モブ、はじめまして?
「「・・・」」
微妙な沈黙が場を支配します。
私はアーサー様に挨拶していますよ、学園入学時にクラス内で自己紹介してますからね!
その後は爵位よろしく私から声を掛けるなんてありませんし、ステルス令嬢してましたから接点はその時のみですが。
「リリー」
「はい!」
「その様子だと食事を持って来てくれたが準備は出来てないだろう?俺達は埃を落としてくるから、後は頼めるか?」
「あ、はい」
ヴィルヘルム様、怒って・・・いると言うより呆れているのですかね?
「リリアンちゃん、はい!これで拭いて、綺麗だから大丈夫よ」
騎士お姉様が手桶と綺麗な手巾を渡してくれます
「ありがとうございます、お姉様」
埃と汗を拭いて、ヴィルヘルム様達のテントで食事の準備をします。
「それにしてもリリアンちゃん鞭の腕前凄いわね、感心しちゃった、侮る訳じゃないけど貴族の得意と騎士の得意には差があると思っていたから、本当にビックリしたわ」
「あはは、鞭は何故か得意なんです、音も響いてスッキリするので好きですし」
「なるほど、その腕前で公爵様を手懐けているのね」
「違います」
「冗談よ!」
会話をしながらも手際よく食事の準備を終わらせて、と。
「じゃあ、私はこれで失礼するけど、近くに待機しているから外歩く時は声掛けてね」
「はい、ありがとうございます、お姉様」
お姉様はヒラヒラと手を振りながらテントを出ていきました。
その頃、ヴィルヘルム達は川で汗と汚れを落としていた
「アーサー」
「はい・・・」
「リ・・・、彼女とアーサーは面識がある筈だ、学園の同じクラスだぞ」
「っ!??」
同じクラス!?同じクラスだって!?覚えがないアーサーは必死に記憶を辿るが、やはり思い出せない。
「・・・」
ボンと頭に手を乗せられるアーサー
「アーサー、言われたくないとは思うが俺は言うぞ、アルなら一目会った者を忘れない」
「っ」
それはこれまでも言われて来た事、兄なら、王太子様なら、常に比較されてきた、言われたくない一言。
拳を握り込む
「聞け、学園で担任教師にとってお前は多くいる生徒の中の1人だ、だが生徒から見たら担任教師はただ1人だ、お前にとって国民はその他大勢かもしれん、だが国民から見たらお前はアーサー王子という唯一だ、俺が言わんとする事、分かるな?」
「はい・・・」
驕っていた、学園の同級生の顔も名前も覚えていない事がまさに証明している。
そして勝手だった、自分の事しか考えていなかった我が身を恥じるアーサー。
グリグリと乱暴に頭を撫で回される
「アーサー、お前は今からだ、先ずは周りの人から大事にしよう」
「はい」
悩み事は変わらない、でもまだ頑張れる気がした
自分と同じ様な立場で生きてきた先輩、頼りになる叔父上
自分が国王になる事はない、だが父や母、兄から学べるものは多い筈だ、頑張ろう・・・
「おかえりなさい、準備は出来てますよ」
先程の失礼を気にすることもなく笑顔で向かい入れるリリアン。
「ただいまリリー、美味しそうだ・・・」
「一応手作りよ、召し上がれ」
「アーサーも来い、俺だけでは食べきれん」
「で、でも・・・」
躊躇するアーサー、流石に気が引ける
「どうぞー、最初から3人分用意して来たの」
「流石だなリリー、良い読みだ」
「あ、あの・・・」
「ん?」
「先程は失礼しました、どうかもう一度ご紹介を・・・」
あら、気にしてないのに律儀ね、では
「改めて、リリアン・クロイツェル公爵夫人です」
宜しくお願、
「は?」
「え?」
「ん?」
「・・・、し、失礼、リリアンじょ、、夫人?・・」
「はい」
「今、家名をクロイツェルと?」
「はい」
「叔父上の家に養子にでも?」
「・・・」
私、夫人と名乗りましたが?
「アーサー・・・」
ゴンッ!
流石にアーサーの頭に拳骨が落ちた
「ぐはっ、っ叔父上!」
「リリーは俺の妻だ!馬鹿者」
「がっ、は、っ、妻!?、え、だって俺と同級生って、」
「お前と同級生で、俺の妻、何か反する所でもあるか?」
「いえっ、ないですが、えっ?では去年結婚したっ!?」
「はい」
「最近、3つ子を出産した?」
「はい」
「うっそー・・・、ど、、え、同級生・・・?」
「はい」
素になってますよアーサー様。
「え、っと、本当に失礼しました・・・、おば、」
「おばは止めてください」
にこー。
「・・・」
「アル兄様には」
「あ、アル兄様っ!?」
「兄と呼ぶように言われましたので、アル兄様の妹という扱いで、ルーク義兄様とエリザ義姉様は承知しています」
「義兄・・・、義姉・・・」
「でも、アーサー様は兄という感じはしませんので、私の弟としましょうかヴィー?」
「は、、えっ、姉!?、ヴィーって!」
「そうだな、なんかそんな感じはする」
雑に言い放つ叔父に愕然となるアーサー。
「では、アーサー、お姉ちゃん、と」
にこー。
私、下の弟妹欲しかったんですよね!
「お、ねえ、ちゃん?」
「きゃー!可愛い弟が出来ました!」
「・・・リリー、酔ってないか?」
「酔ってません!1口だけです!」
「・・・酔っているな」




