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ラスト・エンジェル  作者: yukke
第5章 それぞれの目的の為に
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遅れた新入生

「おっはよう~明奈~!」


「お、おはよう。明奈ちゃん」


「おはよう。朋美、理恵」


 教室に入るなり、俺に挨拶をしてくる親友の2人に挨拶をする。

理恵は、相変わらずだが。少し焼けたのかな? あの後は、ずっと部活だったみたいだからね。

朋美は、ずっと素肌色白のままで綺麗です。そして、白い羽根も綺麗ですね。


「ねぇ、明奈ちゃん。あんまりじっと見ないでよ。明奈ちゃんの羽根の方が綺麗だから、恥ずかしいな」


「そう? 白くて綺麗だよ?」


 俺がそう言うと、朋美は顔を真っ赤にしていく。

何とも可愛らしい。何度も言うけど、男なら絶対落ちてます。


「……ねぇ、明奈。何か、連休前に比べて変わってない? 話し方や雰囲気が」


 理恵もなかなか鋭いね。でも、変わってないと言われた方が問題だから、それで良いけどね。


「もしかして、連休中に好きな人でも出来たの? 女に磨きがかかってる感じだよ」


「ちょっ!! そんな分けないでしょ!! 何を言ってるのよ理恵!」


「えぇぇ~!!」

「橋田さん、好きな人出来たの?! 誰、誰?」

「マジかよ!! あの橋田さんに好かれるなんてよっぽどのイケメンなのか?!」


 クラスメイト達にも聞こえていたらしく、皆口々に好き勝手言ってくる。

この歳の子達は恋愛事には敏感ですね。


「ち、違う違う、そ、そんな人いない!!」


 俺は、必死に手を振り否定する。ほんとにそんな奴は居ないからね。


「顔を真っ赤にしてたどたどしく言うな!!!」


「うにゃっ?!」


 クラスメイト全員が、一斉に叫びそして一斉に俺に向けて指をさしてくる。

そんなに、顔赤いの??

確かに、ちょっと顔熱いなとは思うけどさ。


「あはは、明奈ちゃんったら可愛い~」


「からかわないでよ、朋美。あなとの方が最近はモテるんじゃないの?」


「そ、そんなこと無いよ!」


 朋美が何だかむきになって否定している。なるほど、さっきの俺もこんな感じだったのかな。


「いやいや、朋美~あんた、気づかれないようにしてたんだろうけど、私はバッチリ見えてたよ。靴箱から2~3通のラブレターを、咄嗟に隠す所をね!」


「えっ? 嘘?! 見えてたの? は、恥ずかしい……私、そんなに魅力的じゃないよ?」


 いやいや、十分魅力的ですよ。

まぁ、高校生ともなると皆心も成長するから中学生みたいないじめなんか殆どしなくなるよ。

いじめられなくなると、美少女は告白されるのが世の常だからね。


「む~……絶対、明奈ちゃんの方が可愛いのに。羽根出してないからじゃないの?」


「それは、関係ありません。朋美」


「でも、結局橋田さんってあれから羽根出してないよね? 勿体ない」

「そうだそうだ。あんなに綺麗なんだぞ~」

「俺達に癒やしをくれ~」

「西澤さんも、橋田さんもこのクラスの。いや、この学年の天使なんだ! 羽根を生やしておくことは義務だ!」


 クラスメイト達がやかましいです。何故、君達の癒やしにならなきゃいけないんだ。


「お願い明奈ちゃん。私だけじゃ、荷が重いよ~」


 うっ、そんなキラキラな涙目で見つめないで。

後、白い羽根をパタパタさせないで。俺の黒い羽根みたいに羽ばたかす事は出来ないけれども、前後や上下には多少動かせられる。

だから、こうやって前後にパタパタさせるとね。何とも可愛らしくなるの。


「う~朋美。それ卑怯だよ、やめて~」


「明奈ちゃんも羽根出してくれたら止める」


 うぐっ、策士ですね朋美。とりあえず、にやにやしている理恵には後でげんこつ入れとくとして。


「もう~しょうがないなぁ~!!」


 俺は、観念して羽根を出した。

すると、クラスメイト達が雄叫びにも近い絶叫を。女子からも感激の声が上がっています。


「ちょっ、何でそんなに? 白い羽根と色が違うだけだよ?」


 皆、俺の黒い羽根をガン見している。

ちょっとこれは、裸を見られるより恥ずかしいよ。


「いや、だって。朋美達、白い羽根の人達は綺麗で可愛いけどね。明奈のは、綺麗だけどツヤもあるからさ、美しさも兼ね備えていて妖艶なんだよね~」


「ちょっ!? 理恵ったら、なにを言って。そんな事は……」


 否定しようとしたけど。クラスメイト全員頷いてます。

皆もそう思っていたんだ。恥ずかしい。

俺は顔を真っ赤にして、俯き羽根を前に広げて顔を隠す様にして、顔を羽根の上からちょっとだけ出す。


「そ、そんな……見ないで」


「!!!!!」


 ふふっ、どう? この仕草の威力は望お姉ちゃんで実証済みだからね。

って、あぁ……男子全員、鼻血吹き出してるよ。

すると、丁度その時。

教室の扉が開き、担任の柳田先生が入ってきた。


「おい、お前等騒がしいぞ。とっくにチャイムは鳴ってる……ってどうした?! お前等何で鼻血出してんだ? あぁ、橋田か。お前羽根生やして、何超絶可愛いポーズとってんだ?」


