(147)護りの覚醒
瞼越しでもわかる。自分の周辺が一気に明るくなった。
炎だ。
俺たちは今、あいつの口から出た炎に焼かれて……
いや?
おかしい。
熱さを感じない。
あまりの苦しみに、感覚が狂ってしまったのか。
それとも、もう焼死しているのか。
確かめるため、瞼を開いた。
「……?」
状況が理解できなかった。
炎は放たれている。が、俺たち三人を焼くことなく、
その手前で軌道を変えていた。数秒経つと、やっと分かってきた。
「ノ、ノエル……?」
「これって……」
魔物のいる方へ腕を伸ばしているノエル。
彼女の掌を中心に、大きな魔法陣が展開され、それが炎を防いでいた。
「ああ、間違いない」
「ノエルの、能力だね」
「アタシの……能力……?」
この大ピンチで覚醒したようだ。
《なっ、なんだ、それは⁈》
「ふう」
一息ついて、俺に言った。
「ユウ先輩。この魔法陣に触れて、能力を使ってください」
「……え? うん、わかった」
ノエルと同じ方向に手を伸ばし、言われた通り、能力を使った。
《なに⁈》
敵の叫びを聞いて、変化に気付いた。
「反射……してる……?」
さっきまで炎を防いでいた魔法陣。
俺が能力を使うと、今度は炎をはね返すようになった。
《バカ……なっ……!》
それに気づいた魔物は、すぐに放射をやめた。
残りの炎も反射しきり、敵の姿がよく見えるように。
「はぁ……」
ノエルが腕を下すと、魔法陣が消えた。
「……っ!」
魔物の身体は、炎に侵されていた。
反射の際に凝集した炎は、再生よりも早く奴を焼いたようだ。
そして何より、ただれた皮膚から、コアが露出していた。
左胸だ。人間で言う、心臓にあたる場所。そこに、二つ目のコアが光っていた。
「とどめだ!」
コアに気付いた俺は、短剣を投げて刺した。
筋肉とは違い、いとも簡単に砕け散る。
《こんな……ことが……っ‼ 申し訳ございません……魔王様‼ ぐおぁぁぁぁぁぁっ‼》
断末魔と共に、魔物は淡い光を放ちながら灰となって消えた。




