクモはすぐに突進してきた。

体勢を崩していた俺は避けきれないと判断し、

左手に剣を持ってガード、能力を発動して弾き返した。


巨体による突進の威力をもろに牙で受けたクモは

興奮した様子で再び高く飛んだ。


今度は俺を踏み潰す気だ。


「ふう、嫌な汗かいた」


ボディープレスを決行した瞬間、俺の勝ちは決まった。

落ちてきたところを弾いて地面に叩きつけてやればいいだけだからだ。


予想通りクモは俺の真上に落ちてきた。


それを掌で受け、前方の地面に反射させた。

それでも絶命はしなかったが、脚はもう使い物にならないようだ。


「お前みたいな個体もいるんだな」


少しばかり成長させてくれたことへの感謝を述べ、とどめを刺した。


「ふう。さて、あっちはどうなったかな」


サル型と戦っている皆の様子が気になり、その方向を見る。

特に心配はなさそうだ。アイシャもいるし、まあ大丈夫だろう。


そう油断した自分を殴ってやりたくなった。


「クモ⁈」


その方向にクモ型が見えた。

アイシャたちが居る方向だ。

振り向くと、さっき殺したクモの死骸はそこにある。


「くそ、もう一匹か! 完全に油断した‼」


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