モブ、陛下に聞く。
「で、どういう事ですのルーク義兄様」
「なんだ結婚式嬉しくないのか」
「嬉しいです!」
「なら良いだろう?」
「それとこれとは別の話です、義兄様は私達を隠れ蓑に使いましたね」
「・・・」
指摘されるとルーク義兄様はジッと私を見てきます
「兄上」
「何だ、バレていたのか」
「バレるも何もあまりにも露骨です」
私達が目立ち過ぎています、事あるごとに箔をと言っていたものの婚約発表と同時に結婚式の事も明言するなど、不都合な事を隠そうとしているかのような。
つまりは王子達の事をインパクトの強い事で目立たなくした、という事です。
実際ヴィルヘルム様の事が印象強くて第二王子が居ない事に気付く人はそうそう居なかったでしょう。
「ルーク」
エリザ義姉様が咎めるような口調で義兄様の名前を呼びます
「分かっている、それぞれの事があまりにもタイミングが揃い過ぎたので利用させて貰った、事前にお前達にも言うべきであったな、すまない」
「もう、本当にそうですよ、イタズラも過ぎると本当に嫌われますよルーク義兄様、これは貸しひとつですね」
満面の笑みを贈ってやります、ふふふ。
「リリー?」
「ほう、国王に貸しを売り付けるとは何を望む?」
義兄様の顔は笑ってますが目の奥には剣呑な光が宿り、興味深そうにしています
「私からは、何も」
「何も?」
「ええ、何も」
恩の価値は誰が決めますか、施した側?
いいえ、受けた側が決めます。
その価値に基準は?
ありません。
私からこの手札を切る事はありません、それが1番得だから。
ならば義兄様からは?
国王という立場において貸しを作り、それを返すとなると相応のものを返さないと沽券に関わります。
つまり、私からは何も望まない事が最大の利を得る事になりますね。
え、こんな国王陛下を強請るような真似をして大丈夫かって?
強請る事が目的ではありません、そしてそれを見抜けない人ではない事も知っています、
「ふ、ふふ、はっはっはっは!ヴィー、リリアン、今回は俺が完全に悪かった、埋め合わせは必ずする、本当にすまなかったな」
ほら、ね。
「ふふふ、やるじゃないリリアン、ルークを一瞬でも真面目に考えさせるなんて」
「凄いな、兄上にやり返そうとするなんて」
「ふーん、偶には追い詰めたネズミにひと噛みされて痛い目を見れば良いんです、いくら国王陛下で弟の結婚式と言っても私達の結婚式を好き勝手されたら誰だって怒ります」
「ええ、ええ、そうよね!いくら国王と言っても何でも勝手にされたら堪らないわ、ルーク、これはアーサーの為と言っても高くついたわね」
です!エリザ義姉様にも理解して頂けたようですね。
何でもかんでも私がはいはい言うと思ったら大間違いですよ、怒る時は怒るんです!
そういう事の表明ですね、今のやり取りは。
それに、これから長い家族付き合いになるのです、最初からイエスマンで使い勝手の良い弟嫁と思われるのも癪ですから、言うべき事は言ってしっかり関係を結ばないとね!
もういちいち遠慮してても仕方ありませんし・・・
「くっくっく、本当に良い嫁を捕まえたなヴィー、国王にここまで言う者など居ない。
リリアン何かあったら俺を使え、俺も必要な時にはお前を使う」
え、何か認められたようですけど、厄介事の予感しかしないのですが?
後、くっくっくって笑わない方がいいと思います、完全に悪役ですよ国王陛下。
「ルーク義兄様、もしかして既に何か考えている事ありませんかね?」
「今は無い、今はな」
あーあー、これ絶対現段階で何かありますね、もー・・・
「リリー俺も出来るだけ協力するから、それにあまりな事なら断らせて貰う、良いな兄上?」
「そうよルーク、リリアンは今日デビュタントの15歳、彼女に頼らなければならない程、手が足りない訳では無いでしょう?」
「何、手札は有るだけ増やしておきたいだけだ、他意はない気にするな」
と言っても同世代の手札では、第一王子の王太子と第二王子、しかし第二王子は謹慎中ですので、そこに私と言うのは「そんなに期待してない」風を装った「使える手駒」とか思っているのでは・・・
陛下にとって、世代唯一女性の手札となると男性には無理な事も可能になります、逆もまた然りですが。
「私、器用に立ち回るとか出来ませんよ」
一応牽制しておくつもりで言うも
「社交界で立ち回れない者がヴィーの妻になどなれないさ、出来る事しか頼まないから、そんなに警戒するな」
「・・・」
「兄上、普段の行いのせいだ、言っても仕方ないから今後の行動で示してくれ」
「分かった、今後改善するよ」
と両手を挙げておどけてみせる義兄様。
怪しい・・・、ヴィルヘルム様を見ると小さく横に首を振ります、何かあるか分からないし白状もしない、と言った所ですか。
まあ、本当に嫌なら断れるという事で大丈夫、ですよね・・・
不安だわ・・・




