モブ、安静。
「はい、最初はお兄ちゃん」
産湯が終わり、お包みに包まれて渡されます、私の赤ちゃん。
赤毛の男の子です
「授乳させましょう」
ほえ?
「出なくても良いわ、咥えさせるだけでも良いけど、リリアン指導の通りマッサージはしてた?母乳は出る?」
アリシアさんが聞いてきます
「ええ、母乳は出るわ、今すぐなの?」
「今すぐが1番良いわ、3人も居るから大変だけど、初期段階で母乳を出来るだけ飲ませたいの」
「分かった」
言われる通り、抱き方、授乳の仕方を一から教えてもらい、おっぱいをあげます。
んくんく、と必至に飲んでくれます
ああー、可愛い!愛おし過ぎてしんじゃいそうよ!
結構、いえ、かなり吸う力強いのね、こんなに小さいのに。
「で、この辺りをポンポンと・・・」
ケプッとゲップします、ああもう可愛い・・・
「必ずゲップさせてね」
「うん・・・」
「ふふ、リリアンもうお母さんの顔してる」
「え?」
「実は母乳が出なくても咥えさせるだけで子供にも母親にも良いのよ、母乳自体も子供にとって大事な栄養を含んでいるし、出産直後と少し経ってからでは母乳の中身が少し変化するの、だから可能なら出産直後から授乳させたいのよ」
「へえ、そうなんだ」
知らなかったです、流石元看護師、頼りになりますね。
「はい、次は女の子2人」
わ、ヴィルヘルム様の銀髪に、王家の色の金髪、可愛い!
「ちょっ、2人渡されても!」
「良いから、片方は私が抱っこしてるから授乳授乳!」
「え、同時!?」
「姉妹だもの別々にしたらかわいそうじゃない」
ええっ!?何それ!
「んっ」
強い!吸う力、しかもふたつ!
でも、頑張って吸っているのを見ると愛しくて堪りません、たくさん飲んでね。
「この様子だと母乳量は大丈夫みたいね」
「良かった・・・」
個人差はあるが産後何日か経ってから出る人が多い中、早々に母乳の出始めたリリアンにアリシアは安堵する
「ねえ、リリアン、今貴女が瀕死なのを分かってて言うのだけど最初の1週間だけで良い、頑張って母乳をあげて頂戴」
「瀕死?1週間って、何かあるの?」
「良い?出産は現代医療を持ってしても命懸けの行為よ、しかも貴女は三つ子を出産した、身体に掛かった負担は相当なもので、血も流れ、体力も失っているの、十分瀕死なのよ、あと陣痛は未だあるでしょう?陣痛も数日掛けて治まるのよ」
「その状態でも母乳をあげなさいって言う事は理由があるのでしょう?」
「ええ、産後1週間ほどのお乳は特別なもので今後の子供の健康に関わる、簡単に言えばとても濃い母乳が出ると解釈していいわ、だから頑張って欲しいのよ」
「分かった、必要な事ならやるわ」
「本当に大変よ、理想は3時間毎に授乳させて、寝てても起こしてお乳をあげるの、それを3人分よ」
寝ている暇あるかしらソレ・・・
「だから今2人同時に?」
「そう、本当はあまりやりたくないのだけど、こっちの粉ミルクはちょっと、ね」
あー、何か問題があるか、お勧めできない出来なんですかね?
「授乳も結構時間が掛かるわ、それが3人分3時間毎、なら1と2で授乳出来れば、なんとか間に1時間位は空き時間作れると思うの、大変だけど仮眠しつつ乗り切って欲しい」
それは確かに大変です、でも子供の今後に関わるなら頑張るしかありませんね、うん!
「リリアンの体調次第だけど、間の授乳2回を乳母に任せてやる事も考えておきましょう、そうすれば貴女は9時間休める、1回任せるだけでも6時間、母親の気持ちを考えると他人に任せるのは許せないかも知れないけど・・・」
「大丈夫、私にだって限界はあるし、任せられる所は任せるわ、今も割と限界に近いし・・・」
気持ちだけで出来るなんて思いません、そんな余裕が無い事は今の疲労が全てを語っていますから・・・
いっぱい飲みましたねー。
ポンポン、ケプッ!
「あと、これ使って」
缶?中身はクリーム?
「何コレ?」
「保湿と皮膚の保護クリームよ、授乳後に乳首に塗って、吸う力かなり強いでしょ?割れたりして怪我になる事が少なくないの、害は無いけど授乳前にアルコール消毒したタオルで拭いてから授乳させてね、出来るだけ清潔に保つよう意識して」
至れり尽くせりですね。
「ありがとうアリシアさん」
「・・・シアよ、」
「えっ、シア?」
「そう、呼びなさい、私はリリって呼ぶから交換条件よ」
そっぽを向くアリシアさん、やっぱりツンデレかわいい?
「ありがとう、シア」
「大した事してないわ、リリ・・・」
アリシアさんも可愛い!
「あと最後に、赤ちゃんはお弁当を待って生まれてくると言われているわ」
「お弁当?」
「そう、2日程はなにも口にしなくても大丈夫な状態なのよ」
凄い、どう言う仕組みなんですかね?
「身体がどうしても辛いなら今から2日位は何もせず寝てなさい、本来なら母乳が出るのも2.3日掛かって出る仕組みになってるのよ」
物知りですねアリシアさん。
「分かった、ありがとう」
「あと、当分私とマイヤール夫人も公爵邸にお世話になるから宜しくね」
「え」
「此処まで関わって放り出せる訳無いじゃない、マイヤール夫人と相談して了承も得ているわ」
「ロッテ先生が?」
「ええ、基本は出来ているのだしリリの手伝いをした方が余程貴女の為になるから、って」
「そう、ありがとう本当に心強いわ」
屋敷も賑やかになりますね。
「さて、一通りやる事は済ませたし、説明もしたわ、旦那様を部屋に入れても大丈夫?」
「うん」




