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【完結】宣誓のその先へ  作者: ねこかもめ
【十一話】未詳と兆候。
121/269

(121)何かが始まる

 明るく、広い部屋。天井の高さが、さらに広さを強調する。

そんな場所で、計七人の老爺と老婆が長い机を囲んでいる。

違和感を言うとすれば、その者たちが皆、白いことだろう。


「監理よ」


その内の老婆が声を発した。


「ニンゲンの動きはどうか」


問いに、一人の老爺が答える。


「マオウの右腕らを全滅させたようだ」

「ニンゲンが、か」


驚いた表情で監理に問うた。


「そうだ」

「ニンゲン……敵にはしたくないものだな」

「それと、マオウを認知し始めている」

「そうか。では、彼らと目的が一つになったのだな」

「ああ」

「元帥。対マモノ戦線はどうだ」

「撤退を開始した。予想通り、マモノはニンゲン達の方向へ進軍している」

「巧く行ったようだな。参謀。もう一度計画を聞かせてもらおうか」

「ニンゲンを攻撃しに向かい、防御の薄くなったマモノ攻撃する。マオウ討伐隊とマモノ殲滅隊に別れ、それぞれを攻撃する予定だ」

「勝算は」

「マオウ討伐に関しては、奴の力が未知数であるが故、何とも言えぬ」


老婆が一瞬厳しい顔をした。

しかし、感情を昂らせることなく続けた。


「マモノ殲滅の方は」

「そちらは間違いなく成功すると見ていい。背後からマモノを攻撃し、ニンゲンと挟み撃ちすることで、撤退も支援も許さない」

「今のニンゲンの力で、マモノを抑えられるのか」

「監理の言った通り、彼らの中にはツォルンらを破った者がいる。ダメージはあるだろうが、ここで滅びてしまうような、やわな連中ではあるまい」

「——そうだな。彼らに期待しておこう」




 世界は狭い……そう思っていた。

でも、今日の出来事でそれは一変した。


狭いのは「世界」ではなく、俺の「世間」だった。


白い少年と青年。それに、ユーリの記憶で見た自称・魔王もそうだ。

彼らは何者なんだろう。魔物ではないと言っていた。


かといって、人間でもなさそうだ。

人間と魔物の戦争に、第三勢力がある。

今はそうとしか言えない。


「ちょっと、轢かれるよ」

「ん? ああ、馬車か」


考え事をしながら往来を渡ろうとして、アイシャに止められた。


「どうしたの? ぼーっとして」

「ちょっと考え事をね」

「……気を付けてよね」

「すみませんでした」


やがて、馬車が俺たちの前を通過する。


「……貨物じゃないね」

「やけに豪華だったな」


王都が人を招く際に使う、

比較的豪華な座席車を引いている。


それには見覚えがある。


「もう一年くらいになるんだね」


俺とアイシャが、魔特班に新米騎士として配属されたのは、もう約一年前の事。

年々時間が速くなるように感じる……なんて、おじさんみたいな気になる。


「早いな」

「うん」


あの豪華な馬車に乗って王城に向かい、

数日後にお姉ちゃんやリーフさんと初めて顔を合わせた。


……馬車を見送り、俺たちは再び屋敷へと歩みを進めた。


空を見ると、月は新月。


何かこう、良くも悪くも、新しいことが始まる兆しを感じた。




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