(101)魔物との一騎打ち
アイシャに続いて、俺もそろそろ辛くなってきた。
疲弊していることもあり、なかなかコアに攻撃できないでいた。
「ユウ……私、結構来てるかも」
「アイシャ……」
なんとか踏ん張っているが、相当無理をしているのが分かった。
今も、気を抜けば倒れてしまうだろう。
「無理しないで、ちょっと休んでろよ」
「うん、そうする……ごめん」
「まあ任せろって」
……とは言ったものの。
俺とお姉ちゃんも限界が近い。
敵もそうなのだが、果たして耐えられるだろうか……。
それに、エリナさんの剣も若干ヒビが入り始めている。
《ニンゲン……コロス……ワタシガ……‼》
「……‼」
突然、そう叫んだ魔物。
次の瞬間——
「こいつ!」
——身に着けた重い鎧をパージして飛ばして来た。
大砲ほどの威力は無いだろうが、ヒットすれば大ダメージは間違いない。
慌てず。冷静に。一つずつ剣で防ぐ。
かなり重厚な鎧だ。一つ一つの重みが違う。
「はあ……はあ……これで、最後か……?」
状況を確認する。
必死に防いだお陰で、アイシャへの被弾はない。
俺も無事だ。
あとは——
「……‼ お、お姉ちゃん!」
——倒れている。
その近くには、魔物が装備していた大盾。
あんなものに当たれば大けが間違いなしだ。
起き上がろうとしているが、力が入らないようだ。
「お姉ちゃん! 無理しないでください!」
「く……‼ 悔しいわ……」
その手に握られた剣は、柄だけになっている。
——俺がやるしかない……‼
《コロス……コロス……コロス……‼》
この位置で戦うのはまずい。アイシャに被害が出てしまう。
「こっちだ!」
俺から見て右の方におびき寄せる。
鎧を外した魔物の肉体は細く、とてもあれだけの攻撃力を生み出せるようには見えない。
——速い⁈
鎧を脱ぐとこんなにも……‼
「くそっ、負けるかぁ‼」
——突き。
——防御、はらい。
——回避。
《シネ‼ シネェ‼》
魔物の剣が俺に振り下ろされる。
——防御……いや、避ける!
防ぐのはもうダメだ。剣が耐えられない。
迷ったせいで少し体勢が崩れたが、これはチャンスだ。
コイツは、攻撃後に大きな隙が——
「な、なに⁈」
——出来ると思っていたのだが、しかし、魔物は勢いそのまま攻撃に転じた。
「避けきれない……‼」
——仕方なく防御。
——やはり、剣は限界に到達して粉砕される。
必死に後方へ回避。
当たらずに済んだが、本能的に行ったその行動は緊急回避。
「ぐう⁈」
避ける事だけを考えていた俺は
着地時に足を捻ってしまった。
「畜生、た、立て……ない……‼」
——魔物が切先を向けてきた。
——引いて。
——突く。
グシャと、肉体が貫かれる音が聞こえた。




