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ラスト・エンジェル  作者: yukke
第8章 決戦 ソロモン72柱『バティン』&『グシオン』
78/130

VS バティン ~ 本物探しゲーム ~

 本物のバティンを探して、この銃の退魔弾を当てる。

ただ、それだけなのに。やっぱり、ソロモンの悪魔は一筋縄ではいかないんだね。


「あのさぁ……撃って消した分増やさないでくれませんか?」


 私は、そう言って真横にいるバティンを撃つ。

油断していたのかわざとなのか、銃弾は命中する。

でも、そのバティンは炎に変わりかき消えた。


 その後、別の場所の炎の壁からバティンが現れる。

そうつまり、無限に湧いてきているのです。


『フフフ、何も減らすとは言ってない。さぁ、当てて見な。本物を!』


「無理」


 それは、さすがに無理があると思います。

私はため息をつくと、考えを巡らせる。

でも、今度は無数のバティンがライフル銃を構え、次々と私に向けて銃弾を放つ。


「わっ! あわわわ、っと!」


 走り回って逃げるには限界があります。

私は、羽根も使って空中に飛び上がり、ギリギリの所を見極め回避をしていく。

もちろん、全部綺麗に回避は出来ないので、何発かは腕を掠めたり、脚を掠めたりしています。

でも、顔だけは絶対に傷つけさせない!


「はぁ、はぁ……もう」


『フフ。君が一発撃つ度に、こちらも撃たせてもらうよ』


「こっちの一発に対して、そっちは何発撃ってるのよ!」


 ソロモンの悪魔に対して、正々堂々なんて期待はしていなかったけれど、これは卑怯すぎるよ。どうしよう。

考える時間は、撃つ前だけなのよね。


「こっちも、一発じゃなく何発も撃たないと勝てないな」


 上手くいくかは分からないけれど、やってみないとね。

私は一旦拳銃を消すと、新たな武器を頭に思い浮かべる。

FPSやTPSはやったことが無いけれど、それに出てくる武器を想像すれば。


「よし、成功!」


 想像したとおりの、アサルトライフルが手に収まっている。

名前は分からないですよ。やったことが無いからね。

だから、性能とかは分からない。それでも、拳銃よりは連射が出来たはず。


『ほぉ、これは厄介かもしれないなぁ』


「これで、複数撃てばいつかは当たるはず! うりゃぁぁあああ!」


 私は、そう叫ぶとトリガーを引き複数のバティンに撃つ……けれど。

当たらない!! 全然違う方向に飛んでいっているよ。


「あれ? あれ? 何で当たらないの!」


 さすがに焦るよ。こんなに難しいなんて思わなかった。


『フフフ、その武器は種類によって性能が変わってくる。素人が、その辺りを分からずに適当に撃ったって、当たるわけないんだよ。あぁ、そうそう。野次馬は気にしなくていい。流れ弾は、ちゃんと炎の壁で消しているからな』


「あっ、どうもありがとう」


 でも、この銃を撃つのがそんなにも難しいとは思わなかったな。

うぅ、拳銃は割と簡単に当てられたのになぁ。


『ほらほら、ボーッと突っ立っていて良いのかな?』


 そう言うと、またしても無数のバティンが私に向けて、銃を撃ってくる。


「ひぇぇえええ!!」


 私はまた飛び回って逃げ回る。

あれ? でも、お姉ちゃんが何か叫んでる?


「明奈~!! あなた、スカートだって事忘れてない?!」


「えっ……?」


 あっ、しまった。何か皆の視線がおかしいと思った。

私スカートなのに、それで上空を飛び回っていたら……。


「み、見ないでぇ!!」


 私は、咄嗟にスカートを押さえる。

でもそれよりも何よりも、無数の銃弾が私に向かって飛んで来ている。

よ、避けないと。でも、スカートが~!!


