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ラスト・エンジェル  作者: yukke
第4章 ゴールデンウィーク
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連休5日目 ~ ご令嬢登場 ~

 朝食も終え、今日は父さんが釣りをしたいと言うので湖に面した釣り堀へと向かう。

母さんと、望はなんか近くのショッピングモールへ行くと言って、2人でそちらへ向かった。

と言うわけで、父と俺2人だけだ。ブタお兄さんはもちろん、コテージでブログの更新。


「良いか、釣りはな餌1つとってもバカにできんぞーー」


 釣り橋で、さっきからずっと父さんの釣りうんちくが始まっている。

しまった、父さんの地雷かこれは。父さん、息子ならまだしも娘だぞ。

ダメだ、聞いてない。

そして、水辺と言うのは何か嫌な予感がするのです。

あぁ、ほらいる。いるよ。

バイキン悪魔がにやにやしている。

何かされる前に手をうっておくか。


 そして、俺は指を鳴らしてダイスを出現させる。

バイキン悪魔に見えないようにね。

さ~て、どうしようかな。あっ、そうだ。

そして、俺は次々と面を埋めていく。


『バイキン悪魔、24時間カエルになる』

『バイキン悪魔、24時間糸ミミズになる』

『バイキン悪魔、24時間小魚になる』

『バイキン悪魔、24時間ルアーになる』

『バイキン悪魔、24時間練り餌になる』


 どうですか。見事な餌っぷり。

とっとと、食われたらいいんだよ。

後は、ハズレだけども。適当でいいや。

よし、埋め終わった。てい。

何が出るかな~♪


 カラカラカラ。


『釣り橋が崩れる』


 バシャーン!!


 しまった~!!! ハズレだ~!!!


「うわわ、なんだこれは!! 明奈何をした!」


「ご、ごめんなさ~い!」


 こんな事なら、もう少し考えるべきでした。

あぁ、バイキン悪魔が高笑いして満足そうに去って行った……ちくしょう。





 数十分後、係の人に助けられた俺達は、係の人から渡されたタオルで体を拭いている。

もちろん、係の人はぺこぺこ平謝りお客様は係の人に憤慨している。


 でも、すいません。私のせいです。

とは言えずに、何だか申し訳ない気分になる。

父さんは腕を組み、怒りのオーラを俺に向けている。

もちろん、俺達は係の人の詫びは聞かずにそそくさとその場を去る。


「明奈、少しはその力の事を考えなさい」


「は、はい……」


 父さんが人気の無い所に連れてきて、俺を説教し始める。


「お前の体の負担の事もあるが、ハズレがあるというのが厄介なんだよ。少しは、それが当たった時の事も考えろ」


 それは、さっき身をもって思い知りました。


「お前しか持てないからって、少し任せすぎたようだな。最近は使い方が分かってきたのか知らないが軽く考え過ぎだ、危険な力には変わりない。良いか、今度からはその力を知っている人に、これで問題ないか見せてから使え!」


「えぇ、そんなめんどくさ……」


「良いな?!」


「は、はい……」


 ダメだ、父さんめちゃくちゃ怒っています。そして、さっさとコテージに向かおうとしている。


 あ~あ、しばらくはそのスタイルでやるしかなさそうだ。というか、気づいたらダイスが手の中に。まだ1回振れるんですか。


 でも、バイキン悪魔はもうい……たぁ!!

木の上で、俺が怒られている所を見て「ざまぁ」って顔で見ているし、言っている!!

ならば、秘技! 刺さるダイス!!


 そして、俺は草の上にダイスを縦にして放り投げた。ハズレの面を下にしてね。

そう、硬い地面じゃないとダイスは転がらない。

つまり、ハズレの面を下にして柔らかな地面にまっすぐ放り投げれば刺さるようになり、ハズレは出ないのさ。多分。

でも、だいたい予想通り刺さりはしなかったが下の面は向かずに、上の面が出た。


『バイキン悪魔、24時間カエルになる』


「げっ?!」


 木の上から何か聞こえたが、その後小さな物も落ちてきた。


「ゲコゲコ……」


 あはは。とっても良い姿ですね。

まるで、某漫画のギ……んっん~


 って、あれ? 何か体がムズムズする。

あっ、しまった。縮んでいる?!

嘘でしょう。今日は1回しか使っていない! 計算上、まだ使えるはず!!

あ、まさか。悪魔を変身させるなんて、とんでもない力が要るんじゃ……


「ゲ~ロ、ゲ~ロ」


 これ、絶対笑っている。

くそ、小学生位の体になっちゃった。これじゃダイスも使えないし、超パワーもない。

こいつをぶっ飛ばせないけど、踏みつけたら良かったね。


「ゲコっ?! ゲコ!! ゲコゲコ!」


 あっ、くそ。逃げるなこの!


