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ラスト・エンジェル  作者: yukke
第6章 決戦 ソロモン72柱『ダンタリオン』
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秘策? 卑怯?

 もう手詰まりかな、これで俺が処刑でもされたら一環の終わりです。

この様子じゃ、1体の人狼も処刑出来ていないはず。

次で詰みじゃん。


「えっ?! あ、えっと明奈さん。ごめん、ゲーム終了なの」


 鷹西先生が、退場になった人達のカードを見て驚きながらそう言ってきた。

なんだって?! もう終了?! ってことは……。


「そう、見事に村人側ばかり退場になってたわ。そして、今回の処刑者と犠牲者も村人で、これで村人と人狼の数が揃っちゃったの」


「そ、そんな……」


 何なんだこれ。一方的過ぎるでしょう。


「ふふ、そんなにガッカリして。やはり妖狐の役でしたか。これは当たり前の結果だ。お前が、妖狐なんて変な役を紛れ込ませたのが原因です。それに、あなたが妖狐ではないかと言ったときに、あなたは目を逸らして焦りが見えていましたよ」


 ダンタリオンは、俺がショックのあまりに落としたカードに目をやり、俺の役を確認して言ってきた。

でも、俺そんなに挙動不審だった?


「だから、あなたの友達ではない2年生達は、客観的に見てあなたが怪しいと思った。ならば、先にあなたを擁護した人物を消すのは、当然でしょう?」


 くっ……。やっぱり最初から不利だった。2年生はダンタリオンである多田の手駒なんだ、ちょっとした言葉から、簡単に2年生全員を誘導可能なんだ。

俺は、イスに座りながらガックリと肩と頭をおとす。

そうまるで、真っ白にもえ……。

止めておこう。そんな気分じゃない。


「明奈。う、嘘でしょう」


「明奈ちゃん……」


 望お姉ちゃんと、朋美がこの世の終わりみたいな顔をしている。


「明奈、あなた。昨日の夜に秘策があるって言っていたじゃない」


「ほぅ、その秘策はダイスの事だろう。なら、もうその秘策も破られた。『妖狐を紛れ込ませる』、そんな最悪な面が出たようですね」


 多田が、ゲームセンターでやられた分を取り返したかのように、物凄い悪魔の様な笑みを浮かべている。

まぁ、悪魔ですからね。それは、いいですけどね。

そろそろ良いかな。


「はぁ、いいよ。ゲームが人狼って分かった瞬間。あなたのワンサイドゲームになるのは、分かっていたから。私は、最初からゲームで勝つ気はなかったの」


「ふん、負け惜しみを。でわ、どうやって俺の事を止めるつもりで……」


「バン」


「っ?!!」


 最初から、これが秘策だったんだよ。

俺は、ダイスで手に天使の羽根をモチーフにした黒いピストルを出現させると、ダンタリオン目がけて引き金を引いた。そして、銃声が体育館内に響き渡る。

もちろん、余裕しまくっていたダンタリオンは俺の銃弾を、回避出来ずに直撃した。


「なっ……ぐぅ。そ、その弾は!」


「そっ、退魔弾よ。ダイスでそう言う弾と銃を出現させたの。意外と簡単だったわ、絵を記せばその絵の物が出現させられたからね。ぶっつけ本番だったけど、上手くいったわ」


 しかも、最近気づいたのだけれど何も指を鳴らさなくても、念じればダイスを出現させることが出来たの様です。

最初に、指を鳴らして出したから、そうじゃないと出ないと思い込んでいました。


「がっ……。く、そ。この卑怯者が」


 ダンタリオンは、弾が当たった場所から、徐々に煙となって消えていきそうになっている。


「あら? 悪魔相手に卑怯もクソもないでしょ? そもそもあなたみたいなメンタリストの悪魔なら、尚更正々堂々なんてしないでしょ? あの夜の暗闇の演出。あれに、思考を阻害する力をかけていたんでしょ?」


 その言葉に、ダンタリオンの顔が徐々に変貌していき、凶悪な悪魔の顔そのものになっていく。図星だったようですね。


 さすがに、この事態に周りの人も騒いでいない?!

ボケっとあらぬ方向を向いている、何故?


