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【完結】宣誓のその先へ  作者: ねこかもめ
【十四話】正義と闘争。
167/269

(167)ありがたい負傷

 真っ白な部屋で、例のごとく報告会が行われている。


「頭領。ニンゲンと接触する準備が整った」

「そうか。よくやった外交。元帥はどうか」

「こちらは面白くない状況だ。魔王討伐部隊は壊滅。生存者は無しだ」

「全滅したというのか?」

「左様」

「この件に関しては、完全に参謀である私の判断ミスだ」


後悔の感情を交えながらも、冷静に事実を報告していく。


「だが、良い知らせもある」

「ほう?」


先ほどの知らせが最悪であったが故、

頭領は、あまり期待をしていなさそうな声で返事をした。


「ガフォークが死んだ」

「……なんだと?」

「ニンゲンが殺した」

「そうか」

「ニンゲンの中でも、マトクハンと呼ばれる六名は非常に強力で、ほかのキシとは別物と考えた方がいいと、潜入者から連絡があった」

「マトクハンか。フェラライやツォルンを下したのも彼らなのだろうな」


悪いニュースを忘れたかのような様子で、

良いニュースに興味を示した頭領。


「では、マオウの動きを警戒しつつ、ニンゲンとの接触に取りかかることとする」

「了解した」


会議に参加していた老婆・老爺たちは、各々のタイミングで

席を立ち、嫌なほど真っ白な部屋を後にした。


「さて。私は、奴の監視もしておかねばな」





——魔特班屋敷、リビング


「ご心配をおかけして申し訳ございませんでした」


任務から帰ったメンバー、特にお姉ちゃんに対して謝罪をした。


「迷いは晴れたかしら?」

「はい。おかげさまで、なんとか」

「そう」


俺の目を見たお姉ちゃんが、一瞬、口角を上げた。

さっきのクリスもそうだった。

自分ではよく分からないが、どうやら目が変わったようだ。


「ところで、ご主人様」

「はい?」

「頬がアザになっていますが、何かあったのですか?」

「あら、ホントだわ。治してあげましょうか?」


右手で頬を触ってみると、かすかに痛む。


だがこれは……。


「治療はなしでいいです。これは……ありがたい負傷なので」

「ありがたい負傷? まあ、ユウがいいって言いうならいいけれど」


友人の拳の感覚が、まだ少し残っている気がする。

まさか、殴られることに感謝する日が来ようとはな……。





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