モブ、結婚式。
遂に結婚式当日です、離宮の生活も色々とありましたね・・・
お父様が死にそうな顔してます、お母様はそんなお父様に喝を入れてます。
「アン綺麗だよ、無いとは思うけど何かあったらいつでも帰っておいで」
「ありがとうお兄様、でもきっと大丈夫です」
「うん・・・、ただ寂しいだけだよ言わせておくれ・・・」
バージンロード前で待機中は
「アン・・・」
「何ですかお父様」
「・・・、アン」
「はい」
何か言いたい様子でいるお父様、言葉が中々続いて来ません
「幸せかい?」
「はい、幸せです、今までも、これからもきっと」
短く問うて来た父にそう答えると、何かが刺激を与えたのか突然ブワッと涙を流して抱き締めようとして来ます
「ダメよマイケル、気持ちは分からないでもないけどアンの髪とお化粧、ドレスが乱れてしまうわ」
「お母様」
「こうなると思って戻ってきたのよ」
苦笑するお母様はそっとお父様の背中を撫でています
行き場の無くなったお父様はグッと涙を堪えようと必死で耐えています、肩は震えていますが。
「ほらあなた、父親の最後のお仕事ですよ、娘の晴れ姿の道で恥をかかせるつもりですか」
「ああ・・・」
お母様がそっとハンカチで涙を拭うと引き締めた顔を覗かせます
「お父様ありがとうございます、お披露目の時の縁が無ければ、こんなに幸せでなかったかも知れません」
と感謝をつたえると
「うっ、ぐっ・・・」
お父様が握り拳を作ってプルプルしています
「アン、あまりマイケルを泣かせないであげて」
「え」
もう何もしない方がお父様の為かも知れませんね、何が刺激になるのか私にはイマイチわかりません・・・
「そろそろ始まります」
声を掛けられたので、お父様に手を差し出すと両手で包まれます
「お父様?」
「・・・」
無言で私の手を撫でるお父様
「大きく、なったな」
「っ」
うっ、流石にグッとくるものがっ
「ほら、あなたもアンを泣かせようとしないの!もう2人とも会話しちゃダメよ、私も言いたい事あるけど、後で、ね、アン」
「はい」
「うぐぐ、はぃ・・・、アン、後で絶対抱き締めるから、っ」
「ふふっ、じゃあ先に行ってるわ」
「はい、お母様また後で」
「ええ」
今度こそお父様の腕に手を添えて歩いて行きます、愛しの旦那様の元へ。
式は恙無く無事終わりました、流石に両家知り合いの前での誓いの口づけは恥ずかしかったですが・・・
式の後はパーティーになります、ドレスを何回か着替え、来て頂いた方達と会話します。
ルーク義兄様、エリザ義姉様
「ヴィー、リリアン結婚おめでとう」
「ヴィル、リリアンおめでとう」
ガウェイン義父様、ラファエル義母様
「リリアンちゃん結婚おめでとう、ドレス似合っていたわよ」
「ヴィル、リリアンさん結婚おめでとう」
錚々たる面々ですね、周囲も驚愕の表情です
私も離宮での生活が無ければ気圧されていたでしょうね
何せ、2世代国王夫妻が来ているのですから。
そして
「結婚おめでとうございます、叔父上、リリアンさん」
アルバート第一王子!初めましてじゃないけど初めまして!お披露目のお目通り以来だもの、ほぼ初めましてよね。
「初めまして、と言ってもお披露目の時に1度会っていますね、伯母上と呼ぶのは・・・」
「アル、駄目よ?この際細かい事は言わずに「義姉」で良いわよ、ねリリアン」
「母上・・・」
エリザ義姉様に無茶苦茶言われて困惑気味のアルバート様、私もですが困りますよね
伯母にしてもアルバート様は20歳、私は15歳で違和感があるし、エリザ義姉様の無茶を通して義姉と呼ぶにしてもアルバート様にとっては5歳下の義姉よ、困るわよね?
私も困るわ。
「敬称で「さん」か夫人で構わないだろう・・・」
呆れたようにヴィルヘルム様が言います、私もそれで良いと思います。
「あら、夫人だなんて他人行儀は嫌よね、リリアンちゃんもアルの事をなんて呼べば良いか困るわよ」
ラフィー義母様、私は大丈夫、アルバート様と呼びますからね。
「年齢通りにアルはリリアン、リリアンは兄様で良いんじゃないか?」
とルーク義兄国王陛下、これは絶対に面白がってますね?
するとアルバート様が考え込むように
「兄・・・、、いいね・・・、リリアン、、さん・・・、兄と呼んで?」
ああー、この人正しくルーク義兄様の子供ですね、納得の猫被った笑顔ですよ。
因みに、途中で「さん」が入ったのはヴィルヘルム様の視線が刺さったからです、意外とそういう所気にするのですねヴィルヘルム様、初めて知りました。
「アルバート様・・・」
「兄様」
「アルバート、様」
「兄様」
絶対引く気ありませんね、この方、流石王族です・・・
「アル、兄様?」
「もう1回」
「アル兄様」
「うん・・・、うん!いいね、弟も良いけど妹も良いものだね」
第一王子とも縁作っちゃったわ、どうしましょうね・・・
「ほら、我々が退かないと誰もヴィルとリリアンさんに話出来ないよ、積もる話は次の機会でも良いだろう、家族なんだから時間はあるよ」
ガウェイン義父様が場を治めて、その場は一先ず落ち着きました。
「アン!」
熱い抱擁はお父様、お母様は珍しく止めません
「お父様」
「最高の花嫁だったよ、でも、こんな、まさか最速で嫁に行ってしまうなんて・・・」
「あなた、もう」
呆れるお母様、苦笑するヴィルヘルム様、お兄様、私。
スルーして話し出すお兄様
「アン、本当に綺麗だったよ、あと大変な縁続きになったね」
「お兄様、他人事の様に言っていますが、その縁続きにはお兄様も含まれますのよ?」
「僕?僕はいいよ、家と領民に関して王家の縁は関係ないし、そう言うアンだって関係ないと思っているだろう?」
流石お兄様、お見通しですね。
「まあ関係ないと迄は言いませんが、只のヴィルヘルム様の御家族であって、その人の家自体は、まあ・・・」
「リリー・・・」
ん?ヴィルヘルム様から生ぬるいくすぐったい視線が・・・
「あらあら新婚さんは本当に熱々ねアン」
「お母様!」
「ふふふ、幸せになりなさい・・・、ね?」
そう言ってお母様も私を抱き締めて来ます
「ん、はい・・・」
私も抱き締め返します、名残惜しくなってしまいますね。
今生の別れでは無いですが、それでもいつも一緒に居た家族と少しだけ離れますから。




