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ラスト・エンジェル  作者: yukke
第6章 決戦 ソロモン72柱『ダンタリオン』
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迫る対決の時

 6月に入り、ジメジメした日が続いております。俺は、うなだれながら学校へと向かっている。


 この時期、長い髪がこうもうっとうしくなるとは思わなかった。

だが、俺は以前に髪を上に束ねていて気づいた。

こういうジメジメした日こそ、髪を束ね上げればいいのだと。

もちろん、今日はお母さんに手伝ってもらいました。自分の髪なのに、なかなか上手くいかなかったからです。


「あ~それでも、このジメジメ自体が解消されなければ、あんまり意味ないや」


 すると、前方からサラリーマンが大慌てで走り去っていく。

一瞬だったけど、ネクタイがなかったような。

なるほど、ネクタイを忘れたのですか。それで家にとんぼ返りですか。

それなら良くある情景ですけどね、問題は電柱の上からケラケラ笑っている、バイキン悪魔がいるんです。

相変わらずしょぼい。

あっ、こっちに気づいた。待って、止めて。ダイスを振らないで。


 すると、目の前の今しがた青に変わったばかりの信号器が、突然赤に変わった。

えっ? それだけですか?

時間に余裕を持って来ているから、たった1回信号に止められただけじゃ遅刻しませんよ?


 あっ、それでも隣のサラリーマンの人がその場で駆け足している。遅刻しそうなの?

この人に対してやったのかな?

まぁ、でも何かムカツクから俺は電柱に近寄り、周りに気づかれない様に道端の石を拾い上げ、電柱の上のバイキン悪魔めがけて放り投げる。


「ぐわっ!!」


 見事に命中! そのまま、下に落下して地面に激突……する前にトラックにはねられたよ。


 見事な吹っ飛びっぷりだけど、トラックが急いで路肩に止めて、慌てた運転手が車から降りてくる。

大丈夫です、何もぶつかっていませんから。

とりあえず俺のせいじゃないからね、早く学校に行くとしましょう。


「いったぁ!! あっ!!」


 渡ろうとしたら、今度はバナナの皮が?! 古典的過ぎて油断したし。

そして、パンツ丸見えだし。

慌てて抑えたけど、何人か見た? 白々しく視線逸らしているよね。

と言うか、バイキン悪魔まだい……ない?

えっ、これ普通に落ちてたの?






「おはよう……」


「おはよう! って明奈どうした、元気ないぞ?」


 それからは、何の嫌がらせも無く無事に学校に着いた。

最後の、コケたやつだけが思い切り恥ずかしかった。


「いや、ちょっと思わぬ妨害を」


 俺を心配してくれた理恵に、そう返事をするがもちろん何の事か分からずに、ただ首をひねっている。


「おはよう、明奈ちゃん。もう教室だから、羽根だしたら?」


「あぁ、分かったよ」


 もう学校内では、羽根を生やすようにと決められてしまいました。

もちろん2年生達から、非難の目で見られるよ。でも、2年生は全員ダンタリオンによって手駒にされている。早く何とかしないと、2年生の山本先輩が汚されてしまう。


 そして、ミカエルが言うには汚されてしまえば、死んだ後天使に転生出来なくなると言われたからね。


 因みに『スター・エンジェルズ』のミカエル以外の3人は、何と本物の四大天使の転生したウイルスに感染をしているそうです。

つまり死んだ後、四大天使に転生する事らしいです。

その為、この3人に関してだけはミカエルが何とかするらしいです。

実は自分の尻拭いだけじゃなく、そういう理由もあって3人を集めアイドルなんて結成したらしい。


「おはようございます、明奈。この前はどうもありがとうございました」


 ダンタリオンの対処を考えていたら、宝条さんが入って来て俺に挨拶してくる。


「綾子。おはよう。優勝商品を考えたら、あれくらいはって思うけれども。羽根、触りまくるのだけは止めてよね」


 とりあえず、一言文句を言わないと調子に乗りそうだよ。


「明奈、宝条さんと何をしてたの? 優勝商品ってなに?」


 その話に、理恵がすごい食い付いてくる。

もちろん、朋美も会話に参加したくて聞き耳をたてている。


「そうでしたわね。あなた達にも、来て頂きたいですからね。先日あった、大会の事についてお話致しましょう」






「へぇ、そんな大会あったんだね。さすがお金持ち、優勝商品もさることながら、高尚な大会だね」


 理恵が呆れるやら関心しているやら、何とも複雑な顔をしている。

お金持ちの感性についていけないのは分かるけれど、ちょっと露骨じゃないかな?