「あ~き~な~!!」


「はぅっ?!」


 俺は、体をビクッとさせてロボットの様に首をゆっくり後ろに向ける。

するとそこには、鬼の角を生やしてそうな程に激昂しているお父様の姿が……


「あっ、あ……お父様。こ、これは。その……回数が余って、その」


「さっき注意したところで、いきなりか!! だから言っただろうが! そんな分からん子はこうだ!!」


 父さんは、ガシッと俺の体を掴み持ち上げると、そのままクルッと後ろに振り向かせる。そして、俺のお尻をペロンとさらけ出す。


 って、これは!! 伝説のお尻ペンペンスタイル!!


 パシーン!! パシーン!!


 父さんは、俺の可愛いお尻に平手打ちをお見舞いしてくる。

と言うか、痛さよりも恥ずかしいからやめて~!!

そして、それは母親がやることだよ。

父親は殆どする人はいないよ!


「止めて~!! ごめんなさ~い、ひえ~ん!!」


「ちゃんと、父さんの言うこと聞くか?!」


「え~ん!! ちゃんと言うこと聞きますから~良い子にしますから~!!」


 これ、結構効ききます。痛いからじゃない。

恥ずかしいんだ、コレ。






 そして、夜になり俺達は晩御飯にするべく河原にやって来ている。

あの後、コテージに戻った俺には母さんの小言とお尻ペンペンが待っていた。

まさか、母さんにもされるとは思わなかったです。

あと、それを涎を垂らしながら見てる望お姉ちゃんも怖かったです。


 何はともあれ、明日は帰るので今夜はバーベキューです。

待ってましたよ、バーベキュー!!

嫌な事は忘れて食べるとしよう。


 だが、実は昨日からちょくちょく視線を感じているのだ。

それは、どうやら俺に向けられているわけでは無さそうで、望でも無さそうである。


「ブヒヒ、さっきから視線を感じる。軍曹、警戒した方がよろしいでしょうか?」


 誰が軍曹だ。

ブタが、ポテトチップスを食べながらバーベキューも食べている。

勿論、ポテトチップスはバーベキュー味。

もう、ツッコまない。


「ブタお兄さん。気のせいです。誰も、あなたみたいな醜い人を見る人は居ません」


 うん、良いお肉を使うとやっぱり美味しいね。

俺は、お肉を頬張りながらブタをけなす。


「ブヒ~酷いな、僕にも恋人が居るんだぞ!!」


「どうせ、二次元でしょ? ブタお兄さん」


「違う!! 俺の嫁である天使っ娘、萌愛(もえ)ちゃんはちゃんといるんだぞ!!」


「『僕の心の中に』ですか?」


「あっ……」


 先手を打ってあげました。ざまみろ。

言いたいセリフを言えないのはさぞ苦痛でしょうね。

あ~あ~ブタお兄さんガッカリして、半泣き状態。


 すると、突然甲高い声が響き渡る。


「合格!! 合格ですわ!!あなた!!」


 何だ、何だ。誰だ?!

あっ、俺達の後ろにある大岩の上から見下ろしながら、指をさしている女性がいるぞ?


「どちら様?!」


 もちろん、母さんがその人に尋ねている。

当たり前です。名乗って下さらないと話が進みませんからね。


「ふふ、私は宝条綾子(ほうじょうあやこ)と申します。以後お見知り置きを」


 その女性はペコリとおじぎをする。

でも、そこ危なくないですか?


「あっ、わっ……きゃぁ!!」


 あぁ、ほら滑り落ちてお尻打ってますよ、痛そう。


「いつつ……はっ! 見苦しい所をお見せしました」


 さすがぱぱっと起き上がり、衣服の乱れを直している。

この人、お金持ちのご令嬢なのかな?

髪型なんか、金髪ロングの縦巻きロールですよ。初めて見た。

そして、服装は。ゴスロリと言うべきなのかなこれは。

フリフリの黒いドレス衣装でお姫様のようである。靴は、上げ底ブーツではないヒールです。

でも、服装はさておき顔のパーツが整っているので、凄い美人である。

こんな美人でほんとにお金持ちなら凄いよね。


 ん? でも皆、宝条さんが自己紹介をしてから固まっているよ。

しかも口をパクパクさせて鯉みたい。


「ほ、宝条って……あの、宝条グループのご令嬢?!」


 父さん、声が引きつっていますよ。

そして、その言葉を聞き俺も開いた口が塞がらないよ。


 宝条グループって言ったら世界有数の貿易会社で、ある場所の石油の権利を、その国の企業や政府を出し抜き手に入れたって言うあの宝条グループか?!


「えぇ、そうですわよ?」


「こ、これはこれは!! 我が会社がいつもお世話になっております!!」


 父さ~~ん!!

すっごいペコペコしちゃってるよ~!!

いや、仕方ないとは思うけどね。


「あらやだ。仕事の事は私には関係ありませんので、普通にして下さらないかしら?」


「あっ、は、はい。で、今日はどのようなご用件で?」


 それでも、やっぱり低姿勢。

ザ・ジャパニーズサラリーマンです。


「そこのあなた? 名前は?」


 宝条さんは、突然ブタお兄さんを指さした。


「ブ、ブヒ? 僕は、守って言うけど」


「そう、守さん。私はあなたを気に入りました。付き合ってもらえますか?」







「えぇぇぇぇええええ?!」


 家族全員、大絶叫です。

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