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モブ、デート。

「ヴィルヘルム様、街にデートしに行きましょう」

「デート?」

「ええ、私達外でまともなデートした事無いでしょう?」

「む、言われてみれば・・・」

そう、至極まともなデートした事ないのです。

私が足を怪我していた時のアレも姿は徹底的に隠してましたし、それ以前はそもそも外に出ていませんでした、お家デートのみですね、結婚したのにこれはちょっと寂しいと思います。

デートの思い出が少ないのは・・・


「ね?」

「そうだな、これからは大手を振って太陽の下を歩けるからな、行こうか」

「そんな、私を日陰者みたいな・・・」

「そういう意図の行動はしていただろう?」

ん?うーん、うん!

「してましたね、そうなると初めてのデートと言っても良いかな、楽しみです」

「そうだな、これから一緒に沢山出掛けよう」

「はい」



そしてデート当日

「ヴィーが動きやすい格好と言いましたから、これでどうですかね」

くるりとヴィルヘルム様の前で一回転します

「外に出したくないな、誰かの目に止まったら・・・」

「・・・」


「はっ、いや、可愛いぞ、結構歩くから歩きやすい靴であれば大丈夫」

「は、はい」

誰かの目に止まるなんてないと思いますけどね、私は平々凡々のモブっ子ですから。

そう考えを告げると

「リリーは自分の魅力を理解していない」

と言われます、魅力と言っても・・・

「どうやら分からないみたいだな、リリー、君がそう思うのは何故だ」

「何故って、私はこの国の美男美女の定義である金髪碧眼ではありませんし、身長の高さも足りてませんよね」

この国では金髪碧眼高身長、男性なら細身、女性はより女性らしい体型が美男美女の定義です、私は赤毛に黒茶の瞳、身長も低いまま止まってます、ですから基本モテません。

「ならば、リリーが俺を見初めたのは何故だ」

「?、それは一目惚れで好みの容姿だったから・・・、あ」

「理解したか、俺の容姿もこの国の美男には当てはまらない、銀髪だし、何よりこの人相と体格だ、だがリリーは俺を見初めた、それは簡単に言えば好みだったからだな」

「あー、つまりヴィルヘルム様の容姿を好んだ私が居るように、私の容姿を好む方も少なからず居るだろう、と」

「そういう事だ」

「それにしても少数だと思いますけど・・・」

「リリー、気を付け過ぎるという事は無い」

「はあい」

私は人妻なのに心配性な旦那様ね。



大きな通りまでは馬車で、そこからは徒歩で色々見て回ります。

本気の買い物なら公爵邸に人を呼んでおしまいですからね、今日はお忍び(?)デートみたいなものです。

「ヴィー、アレは?」

「アレは東国の・・・」



「これ美味しい!」

「こっちも美味いぞ」

「交換しましょう、はい、あーん」

「っ!」



「どうかな?」

「似合うぞ、ほらプレゼントだ」

「ありがとう、着けてくれる?」

「ああ・・・」



「楽しいか?」

「ええ、とっても!次はあそこに行ってみましょう」

手を繋ぎ、あっちへこっちへと歩き回る


「あ」

ここは・・・

「入るか?」

「うん」

私が足を怪我した時に来たドレスのお店です、今度は顔を隠す事もなく一緒に手を繋いだまま入ります。


ざわ


「ん?」


ひそひそ・・・

あれが・・・


何か注目集めてますね、何かしましたっけ?

「リリー、俺達は王宮舞踏会から公式の場に出ていない」

「あ」

そっか、舞踏会で婚約婚姻結婚式の発表して、そのまま離宮に入って結婚式だものね、しかもルーク義兄様による箔付けブーストが効いて、人前にまともに出たとなると注目されるわね・・・

「まあ、いいわ、ヴィー見ましょう」

「リリー、大丈夫か?」

「何がですか?」

「いや、君はあまり目立ちたくないだろう」

「ああ、大丈夫ですよ、もう今更の事ですし、見られて不都合な事もありません、いちいち反応していたら何も出来ませんし気にしない事にしました」

そう、乙女ゲームの本編は終わった(のよね?)なら遠慮する必要も無いし、何も悪い事はしてません、目立ちたくはありませんがその内周囲も飽きるでしょう。

「そうか」

「はい、だから行きましょうヴィー」

お店の中を見て回ります

「あ、これどうですか?」

「っん!?リリー、これは・・・」

「似合いませんか?」

「・・・、似合う」

「こっちは?」

「リリー・・・」

何ですか、何か言いたいのですか?ヴィルヘルム様?ニヤニヤ。

ドレスを買いに来た訳ではありません、吊るしのドレスを着ていたら何を言われるか分かりませんし、でもドレスを取り扱っているなら、その周辺の小物もありますし下着もあります。

ええ、下着、夜着の類ですね、偶にはやり返さないと負け放しですから私。

「リリーには何でも似合う・・・」

「ヴィー、それは「どうでもいい」と言っているようなものでとても失礼ですよ、私に似合う似合わないもありますが、ヴィーの好みを聞きたいのですが・・・」

「ぬぅぅっ!?」

ヴィルヘルム様が面白い顔になっています、いえーい久々に勝ちました!


「リリー、俺が好きだと言ったものは着てくれるのか?」

「それは勿論!」

旦那様にしか見せないものですからね、私とヴィルヘルム様にとってのものなら吝かではありません。

「よし待ってろ、選ぶ」

と言って、真剣に選び出すヴィルヘルム様

あ、なんか私が煽っていじわるしておいて何ですが、女性しか居ないお店で至極真面目に夜着を選んでいる旦那様って、ちょっとシュールですね。

ヴィルヘルム様は十分に時間を掛けて何着か持って来ました

「先ずはこれだ」

「・・・、ヴィー、私にいじわるしてませんよね?」

「していない、俺の好みだ」

「・・・」

真面目な顔です、取り敢えず周囲から見えないように配慮します、私達がこここ、こんなもの買って行ったなんて噂は流石に流したくありません。


・・・、スッ、黙って私が持った事で承諾を得られたとヴィルヘルム様は次のものを手に取り、見せてきます。

「次はこれだ」

「・・・、ねえ、ヴィー、本当にいじわるしてない?」

「していない、俺の好み、リリーに何が似合うか真剣に選んだ結果だ」

「・・・」


スッ・・・


「次は・・・」

「ッヒ、、ヴィー!これはいじわるですね!いくら何でも分かります!」

「うむ、これはわざとだな」

ニカッと笑って、大成功とばかりに喜んでます、むむむ。


スッ・・・


「何っ!?」

買う、のか!?と目を見張るヴィルヘルム様

意地を張って買ったリリアンだが、その後盛大に後悔する事など考えてもいなかった・・・

着るのは自分であるというのに。


どんなものを買ったのか・・・

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