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【完結】宣誓のその先へ  作者: ねこかもめ
【十四話】正義と闘争。
152/269

(152)闘争の生き物

 人間は、常に闘争の中で生きている。

俺の生きる時代では、魔物との戦いが起きている。ユーリの時代もそうだ。


その前は? 

歴史資料はほとんどないらしいが、

人類が争いと無縁だったとは、到底考えられない。



 その根拠に、過去五百年間の歴史がある。

魔物が居なくなった後、人間はすぐに同士討ちを始めた。

混乱した世界を治めるのがどちらか、王の息子二人が争ったらしい。


それが済んだ後も、領地や食料をめぐった戦争が乱発していたようだ。

復興が進み、人々の生活が安定した近年では、これと言った大規模な争いは無かった。


魔物が再び姿を見せるまでは。



 ここで問題なのは、人間同士の戦争では絶対的な「悪」が無いことだ。


領地を奪いたいのは、自分の活動を広げたいからだ。


食料を奪いたいのは、自分が生きたいからだ。


王位を奪いたいのは、自分の信念をもって政治を行いたいからだ。


誰も、快楽のために争いを起こしはしない。


誰しもが「正義」なのだ。


皆が皆、己の心に従い、正しいと思ったことをした結果だ。

誰が悪いわけでもない。致し方なく起きる。


それ故に、終わらない。繰り返す。

何度も、何度も。人類と言う種族が生きている限り。



 それが、魔物との戦いとの最大の差異と言える。

人魔大戦が一度中断されたのは、魔物が居なくなったからだ。

敵が姿を消し、戦う目的を達成したから終わった。


魔物と言う敵——人間同士の戦いには無い、

倒すべき「悪」を倒したが故に幕を閉じることができた。


今回の戦争はどうだろう。知っての通り、戦う相手は魔物だ。


魔王からも接触があったわけだし。


つまり、魔王と残党を殺してしまえば、終わる戦いだ。

魔物は滅するべき「悪」であるという、人類の総意を実現すれば、勝ちなのだから。



 俺もアイシャも、そのために騎士になった。

幼いながら、魔物を滅ぼすのだと誓った。


幼馴染の少女、サラが居なくなったのは、

魔物という「悪」がもたらした災いだと決めつけて。


戦争に勝ちたいとか、世界に平和をもたらしたいとか。

そんな大それた理由は無い。俺たちはただ、魔物を滅ぼしたいだけなんだ。


それが結果的に、この戦争に勝つことと

同義だなんてことは、どうだっていい。



俺たちは俺たちの、復讐という

「正義」が執行できればいいだけなんだ。




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