モブ、幸せの上。
怒涛の1週間が過ぎました、これだけ濃密な1週間はそうそうないでしょう、疲れました、でも幸せなのです。
因みに搾乳作戦は上手くいきませんでした、搾っている内に授乳の時間が来て休む隙間さえ無くなったので、早々に中止になりました。
3人分なのでアリシアさんは母乳量を心配していたようですが、不足なく量が出て良かったです。
名前も決まりました
赤毛のお兄ちゃんが、ウィリアム。
銀髪のお姉ちゃんが、ミカエル。
金髪の末妹ちゃんが、ミリエル。
ウィル、ミカ、ミリーです、みんな可愛くて公爵邸の人間全てが魅了されています。
「ああ!ミカ、ミリー、ウィル!」
公爵邸の人じゃない方も居ますね、ラファエル義母様。
絶賛フィーバー中ですが帰らなくて大丈夫ですかね?
いえ、子育てに関しては新米の多い公爵邸なのでそれは助かるのですが、まあ侍女が困惑してます、当然です先代王妃が侍女の仕事をしているのですから。
「ヴィー」
「言うな、分かってる」
「誤解しないで欲しいのですが私は大丈夫です、単純にガウェイン義父様を1人にしていて良いのかな、と」
「リリー、誤解の無いよう俺も言っておこう、父上は慣れてる」
あ、昔からこんな感じなんですね、我が道を行くというかなんというか・・・
「なら良いのです、実際ヴィーと私で1人ずつ、ラフィー義母様で身内の手が3人分あるのは本当に良いと思います、でもヴィーは仕事、」
「仕事は兄上に投げた」
「えっ!?公爵のですか?」
「ああ、「あの期間」を邪魔されたのと、アリシア嬢の件の成功報酬だ」
「ん?、え?」
あの期間途中で呼び出し食らったの、ヴィー根に持っていたのね、でも
「成功報酬って、シアの勉強は終わってませんよ?」
まだ淑女再教育の途中です、王子妃教育ではありません。
「いや成功さ、彼女は価値を示した、リリーの出産をもってな、勉強は後から付いてくる」
「あ、これで良いんですか?」
意外!もっと結果を積み重ねないとダメだと思っていました。
「王族の血を引く出産、しかも三つ子で全員無事、これに至るリリーへの適切な指導、もしアリシア嬢の指導が無かった場合俺はリリーを引きこもらせていた、そうすると散歩や運動もせず体力は落ちていたし、食事の改善も無かった、心も平穏を保てなかったかも知れない、これらの条件で出産に入っていたらどうなるか、それはリリーが1番分かるだろう?」
あー、危なかったかもしれませんね。
でも、その場合ヴィーを責める理由にはなりませんよね、この世界の妊婦の常識は寝ていろ、何もするな、沢山食べろ、です。
寝ていろは安静にしていろ、これは妊娠初期なら当てはまりますし、何もするなは転んだらどうするストレスを溜めるな、沢山食べろも必要な事だけど、塩分過多になりやすいのでその辺りのコントロールですよね、全てが間違いではありませんが適材適所適量の配分が適切でない感じです。
あ、だからですか
「三つ子で安産、の価値は計り知れない、俺の知る限り双子の出産でも十分危ないし、三つ子の出産で4人全員無事は聞いた事がない、結果論としては最良の結果だが後から考えて肝が冷えた」
う、4人って、つまりそういう事ですよね、そう言われると私本当に危なかったわね・・・
さて、子供達に天使の名前はどうなのと思いましたが、みんな天使なので問題ありませんね!
今になってお父様が私を天使と呼んでいた気持ちが分かるなんて・・・
「お疲れ様、乳母と侍女に任せて身体を万全に戻しなさい」
「ありがとうシア、貴女が居なかったらこんなに順調にいかなかったわ」
「・・・」
「?」
ん?アリシアさんの様子がおかしいですね。
「お礼を言うのは私の方よ、ありがとうリリ、私これから生きて行けると思うの」
うん?何かアリシアさんの中で有ったのかな?
「そう、何かいい事あったの?」
「色々よ、貴女を見ていたら色々と思う所があったの」
「そうなの?」
「ええ、だからありがとう」
「どういたしまして?何をしたのか分からないのだけど」
「いいのよ、さ、寝なさい、貴女ヒドイ顔してるわ」
「シアだってヒドイ顔よ?休んでね、おやすみなさい」
「ええ、リリが寝たら私も休むわ、おやすみなさい」
と、久々に健全な時間に眠ったのですが、どうやらひと騒動あったのは次の日起きてから知りました。
出産後、私と同じ行動していたヴィルヘルム様は、私が通常の生活に戻るということで同じく一緒に眠っていました。
流石のヴィルヘルム様も寝入ってしまったらしいのです
深夜起き上がるリリアン、隣に居るヴィルヘルムを気にもせずベッドから降りると室内履きも履かない素足のまま部屋を出て廊下へと出る。
そこへ侍女が
「奥様?」
廊下に裸足のリリアンを見て不審に思いながらも声を掛ける
「泣いてるの・・・」
廊下は暗く詳しい表情は窺えないが、足元が覚束無い様子から、すかさず寄り添い手を取る
「失礼致します奥様、泣いているとは御子様でしょうか?」
「うん・・・」
耳をすますが泣き声は聞こえない
「奥様、御子様の所へ行きたいのですか?」
「そう・・・」
会話は出来るが恐らく寝ぼけていると判断
「履き物を、」
「ダメ、行くの」
と、歩き出すリリアンに仕方なくそのまま子供部屋に誘導する、寝室の隣なのだが・・・
子供部屋の扉を開けると、驚く事に3人とも泣いていた
お世話に付いている侍女達があやしてはいるが上手くいかないようだ。
そこへリリアンが
「渡して」
「奥様?」
裸足で現れ、様子の怪しいリリアンに驚きながらもウィリアムを渡す、リリアンが受け取ると徐ろに授乳させ、あっという間に寝かせる。
授乳途中に気を利かせて椅子に座るよう勧めると素直に座っていた。
次に
「ミカを」
ウィリアムを最初の侍女に渡し、ミカエルを渡すよう言う
また受け取り授乳、これもあっという間に寝かせて、次は当然
「ミリー」
授乳を始める、この人本当に寝ぼけているの?と疑い始めた頃
リリアンが授乳させたまま動かなくなる、先ほどの通りならばあやして寝かせるのだが、俯いてミリエル様を抱いたまま動かない
「奥様?」
失礼ながらも下から覗き込むと
ヨダレを垂らして眠るリリアン、咥えたまま口元に母乳を垂らして眠るミリエル。
・・・
「ふっ、、ん、、、くっ・・・」
「っ、、んふっ、、」
クスクスと周囲から笑いが起きる、皆必至に大笑いを我慢していた。
肩を震わせ、顔を真っ赤にして、折角寝た4人を起こさないよう耐える。
ガチャ!!
「リリーは居るか!?」
漸くリリアンが隣に居ない事に気付いたヴィルヘルムは、慌てて子供部屋に飛び込んできた、今のリリアンが向かうのなら子供の所以外はないと、だが全員人差し指を口元に当てて
「「「シーー」」」
プルプル何かに耐えながら、ヴィルヘルムを諌める侍女達
だがヴィルヘルムは意味がわからず困惑するばかりであった
「む?」
取り敢えずミリエルの背中をポンポン叩いてゲップをさせる侍女達であった。