 でも、その前に俺は悪魔を魔界に送り返す程の力を使ったんだ、どんどん体が縮んでいます。服がぁ、制服がダボダボになっていく。

裸を晒してたまるか。


「くっ、くくく。俺を送り返したくらいで、全て解決したと思うなよ。他にもソロモンの悪魔は居るんだからな」


 そんなことくらいは分かっているよ。

いいから、あなたは魔界に帰りなさい。


「くくく、は~ははは!!」


 ダンタリオンは、高笑いしながら黒いオーラと共に、煙の様に地面に吸い込まれていく。

どうやら、魔界に戻った様ですね。

上手くいって良かった。


「あっ、そうだ。今のうちに役が何だったか確認しないと」


 そう言って、俺は服を抑えながらダンタリオンが落としたカードを拾いに行く。

あぁ、やっぱりね。ダンタリオンは狂人だったよ。

あれ、じゃぁ人狼は誰だろう?


 洗脳が解けたかの様に惚けている2年生達から、俺はカードを取って確認していく。

ふむふむ、村人で。あっ、5番の2年生が騎士だったんだ。

で、9番の2年生が人狼だ、じゃぁ朋美が占い師なのは間違いなかったんだね。


「そいつが人狼だったんか。くそぉ」


 わぁ! 谷口先輩いつの間に後ろに。

というか、他の皆も俺の所に集まっていた。


「ご、ごめん。明奈。私、完全に足ひっぱっていたね」


 朋美が、今にも泣きそうな顔をしている。

これくらいで責任を感じなくても良いのに。


「朋美、こっちもごめん。自分だけが、生き残れる様な役を入れちゃって。あいつを油断させるために、二重の策を用意するしかなかったんだ」


 そう言って、朋美の頭を撫でようとしたけれども。

はい、届きません。今、10歳くらいになっていたんだった。


「あはは、明奈ちゃん。今、可愛い小学生くらいになっちゃってるから、そんなことしたら笑っちゃうでしょ」


「うぐぐ。ふ~んだ。笑わせる為にやったんだもん」


 でも、それが強がりだってのは皆にバレていた。皆、にやにやしているもん。


「あれ? じゃぁ、あと1人の人狼は?」


「あ、ごめん。私です。よく分からなかったし、適当に話合わせてたの。でも、明奈は選ばなかったよ私は」


 理恵、それが一番恐ろしいよ。初心者程恐ろしいものはないとはこの事ですね。


「さてと。それより、僕が意識阻害結界かけていなければ、その姿どう説明するつもりだったんだい?」


 すると、突然俺の後ろから知った声が聞こえる。

もう、驚きませんよ。俺はね。


「え?!  ミカエルさん、来ていたのか」


 谷口先輩は驚いた様な表情をしています。

それで、体育館の他の人達には今の俺の姿を不思議に思っていないのね。


「さて、明奈さん説明をお願いしようかしら?」


「あれ、ミカエル? この鷹西先生にはかけなかったの?」


「ごっめ~ん! 君の近くに居た人達は、意識阻害の結界に入れられないから~てへぺろ」


 てへぺろじゃな~い!! ミカエル、グルグル眼鏡かけてるモードじゃんか!

他の人は巻き込みたくないのに、何やってんのこの人は!!


「その、グルグル眼鏡割ってやる!!」


「わぁ!! 待ってってば! 意識阻害の結界がもうすぐ解けそうだから、早く隠れなよ!」


 その前に割るんだ。って、走りにくいよこの体。

ダメだ、追いつけないしすぐに息が切れる。

しょうがない、ここは皆に問い詰められる前に退散しよう。


「鷹西先生、後宜しく!」


「えぇ! ちょっと、明奈さん!! 後で説明してよね!」


 それは約束出来ませ~ん。

一目散に退散しま……。


「へぶぅ!!」


 しまった、ガボガボになった靴じゃ歩くのすら気をつけないと、引っかけて転んじゃう。というか、転びました。


「しょうがないなぁ、明奈」


「あ、待って。望お姉ちゃん、おんぶは恥ずかしいよ」


 あれ、後皆も体育館に残ろうとしてる?


「俺達も残って、鷹西先生のフォローするわ、この人じゃ不安だからな」


 谷口先輩がそう言うと、明らかに鷹西先生が不機嫌な顔をしていました。

年上の女性に、その言葉はダメですよ谷口先輩。


「分かりました、じゃぁ映画部の部室に居るんで、後で皆で来て下さい!」


 そう皆に言うと、皆は了解と言わんばかりに手を振った。


「さぁ、僕達はレッツゴー!」


「お尻触んないで! ミカエル!」


「へぶぅ!! でも、痛くな~い!」


 く、くそ。子供の体は色々不便で仕方ないよ。

でも、これで2年生達がまともになってくれたら良いけどね。

後で、様子を聞いておかないと。

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