「理恵ちゃん、せっかくプライベートアイランドに、連れて行ってくれるんだから。そんな態度悪くしちゃダメ!」


 朋美が注意してくるが、理恵は聞く耳もたない様子で鼻をほじっている。

汚いから止めた方が良いと思います。


「ふ~んだ、どうせ私は部活の合宿で行けないよ~だ」


「あら。でしたら、その島で合宿を行えばよろしいでしょ? 顧問の先生に掛け合っておきますわ」


 さらっと凄い事を言った。そして、多分顧問の先生も了承しちゃいそう。

でも、そんな1つの部活を特別扱いなんて出来ないんじゃないですか?


「宝条様!!」


 理恵が、宝条さんの手をガシッと握りしめて、神を崇めている様な目をしている。


「綾子で良いですわよ。理恵」


 それは良いですけれど。理恵の指に、鼻くそついてますよ宝条さん。


「朋美も、来てくれますわよね?」


「もちろん!!」


 朋美は、当然そう言うと思いました。

すると、宝条さんが近づいて来て朋美の肩に手を置いた。


「そう言えば、あなたもよく見ると素敵な羽根をしていますわね。容姿も悪くないですし。ついつい、明奈に目がいっちゃいますけども、あなたも逸材ですわね」


 あ、あれ? 朋美も巻き込む気ですか? あの大会に。

でも、あの大会ってどれくらいの期間でやっているのかな?


「あなたも、明奈と一緒に私の友達として、今度の大会に出てくれます?」


「えっ? 良いの? 私なんかで」


「良いに決まってますわ!」


 宝条さんの目も、きらきらと輝き出している。でも、ちょっと待って気になる事が。


「綾子。その大会ってそんなに頻繁にはないでしょ?」


「いいえ、来月にまたお遊戯大会がありますわ。今度は『天使のお友達対決』です」


 毎月あるのでしょうか? お金持ちの人達って、よっぽど暇なのかな?


 すると、いきなり廊下から凄い視線を感じる。驚いてそちらを向くと、ダンタリオンこと多田先輩がこちらを見ていた。

多分、俺に用があるんだろうね。


「あ、皆ちょっとごめんね」


 そう言って、俺は席を立ち廊下に出る。


「何か用?」


 あんまり、こいつと真っ正面に対峙したくないな。

正直まだ怖いのです。


「いや、君に対戦を申し込もうと思ってね。あの奈々美という子は今、不登校に陥っているのでね。さすがに、また怒鳴り込まれると面倒なのだよ」


 さすがに、その言葉に俺も腸が煮えくりかえりそうになる。


「何、手を出してるの? 勝手な事を」


「手を出さないとは言っていないだろう。単に、彼等にいじめられやすい性格をしていただけ、羽根は関係ないさ」


「ぐっ……!」


 くそ、知恵が回るというよりも、言われてみればその通りだった。

だからって許すわけにもいかない。さて、どうしようか。


「止めさせて欲しければ、僕を倒すしかない」


「力で敵うわけが……」


 反論しようとすると、すぐに多田先輩が返してくる。


「そこで、僕とゲームをしようじゃ無いか。僕も、君が邪魔だからね。こちらに来ないと言うなら消すしか無い。ただ、僕達は人間界では力を制限されている、忌々しい神の作った結界でね。そこで、僕の用意したゲームで制約を付けよう。勝った方が、今回の件に関して一切邪魔をしないというね」


 なるほど、それなら、俺にも勝つ可能性はあるかもしれないね。ゲームにもよるけれどね。

でも、どちらにせよ山本先輩を守る為にも、これは……


「宜しいですわ受けて立ちましょう! 明奈が負けるハズがありませんわ!」


 って、宝条さん!! いつの間に?!


「そうだよ! 明奈ちゃん! 卑劣ないじめを許したらダメだよ!」


 あれぇ? 朋美まで!! と言うか、クラスの皆まで見ている?!


「ふふふ、人気者だねぇ。橋田さん」


 多田先輩が、不敵な笑みを浮かべる。

あ、そうか。この人にとっては、自分がいじめを行っているのがバレても、痛くも痒くも無いんだ。

それよりも、こんな廊下でそんな話をしていたら、皆聞くに決まっているじゃん!

つまり、正義の俺が逃げられ無いようにするのと同時に、俺にプレッシャーを与えるという2つの効果をもたらすじゃん。


「こんな事をしなくても、私は逃げないわよ。どんな勝負でも受けて立つわ」


 どちらにせよ、俺は逃げる気は無かった。

そして、精一杯多田を睨みつける。もう、こいつは先輩ではない。


 倒すべき敵、ただの悪魔だ。


「良いだろう。でわ、明日の放課後体育館でゲームをやろう。ゲームには、複数人のプレイヤーが必要になる。なので、こちらは5人。そちらも君を入れて5人プレイヤーを用意してくるんだ」


 そう言って、多田は踵を返して去っていく。

計10人によるゲーム。いったいどんなゲームなんだろう。


「話は済んだか、橋田」


 すると、後ろに担任の柳田先生が立っていた。いつの間にかHRの時間になっていたようです。

俺は、慌てて教室へと戻った。

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