「ひぇ~ん!!」


 顔を真っ赤にして、半泣きで避けていたら何だか格好が付かないよぉ。




「はぁ、はぁ、はぁ」


『だいぶ息が上がっているようだな』


「お前のせいだぁ!」


 私は、先程の銃弾も何とか回避をし地面に着地すると、呼吸を整えながらバティンを睨んだ。


『勝手に、スカートで空を飛んでいた奴が悪いだろうが』


 そのスマイルで、その言葉は何だかイライラしてきますね。

ほんとに、絶対に許さない。

ライフルはダメだ。撃ちやすいものでいかないと。


そして、私は手を広げて右手と左手に、それぞれピストルを出現させる。

片方は、シルバー色のピストル、もう片方は黒い色のピストルです。


「これなら、何とかなるかな?」


 そう言うと、私は二丁のピストルを、無数のバティンに向けて撃ちまくる。

そして、これは連射が出来るピストルです。もちろん、フルオートにしています。でないと不利ですからね。

でも、これはブレを修正するのが難しいかも知れない。集中しないと。


 もちろんバティンの方は、私が撃つ度に銃を乱射しまくっている。

お互いに、力を使い弾を作っているから尽きる事がない。

だから、私が撃たれるかバティンが撃たれるか。

つまり私は集中力が切れたらおしまい。

向こうは本物がバレたらおしまい。


「くっ!」


『フフ、やるなぁ。銃弾を華麗に避けながら、俺に撃ち込んでくるとはね』


次々と舞う弾丸の嵐の中で、私は必死に本物を探し続ける。

どこにいる。いや、どこに隠れる?


 銃声は止めどなく聞こえる。皆は耳を押さえて、不安そうにしている。

まさか、こんな銃撃戦になるとは思わなかったみたいだね。

そうそう、スカートには気をつけないと。

というか、銃弾が掠めてちょっとずつ破れてきてる? あっ、しまった。上までちょっとずつ破れてきてる。


『フフ、気づいたかい?』


「わざとねぇ!!」


 やってくれる。命を取りに来てるのかと思ったら、私に羞恥心を持たせて、油断した所を撃つ気だったのね。


「うわっ! あっぶないなぁ! もう!」


 顔のスレスレを銃弾が飛んでいく。掠める所でした。

ダメだ、集中しないと。恥ずかしがってなんていられない。

私は仕返しとばかりに、避けた時に真っ正面にいた、複数のバティンを撃ちまくる。


『撃てば撃つほど、避ける数も増えていくぞ!』


 それは、分かっているけれど。こうだもしないと無数に増えるバティンから、本物なんて……。

ちょっと待って、何も“この中に本物がいる”なんて言ってないよね?

また謀られた?

私は、撃つのを止めてひたすら回避に専念した。




「あ~もう。絶対に私が撃った数より多いってば!」


 全てを避けきったのは良いけれど、10分以上は避けていた気がするよ。制服は、もうボロボロです。

スカートは、左半分が破れちゃいました。太股が露わになっていて、ちょっとセクシーな感じになっちゃいました。

上はまだそこまで酷くはないけれど、右胸の一部分が破れてブラが少し見えちゃってるよ。


『フフフ、撃つのを止めたということは諦めたのかい?』


「ううん。あなた、また私を嵌めたわね」


 そう言って、私は木の上にいるグシオンを睨む。

過去と現在はあまり意味がないだろうけれど、未来の知識があるのが問題かも知れない。

それは、つまり今現代ではない技術の知識すら、あいつは知っているのかもしれない。

この考えが正しければ……。


 私は、ゆっくりとグシオンに銃を向ける。


『ぬっ?! どこを狙って……? ま、まさか!!』


 おや、バティンが慌てている。もしかして、ビンゴ?

バティンのその様子を見て私は確信をした。そして、狙いを定めてグシオンに向けて銃弾を放つ。


「ちっ! 勘の良い野郎だ!」


 グシオンは、咄嗟に木から飛び降りて、私の銃弾を軽やかに避ける。

するとその直後、グシオンの手からバティンが急に出現する。

まるで小さい状態から、大きくなる様に。


「ふむ、何故わかった?」


「グシオンが、未来の知識も持っているって事を思い出したからね。もしかしたらって思ったの。未来では物理学が発展し、物を小さくする事も出来るようになっているんじゃないのかなって」


 バティンが、慌てる様子もなく私を見ている。

いや、どことなく感心している気もするよ。

それよりも、今は私がバティンに銃を向けている状態なんだけど。なんで、平気そうな顔をしているのでしょう?


「余裕ね。あなたは、もう終わりなのに」


「どうかな? 後ろを見てみろ」


 うん、背後から銃を構える音が一斉に聞こえたから。

でも、これ朋美を誘拐した時にも言ったよね。


「この前も言ったわよね。私の大切な友達を助けるためなら、何でもするって」


「その言葉が、真実の言葉なら。死をもいとわないか?」


 私の目に、恐怖心があるかは分からない。

それでも、逃げるわけにはいかないから、私はしっかりとバティンを睨みつける。

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