モブ、王子に会う?
何故?そんな言葉が出そうになる。
「リリーがアリシア嬢をものにしたから、らしい」
何ですかものにした、って、私がアリシアさんを嫁にしたみたいに言わないで下さい。
いえ、言いたい意味は分かります、結果を出したという事ですよね?
私妊娠したから最初の2ヶ月程しか教師してませんが・・・
「私がアーサー様に会って、どうしろと言うのですかルーク義兄様は」
「家庭教師を・・・」
「嘘でしょう?」
「だと思うよな、俺も思う」
令嬢が、、今は夫人ですが、女性が男性の家庭教師って有り得ないですよね、学ぶ内容が違い過ぎますし、王子も困るでしょう。
そもそもアーサー様はヒーロー宜しくハイスペックで再教育も問題ないと思うのですが・・・
「何かあった」
「だと思う」
「ですよね」
ふうー。
「まさか、とは思いますが、例えば、アリシアさんが一年足らずの内に結果を出した事で、予想以上に早くてアーサー様が焦っているとか、私がその切っ掛けになったと思って、どうのこうの、とか有りませんよね・・・」
「まさか・・・」
「まさかぁ・・・」
「流石だなリリアン、その通りだ」
まさかでした。
「・・・」
「リリアン、出産お疲れ様、暇を作ったら屋敷に行くから宜しくね」
「あ、はい、ありがとうございます」
「出産した割には体型変わらんな、母上か?」
「はい、ラフィー義母様特製メニューで」
「あれ、凄いわよね、わたくしもお世話になりましたよ」
「はい、あっという間に・・・」
妊娠により伸びたお腹周りのお肉復帰にラフィー義母様の指導を受けたのですが、効果抜群で元通りです。
「あれね、王家の秘伝らしいわよ、王妃たるもの如何なる時も!の精神で代々伝えられているとか」
「凄いですね、昔からあると言うことですよね」
「ええ、流石に時代毎に改良を重ねているそうだけどね」
「ところで、私にどうしろと・・・」
「アーサーを頼む」
「無理じゃないですかね?」
「軽く適当に言うな・・・」
アリシアさんに関しては転生という下地がありましたからね、この世界人のアーサー様を同じく、なんかこういい感じに良くしてくれよ、と言われても、私は再生工場ではありません。
「リリアン、具体的に何かして欲しい訳じゃないのよ、ただ貴女は何かと切っ掛けを与える事が多いから」
「買い被り過ぎでは?私は普通の公爵夫人ですよ」
「至極普通な人間が公爵の妻になれる訳ないだろ、いい加減猫かぶるの止めたらどうだ」
「・・・、まあ冗談は置いておいてですね、本当に買い被り過ぎなんですよ、悩める年頃の男性の相談を私が受けても良くなりませんよ、そもそもアリシアさんに対してちょっとしたコンプレックスが目覚め出した話ですよね、私、自分で言うのもなんですけどアリシアさんより派手にやって来た意識はあります、余計にアーサー様のコンプレックスを刺激しかねないと思いますが?」
実際、アリシアさんは医療系の知識で有用性を発揮しました、勉強やマナーも順調です。
私だって、これまでは隠してきましたが色々やってきてます、王家の人間には全部バレてるのですが、金属素材の提案の話1つだけでも、それこそアーサー様が今欲しい実績の1つに十分なるでしょう。
こういう物を作れない?と錬金術師や技師に提案して似たような事を10年以上続けて来ています、アレコレ小金を稼いで来ましたし、一応物書きとしてもやって来ました。
アーサー様がそんな私に素直に相談するでしょうか、同い年の私が、アーサー様から見て叔父のヴィルヘルム様と結婚、跡継ぎも無事出産、実績も盛り沢山、もう一度言います、アーサー様と私は同い年です。
やらかし寸前だった伸び悩んでいるアーサー様に現在順風満帆、幸せの絶頂で同い年の私が相談?
