(129)努力の成果
——第二訓練場。
三年生の準決勝が大盛り上がりって
聞いたアタシとマイは、観戦しにここへ。
得点板は……
「ユウ対ケニー。一対一、だって」
思った通り、ユウ先輩はここまで勝ち上がっている。
でもまさか、一本取られてるなんて……。
「第三試合、始め!」
模造剣同士が激しくぶつかり合う。すさまじい音を鳴らす。
そんな光景を見逃さないように目に焼き付ける。
数分間のぶつかり合いの末——
「一本! 勝者、ユウ!」
ユウ先輩が決勝に進出した。
「あ~、今年も決勝はユウとアイシャか」
「まあ、そうだろうと思ったよ」
「ケニーの奴もかなり惜しかったけどな」
「ああ。まさか一本取るとはな」
……なんて三年生の声が聞こえてくる。
「すごいね、ユウ先輩」
「うん。さすが、アタシの想い人ね」
「あんた、そっち方面は一切恥ずかしがらなくなったね」
……確かに。
三十分後。ついに三年生の決勝が始まった。
「紹介します! 昨年度の技能成績一位! 魔特班候補生、アイシャ!」
会場の盛り上がりは、二年生決勝の比じゃなかった。
でもアタシはそれどころじゃない。
驚愕の事実を今ここで知らされちゃったから……。
「えっ? アイシャ先輩が一位? ユウ先輩じゃないの?」
あの日からずっと勘違いしてた。
とてつもなく強いアイシャ先輩。
でも、ユウ先輩はもっと強い。
そう思ってた。
「対するは! 技能成績二位! 同じく魔特班候補生、ユウ!」
頭が真っ白になった。
「ノエル、大丈夫?」
口をパクパクさせるアタシに、マイが心配そうに声をかけてくれる。
「う、うん。大丈夫。ありがとね」
「……始まるよ」
「だね」
会場が静まり、司会者が合図をする。
「これより模擬戦、アイシャ対ユウを開始します」
——緊張が走る。
「第一試合、始め!」
合図から一秒も経たないうちに、模造剣がぶつかり合う。
「頑張って、ユウ先輩」
アタシの応援とは裏腹に、ユウ先輩が押されていく。
そして——
「一本!」
アイシャ先輩の得点が、ゼロから一に変わる。
アイシャ先輩への歓声が上がる——。
その後の第二試合はユウ先輩の一本。
けど、第三試合でアイシャ先輩が一本とって、
三年生の優勝はアイシャ先輩になった。
意外な事実を知って驚いたアタシだけど、一つ、希望を持っていた。
「いや~、凄かったね、先輩たち」
「ねえ、マイ」
「ん?」
あの日から、アタシは成長できたのかな?
なんて疑問は、確信に変わっていた。
アタシは間違いなく成長してた。
だって——
「見えたよ。目で追えた」
「……?」
「アイシャ先輩の動き、見えたよ」
「え、マジ?」
何も見えずに敗北したアタシは、努力の末
先輩の動きを見ることが出来るようになった。
ユウ先輩の訓練を見学してたのは、大正解だったかもしれない。
あの時の覚悟が、またアタシの中で燃え始めた。
どうしても我慢できなくて、行動に出た。
「マイ」
「どしたの?」
「先輩たちの所に行こう」
——控室前。
出てきたおしどり夫婦に声をかけた。
「優勝おめでとうございます、アイシャ先輩」
「ノエルちゃん……? うん、ありがとう」
「先輩」
「うん?」
「もう一度——」
アイシャ先輩は笑顔。
「もう一度、アタシと勝負してください!」
アタシの覚悟を見てもらうために!




