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【完結】宣誓のその先へ  作者: ねこかもめ
【十三話】報復と螺旋。
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(149)命の恩人の願いを

 リビングに、三人の騎士。ここで風呂の順番待ちをしている。


「「ありがとうございました‼」」

「ちょっ、や、やめてくださいよ、二人とも~」


頭を下げる俺とアイシャに戸惑うノエル。


いや、感謝だ。


本当に。


「いえ、ノエルさんがいなければ、我々は死んでいました」

「アイシャの言う通りです」


あの時。

ノエルが居て、彼女の能力が覚醒しなければ、三人まとめて火だるまだった。


「も、もう……。頭を上げてくださいよ~」


困らせると、それはそれで申し訳ないので、言われた通りに。


「アタシだって、あそこで能力が目覚めるなんて、思ってなかったですし。だから……」

「「?」」

「ユウ先輩と一晩でいいですよ?」


ケーキの時と同じ悪い笑顔で言う。


……まーた景品にされてる。


「……」

「アイシャ?」

「先輩?」

「三人で、なら……」

「えっ⁈」


……えっ⁈


「……いいんですか⁈」


自分で言っておいて、そんなに驚くか。


いや、そりゃあ驚くか。


「きょ、今日だけね……。助けられたのは、本当だから」

「やったぁ! まさかオーケー貰えるなんて!」

「えっ、あの、俺の意思は……」

「……断る気?」

「ユウ先輩は……アタシと寝るの、嫌……ですか?」


その、うるうるしながら見上げてくるの、卑怯だぞ。



 ……なんてことがあって、今、左右が温かい。


もしも願いが叶うなら。


神様が存在するなら。


どうか僕を助けてくれないでしょうか。


眠れません。


「せんぱ~い、もう寝ちゃいました?」

「……いいや、起きてるよ」

「よかった。ドキドキしちゃって、眠れないんです」

「落ち着けよ。別に、何もないんだから」

「え~、何もないんですか?」

「……何かしてみろ? 二人とも抹殺だぞ」

「抹殺なんてしないよ。お仕置きだけだよ」

「アイシャも起きてたんかい」



 それぞれの眠れない理由を抱えながら、小声で雑談が進んでいく。


「先輩たちは、どうして一緒に寝るようになったんですか?」

「ああ、それは」

「ユウが夜這いしてきたから」

「嘘おっしゃい」


ノエルが素直な子だってことを、忘れちゃいけない。


「アイシャが、俺が寝てる間に忍び込んできた。そこからだな」

「へ~。ユウ先輩からは、何もしないんですか?」

「それは……」

「ユウはね、二人の時はぎゅーって抱きしめてくれるよ」

「え! ずるいですよ! アタシにもしてください!」


確たる自信をもって否定できないの、しんどいな。


これが因果応報ってやつですか?


「ノエルから抱き着いちゃえば?」


こら、なんてこと言うんだ。


「はい! それじゃあ失礼して——」

「腕ね‼」

「腕だって」

「……はーい」


腕ならいいってわけじゃない。


ああ、眠れないどころか、動くことも出来なくなった。


「ねえ、ユウ先輩」

「ん?」

「アタシ、成長しましたよね?」

「ん? まあ、そうだな。立派な騎士に——」

「そうじゃなくって」


……ん?


「身体ですよ、か・ら・だ」


……なんか、アイシャから変なところばっかり吸収してないか?


「……」


初めて会った時、少し痩せているなぁ、という印象はあった。

そのころに比べれば、確かに健康的な身体になったというのは、まぎれもない事実だ。


「たしかにな」

「ユウ。今、どこの話をしたの?」

「全体的に」

「胸ですか? 脚ですか?」

「全体的に」

「どこが好きですか?」

「全た……」


——危なかった。また罠にかかるところだった。


「私の方があるもんね、ユウ」


その話題、まだ引っ張りますか。

そうだな、様々な意味、邪念を取り払い、

一つの事実として客観的に答えるなら、「はい」だ。


「……まあ」

「え~、見た目じゃ分からないですよ? ここはひとつ、触り比べ——」

「しません」

「ちぇ~」


まずい。


これ以上擦られると命に係わる。


「……おやすみ。二人も寝なさい。明日は任務だぞ」

「うん。おやすみ、ユウ」

「おやすみなさい、先輩」


なんて言いつつ、俺自身が寝られるか不安だ。

明日は任務がある。寝不足では困るんだがな……。


ああ。


両側から押し当ててきやがって。


俺を何だと思ってるんだ、この二人は。

生まれ来る煩悩を叩き殺しながら、ゆっくりと瞼を閉じた。




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