嫌味か!って思いますよ、きっと。
「まあ、な・・・」
ルーク義兄様もエリザ義姉様も悩んでいる様子
力には成りたいのですが、私は劇薬だと思います。
「私が出張るより、同じ男性かつ国王の弟という先輩のヴィーに騎士団式に揉んで貰った方がまだスッキリするのではありませんかね?」
というかルーク義兄様なら最初に言いそうな・・・
「ヴィーには嫁と子に会えなくなる時間を作りたくないから嫌だ、と言われた」
「・・・」
ヴィルヘルム様・・・
喜んで良いのかどうか、まあでも揉んでやるにしてもパッと来て1.2時間やって帰ったのでは相談になりません、やるなら1週間程本格的に揉みに揉みまくって、体力を限界まで使わせて話した方が素直になりそうな気はしますので、多分ヴィーは野営か訓練か、数日から数週間と考えて嫌だ、と・・・
「先に言ってくださいルーク義兄様、私にヴィーを説得しろと」
「いやリリアンでも何とかならないか、と、ヴィーにあそこまできっちり断られた事が無くてな」
「ふう、分かりました、ヴィーを説得してきます、それで良いでしょう?」
「助かる」
「ごめんなさいねリリアン、ヴィルがあそこまで子煩悩だとは思わなかったわ」
「まだ外に出たがらないくらいならなんでもないですよ、最近は子供部屋で執務をしようとしてますし」
「・・・、ヴィルが?」
そこまで?と驚く国王陛下夫妻
「あ、ルーク義兄様、あまりヴィーに仕事振らないようにして下さい、新婚の時の期間中の呼び出し、根に持ってますよヴィー」
「そんなにか?」
「あれは、意外と・・・」
「・・・どうするか、エリザ」
「ヴィルの喜ぶ事を何か・・・」
「頼む、リリアン」
「戻ってきましたね・・・、兄弟ですよね、何か心当たり無いのですか?」
「ない事はないが、今ヴィーにとって嫁と子以上に嬉しい事などないだろう?」
「まあ、私も当事者ながら、そうですね」
「しかも、今回無理を言う事になる、これは」
「生半可なものではダメね」
「あら、なら私に名案がありますよ!(棒読み)」
「なんだ・・・」
イヤそうな顔をしてますルーク義兄様
「「あの期間」の追加日程を希望いたしますわ」
にこにこ。
「つまり、その間の仕事を請け負えと・・・」
「そんな事は言ってません、ただあの時1ヶ月弱残っていたので、それを行使出来ませんか、という提案です」
にこにこ。
「・・・リリアン、お前も根に持っているな?」
「いいえ、特には、別に、何とも、新婚期間を途中で切り上げたりとか、何も思っていませんよ、ええ、全然」
「「・・・」」
(ルーク!)
(分かっている)
ごにょごにょと小声で話す御二人。
「リリアン・・・、頼んだ」
「はい!承りました」
いえーい、勝ち!
「という訳ですヴィー、子供達と1ヶ月ゆっくり過ごせるのでお願いします」
「わ、分かった、アーサーに喝を入れてくる」
喝って、
「ヴィー程々にね、先達としての相談よ?アーサー様は私と同じ年齢で繊細な年頃よ」
「・・・、繊細?」
「待って、今繊細の何処に疑問を持ちました?」
「・・・アーサーが・・・」
ジッと見つめると
「いや、リリーは・・・」
「なんですか?」
「妊娠中は繊細だったが、母になったら、強くなった、気がする・・・」
「何故」
「兄上をやり込めて、帰って来たから流石に・・・」
「目の前に材料が転がっていたから使っただけですが」
「それでも出産妊娠前なら遠慮があっただろう、国王に対する一線が」
あ、った、かな?
「でも、後ろに子供が居ると考えたら相応の行動になりますよね、ヴィーだって」
「それは、そうだが、リリーの場合はそれが顕著だな」
「そう言われると、私、ルーク義兄様に失礼を働きました?」
「いいや、これくらいで丁度いいさ、何でもかんでも受けていたらキリがないし、今回は結局リリー経由で俺が受けたしな、対価を引き出したし頼もしいくらいだ」
グッと腰を抱き寄せキスをして来るヴィルヘルム様
「ん、、良かった・・・、実はアーサー様には会いたくなかったのです」
「何故だ」
「王子が上手くいってない、伸び悩む男性を元気付けてくれ、女性が、年頃で、ヴィーの跡継ぎを出産後」
「ああ、いい、分かった、確かに年頃の男女が相談なんて体面が悪かったな、すまん」
今の時期も悪いです、ヴィルヘルム様の跡継ぎを出産後、王子に近付く私、やっぱり政略結婚だったな、と想像力の逞しい口さがない者は居ますから・・・
乗り換えた(ような行動をした)私は悪女、ヴィルヘルム様は嘲笑を、最悪です。
あら、そう考えるとルーク義兄様達はここまで全部読み切っての今回の流れじゃないですか?
あの人達が、私とヴィルヘルム様の立場、アーサー様の立場を考えない訳がありませんから、私達、手の中で踊っていたの!?
「ヴィー・・・」
「ああ、俺も今気付いた」
「私、全然やり込めてない」
「ああ・・・」
ヴィルヘルム様が最初の段階で受けていればそれまで、断っても私経由で私が動くかヴィーが動くか、もう!なんか悔しい!