 やっぱり柳田先生には、効かないか。この人年下には興味ないもんね。

だから、教師が出来るんだろうけどね。


「周りが、うるさいので。ちょっと、黙らせてました」


「ちっ、晃がこんな事するわけね~よな……」


 何か、ボソボソと聞こえたけどな~そうだね、晃ならこんな事はしないよ。


「ほら、お前等。鼻血拭け! 転校生に失礼だぞ!」


 えっ? 転校生? こんな時期に?


「あ~転校生じゃないかな? 訳あって、入学が遅れた子がいてな。連休中にようやく、海外からこっちにこられたようだ。入って」


 すると、廊下で待っていたであろう子が教室の中に入ってくる。

その人物は、俺の知ってる人物であった。


「さ、自己紹介を」


「はい。皆様、初めまして。私は宝条綾子と申します。ハーフですけど、この通り日本語はしっかり出来ますので。よろしくお願いしますね、皆さん」


「オォォォォ!! ハーフ美少女~キタァァ!」

「腰の位置高い!! 体型とかモデル並みじゃん!」

「男子うるさ~い!!」

「ねぇねぇ、それよりも宝条って言わなかった? まさか、宝条グループの?」


「えぇ、そうですわよ。ですが財閥のご令嬢だからと言って、態度を変えないで下さいね。普通に接して下さい」


 宝条さんは、そう言ってニッコリと笑った。

その破壊力は相当らしく、男子達は再び鼻血をだしていた。


「お前等な~!! って、橋田。どうした? ポカーンと口開けて」


「橋田? まぁ!! あなた、ここの生徒でしたの? しかも同じクラスだなんて!!」


 そう言うと、宝条さんは猛スピードで俺の所にやってきて手をとった。

いや、そんなに嬉しい事なのかな?


「あっ、うん。こっちもびっくりしたよ。同い年だったんだ」


「あら、言ってませんでしたっけ?」


 言ってないですよ。だって、ずっと一方的だったからね。さすが、お嬢様って感心していたくらいだから。


「何だ、橋田。お前の知り合いか?」


「えっと、知り合いと言うか連休中に初めて会って……」


「私の親友ですわ!!」


 昨日の今日でいつの間に親友になってるんですか、宝条さん!!

友達からじゃないんですか?! あなたの親友ライン低いですね。


「いや、連休中に初めて会っただけだよ?! 友達になるのは良いって言ったけど、それって親友レベルの事だったの?」


 とりあえず、確認しておかないと。あの時は、友達って言ったはず。


「あら、私と親友は嫌ですか?」


「あっ、いや……嫌というんじゃなくて」


「でわ、決定ですわ!」


 あぁ、さすがお嬢様で女王様ですよ。皆、動揺しているよ。


「まぁ、だったら席は橋田の後ろでいいか? 橋田、色々教えてやってくれ」


 さらりと厄介事を押し付けられたよ。

でも、気になるのは廊下から聞き覚えのある声がするの。

「ブゴフゴ」って声がね。


「ちょっと、すいません。先生。気になる音が、廊下からするんで良いですか?」


「んっ? あぁ……いいぞ。絶対引くからな」


 大丈夫。だいたいの事は分かっています。

そして、俺は廊下側の窓をカラカラと開ける。


 そこには勿論、パンツ一丁の姿で首輪とボールギャグを付けられ、廊下に繋がれているブタお兄さんの姿があった。

それを見た瞬間。俺は、直ぐに窓を閉めた。


「先生~ここってペット連れてきて良いのですか?」


「特例らしい……校長がそう言っていたよ」


 買収されてるよね、絶対。

あんまり、特別扱いしない方が良いよ。


「え? 何か居たの?」


「どれどれ?」


「あっ、朋美も理恵も。見ちゃダメ!」


 でも、遅かった。2人が窓を開け廊下を見た瞬間、俺と同じ行動をした。

俺より閉めるの早かったね。


「何あれ?」


 2人共声を揃える程に驚いたらしい。


「記憶から抹消しておいて下さい」


 とにかく、この2人も宝条さんがどういう人なのかは、今ので理解したようです。

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